重い精神障害の方に行われる治療【電気痙攣(けいれん)療法、ETC とは何か?】
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
今日は、ETC、電気痙攣(けいれん)療法 について、お話したいと思います。
電気痙攣療法とは、重い精神障害の方に行われる治療です。
たとえば、重いうつ病や双極性障害や統合失調などです。
通常は、薬物治療などで効果が見られなかった場合に行われます。
電気痙攣療法では、治療器から、短時間、こめかみにつけた電極を通して電流を脳に流し、痙攣を起こさせます。治療中は、患者さんが麻酔薬で眠った状態で行います。
脳に痙攣を起こさせると聞くと、大変に怖いイメージを持つかと思いますが、専用治療室で慎重に行いますので、患者さんがケガをすることはありません。
通常、治療は開始から終了までおよそ30分から45分ぐらいで終ります。
多くて週に2~3回行います。多くの方は、4~5回の治療で、顕著な改善が見込まれます。治療終了まで、平均6~8回の治療が必要とされています。まれに10回を超える治療をされる方もいらっしゃいます。
電気痙攣療法は、脳のすべての神経細胞を一度に興奮させます。その興奮が全身の筋肉を刺激しますので発作のように見えます。この脳神経細胞の興奮が、数種類の脳内神経化学伝達物質を放出して、うつ病や統合失調症を改善すると言われています。
電気痙攣療法は、抗うつ剤や抗精神病薬のように、うつ症状をやわらげ、精神症状をコントロールします。薬物よりも即効性があると言われています。
そんな夢のような治療法ですが、電気痙攣療法には副作用もあります。
次回は、電気痙攣療法の副作用についてお話したいと思います。
電気痙攣療法(ETC)の副作用・危険性について
電気痙攣慮法には、危険な副作用がありますが、出現することはまれです。
電気痙攣療法の副作用により、死亡する場合もありますが、その頻度は5万回に1回程度で、出産に伴う死亡の危険性より低いのが実情です。
電気痙攣慮法を行う際には、全身麻酔と筋弛緩剤を使うので、脳だけではなく、心臓や血圧に影響を与えます。その結果、治療直後に、頭痛・筋肉痛・めまい・嘔吐・恐怖感・錯乱をみることがあります。けれど、それは数時間以内に消失することがほとんどです。
電気痙攣療法を行った後、患者さんから最も多い訴えは短期・長期記憶の喪失です。実際、電気痙攣療法の直前・直後の記憶が一時的に失われることがあります。また、10人に1人の割合で、記憶喪失が発生します。そういった方は、最近のいくつかの出来事を忘れてしまいますが、電気痙攣療法を全部終えて、数週間たつと、失われた記憶がよみがえってくることがほとんどです。
何かと、恐ろしいイメージがある電気痙攣療法ですが、副作用は薬物療法にも精神・心理療法にもあります。よって、電気痙攣療法だけ特別に恐れるのは、誤りです。
薬物が効かないうつ病の方に、希望となる治療法、それが電気痙攣療法です。
最後に、副作用の少ない電気痙攣療法ですが、効果は、残念ながら、数カ月しか続かないことがほとんどです。よって、治療を行った後も、医師の指示に従い、根気よく薬物治療や精神療法を受け続ける必要があります。どうぞ、良くなったからと言って、勝手に通院を止めないようにしてください。
というわけで、今日は、「電気痙攣(けいれん)療法 と何か?」についてお話しさせて頂きました。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。