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「スナックJUJU」東京ドーム店に小田和正、鈴木雅之、NOKKOと5万人が来店し、一夜限りの狂乱の宴

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
2月17日東京ドーム

「スナックJUJU」東京ドーム店は“世界最大のスナック”。5万人が熱狂

今年デビュー20周年のJUJUが「ソニー銀行 presents -ジュジュ苑スーパーライブ- スナックJUJU 東京ドーム店 ~ママがJUJU 20周年を盛大にお祝い!! 一夜限りの大人の歌謡祭~」を2月17日に東京ドームで行なった。

ライヴPHOTO/Michiko Kiseki(KISEKI inck)、Chie Kato(CAPS)、Kayoko Yamamoto
ライヴPHOTO/Michiko Kiseki(KISEKI inck)、Chie Kato(CAPS)、Kayoko Yamamoto

「スナックJUJU」がついにここまで来た――「スナックJUJU」はJUJUが“ママ”として昭和歌謡を中心に歌い上げるカヴァーシリーズで、2016年リリースのカヴァーアルバム『スナックJUJU ~夜のRequest~』は大ヒットを記録。ライヴも国立代々木競技場第一体育館、さいたまスーパーアリーナ、横浜アリーナ等とスケールアップし、“世界最大のスナック”として開店し、昨年は全国で「スナックJUJU」を開店して欲しいという多くのファンの声に応え、初の47都道府県(全53公演)公演を行い、今年ついに“水道橋店”=東京ドーム店を開店させた。ママの歌が聴きたくて、ママと一緒に飲みながら話がしたくて、この日も5万人のお客さんが駆け付けた。

昭和歌謡や名曲の数々をママが一曲一曲丁寧にかつ繊細に、そして大胆に歌う

<それでもわたしは 今日も恋の歌 うたってる>――本編最後で歌ったちあきなおみの名曲「喝采」の歌詞だが、この言葉が「スナックJUJU」の、そしてママの歌のテーマになっているのではないだろうか。昭和歌謡は恋愛のシーン、その主人公達の心情を綴ったドラマティックな歌詞とメロディで描かれている曲が多い。そんな名曲の世界観をママが一曲一曲丁寧にかつ繊細に、そして大胆に歌い、伝えていた。

アリーナにはテーブル席がズラリ
アリーナにはテーブル席がズラリ

東京ドーム店のボーイ・人気声優の神尾晋一郎の影アナが流れてきて、開店が近いことを告げる。オープニングナンバーは「二人でお酒を」だ。大きな拍手に迎えられママがステージに登場。バンマス・石成正人率いる超一流の“流しのミュージシャン”達の音と、ママの歌声が広い会場に溶けて行く。今、“お酒”という言葉を一番美しく、美味しそうに伝えられるのはママだろう。アリーナに円卓テーブルがズラリと並ぶ光景は圧巻。スナックというより世界一大きく派手なキャバレーのようにも見えてくる。「メモリーグラス」でLEDリストバンドが点灯し、客席は美しい“お酒の花”が満開したような光の海になる。「じれったい」を歌い終わるとママから“いらっしゃい”の挨拶だ。客席から「ママー!」の掛け声が飛び交う。「私、当店のママでございます。本日はこの水道橋のお店に足お運びいただき、ありがとうございます。楽しい一夜限りの歌謡祭になるといいなと思っています」。

オリジナル曲とアーティストに対しての、リスペクトと大きな愛を感じる歌とアレンジ

ここから異国情緒を感じさせてくれる2曲を披露。「桃色吐息」はママの妖艶な歌をアコギ、ストリングスが彩り、まるで吐息のようなフルートが印象的だ。「異邦人」はあの印象的なイントロを含めてライヴアレンジにひこまれる。この日披露した全ての曲について、オリジナル曲とアーティストに対してのリスペクトと、大きな愛を感じさせてくれる歌とアレンジだった。

「今日『スナックJUJU』に初めて来た人?」というママの問いかけに反応した客席に対し、「どうも一見さん達、私“初めまして”という言葉、大好きです」と、優しく迎え入れる。そしてスナックJUJU恒例のお客さんとのデュエットはドーム店でも変わらず行なわれ、デュエット相手がジャンケンで決まる。ステージ上で5万人を前にママとデュエットする強者が選ばれ、欧陽菲菲の名曲「ラヴ・イズ・オーヴァー」を披露した。5万人を前に堂々と歌い切り会場を盛り上げ、一生の思い出になったはずだ。

