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ヘルメットの新たな利用法!? ターナーが決めたミラクルな盗塁

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャスティン・ターナー(ロサンゼルス・ドジャース)April 19, 2015(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

ヘルメットにはこんな効果もあったのか……。9月2日にジャスティン・ターナー(ロサンゼルス・ドジャース)が決めた盗塁では、ヘルメットが大いに役立った。

4回裏、先頭打者のターナーは死球で出塁した後、次打者の3球目に盗塁を試みた。ターナーは二塁ベースのかなり手前でヘッド・スライディング。捕手からの送球はそれとほぼ同時に遊撃手のグラブに届いていて、タイミングは完全にアウトだった。

前日までのターナーは、わずか2盗塁。メジャーリーグでは531試合で16盗塁しか決めておらず、マイナーリーグでも526試合で45盗塁に過ぎなかった。

ところが、ヘッド・スライディングをした時にターナーの頭から脱げたヘルメットは、ターナー自身よりも先に真っ直ぐ前方へ転がってゆき、遊撃手が差し出しているグラブにぶつかった。ターナーはヘルメットの右後方から右手を伸ばす。遊撃手はグラブを左へ動かしてターナーの右手にタッチしようとしたが、ヘルメットがあったせいで一瞬遅れ、タッチできたのはターナーの右腋。それよりも前に、ターナーの指先はベースに届いていた。

検索サイトに「Turner's fantastic slide」と打ち込めば、MLB.comなどでその映像を観ることができる。

ただ、この盗塁は得点には結びつかず。それどころか、ターナーは1死後、センターへのライナーで飛び出し、併殺を喰らった。この時、ターナーは悔しがってヘルメットをグラウンドに叩きつけ……たりはしなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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