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打率は1割台で打席の40%以上は三振でも、1年500万ドルならお買い得!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョーイ・ギャロ Jul 30, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今年、ジョーイ・ギャロは、ワシントン・ナショナルズでプレーするようだ。ワシントン・ポストのアンドルー・ゴールデンが、1年500万ドルの契約で合意、と報じている。この契約には、100万ドルのパフォーマンス・ボーナス(出来高)がついているという。昨オフは、ミネソタ・ツインズと1年1100万ドルの契約を交わしたので、報道のとおりだとすると、ほぼ半減ということになる。

 2020年以降、ギャロのシーズン打率は.181→.199→.160→.177と推移している。打席に占める三振の割合は、3分の1を下回ったことがなく、2023年は40%を超えた。2022年の打率.160と三振率39.8%、2023年の打率.177と三振率42.8%は、いずれも、300打席以上の277人と293人のワーストに位置した。

 けれども、ギャロにはパワーがある。ここ2シーズンは19本塁打と21本塁打ながら、2017~18年は2シーズン続けて40本以上のホームランを打ち、2021年も40本塁打まで2本に迫った。2022年のホームランは18.4打数に1本だったが、2023年は13.4打数/本だ。後者は、2017年の11.0打数/本と2018年の12.5打数/本には及ばないものの、2018年2021年の13.1打数/本に近い。

 ちなみに、2023年に40本前後のホームランを打った4人は、41本塁打のロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)が15.7打数/本、40本塁打のマーセル・オズーナ(ブレーブス)が13.3打数/本、ともに39本塁打のムーキー・ベッツ(ロサンゼルス・ドジャース)とアドリス・ガルシア(テキサス・レンジャーズ)は、それぞれ、15.0打数/本と14.2打数/本だ。

 また、ギャロのシーズン四球率は、12%を下回ったことがない。ここ3シーズンは、それぞれ、18.0%、13.7%、14.5%だ。外野の守備も悪くなく、年齢は30歳だ。

 ナショナルズの状況からすると、ギャロは、夏のトレード市場で人気を博す可能性もある。2023年はツインズでずっとプレーしたが、その前は、2シーズン続けて夏に移籍。2021年はレンジャーズからニューヨーク・ヤンキース、2022年はヤンキースからドジャースへ移った。ただ、両シーズンとも、移籍後は精彩を欠いた。これらの前例を、この夏にパワー・ヒッターを獲得しようとする球団がどう判断するかは――ギャロがパワーを発揮していたとしても――難しいところかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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