ソロ温泉で癒やされるのはなぜ? 温泉効果だけではない意外な理由
温泉に行くと癒やされる。多くの人は癒やしを期待して、温泉旅に出かけるはずだ。
もちろん、温泉につかることで得られる効果もあるが、それ以外に温泉地に出かけるだけで得られる癒やしもある。
これを一般に、「転地効果」という。
日常生活から離れて、いつもと違う環境に身を置くと、五感が刺激される。呼吸や消化などを司る自律神経の中枢に作用することで、心身が元気になったり、リラックス効果が得られるとされている。
したがって、温泉地に出かけるだけでも、「癒やし」の状態を得られるというわけだ。人間関係を気にしなくてもよいひとり旅(ソロ温泉)であれば、その効果はさらに大きくなると期待でき
また、温泉は山地や高原、森林、河川、海など自然に恵まれたロケーションに湧いていることが多い。
筆者も山や高原など高地にあって、木々に囲まれているような温泉地が好きだ。
現地に到着すると、まず、都会とはまったく純度の違う新鮮な空気に癒される。深呼吸をすると、体の中から浄化されていく感覚になる。そして、木々に囲まれた露天風呂に入れたら最高だ。たまりにたまったストレスや疲れが一気に吹き飛んでしまうような気分にもなる。
温泉地の豊かな自然は、医学の面からも心身にプラスの作用を及ぼすとされている。
北海道大学教授で医学博士の大塚吉則氏は著書『新版 温泉療法』(クルーズ)の中で、「温泉療法とは温泉入浴だけを指すものではない」としたうえで、温泉地の存在する地域の気候も人間の体によい作用をもたらすと述べている。
たとえば、海岸性気候の環境では、海風に含まれる微量元素(カルシウム、マグネシウム、ヨード[Ⅰ])を取り込むことができ、新陳代謝を高め、自律神経の安定化を促す。また、中山気候(海抜300~1000m)に位置し、なだらかな丘陵地帯で森林が多い地域では、森林内を歩くことにより、脱ストレス作用、リフレッシュ作用、リラックス作用が働くとされている。
もし「ストレスがたまっている」「体の状態が本調子ではない」と感じているなら、海や山など自然環境に恵まれた温泉地にソロで出かけてみるといいだろう。