鈴木雅之が誰もが聴きたいヒット曲メドレーで盛り上げ、ママとスナックデュエットの大定番「ロンリー・チャップリン」を披露

鈴木雅之
鈴木雅之

この日、最初のスーパーゲストが来店すると大歓声が沸く。第1号店の国立代々木競技場第一体育館にも来店した“ラヴソングの王様”鈴木雅之だ。「め組のひと」~「違う、そうじゃない」と誰もが聴きたいヒットメドレーで会場のボルテージを一気に上げる。さすが“常連さん”といえる存在感だ。そしてスナックデュエットの大定番「ロンリー・チャップリン」では、酸いも甘いも噛みしめ、修羅場もくぐり抜けてきたであろう二人の大人が、指を絡ませながらデュエット。どこまでも濃厚かつ美しくて、その極上のハーモニーに聴き惚れる。誰もが口ずさみながら聴き入っていた。

「スナックJUJU」の人気コーナー「今月のユーミン」は「翳りゆく部屋」

お客さんとのデュエットと共に「スナックJUJU」には欠かせないコーナーで、ママとJUJUが愛してやまないユーミンのカバーを歌う「今月のユーミン」も楽しみのひとつだ。「あの時のあの別れを思い出しながら聴いて下さい」と「翳りゆく部屋」を切々と歌うと、感動が広がっていく。

NOKKOが圧巻の歌声を披露

そしてこの日2人目のスーパーゲストNOKKOが初来店。子供のころからNOKKOの大ファンだというママの熱いラヴコールが実った。「フレンズ」~「RASPBERRY DREAM」と誰もが知っている名曲をパワフルなボーカルで披露するNOKKO。「80年代のストリートからやってきました」というNOKKOはクールでスタイリッシュ。ママは「こんなにかわいい方が世の中にいるのかと思った」と当時を振り返り、心からの喜びと感謝を伝える。そして「昭和の曲は生きる力をもらえる曲が多い」と自身に希望をくれたという「Maybe Tomorrow」では、幸せをかみしめながらNOKKOの歌声に聴き入っていた。その圧巻のボーカルと壮大な照明、石成正人のエモーショナルなギターソロが交差し、ひとつになり感動が押し寄せてくる。

東京ドーム店でしか実現しない、ママが場内をトロッコで移動しながら「スナックJUJU」名物の「お悩み相談コーナー」へ。お客さんからの質問に、人生経験豊富なママから芯を食った答えがおくられる。センターステージに到着するとスタンドからは、大きな歓声が。ギター・コーラス・ヴィオラ・チェロというアコースティック編成で「なごり雪」を披露。そして美しいコーラスが響き渡り「いとしのエリー」が、湘南の美しい空と海の映像と共に届けられる。ママのボーカルが、色褪せない昭和の名バラードの切なさをさらに色濃くして運んでくる。

小田和正の登場に客席がどよめく。「言葉にできない」をピアノだけで披露

小田和正
小田和正

昨年の「スナックJUJU」のツアーでは、それぞれの会場でご当地ソングを披露してきたが、その中でもう一度聴きたい曲のリクエストを募り、選ばれた「伊勢佐木町ブルース」では、「むせび泣くようなサックス」が響いてきて、ママの歌は言葉とメロディをさらに艶やかな色で染める。トロッコに乗りながらセクシーさを振りまき、さらに「どうにもとまらない」ではパワフルなヴォーカルで客席を煽る。歌い終わると照明が落ち、次の瞬間ステージにピンスポットが当てられ、そこにピアノと小田和正の姿が浮かび上がると、ドーム全体からどよめきが起こる。この日最後のスーパーゲスト、小田和正はピアノだけで「言葉にできない」を歌い始める。美しく澄んだ声がどこまでも伸びていき、ストリングスが重なると得も言われぬ感動が押し寄せてくる。2コーラス目はママとデュエットが実現。貴重なシーンを目撃することができた。

あの名曲のイントロが流れただけで大歓声が。「YES-NO」「ラブ・ストーリーは突然に」をデュエット

「小田さん、はじめまして。スナックJUJUへ、ようこそおいでくださいました。本当にありがとうございます」と感謝を述べるママは本当に嬉しそうだ。「Yes-No」では会場が総立ちになり、ノリノリでデュエット。小田の変わらない瑞々しい声がドームを包み込む。そしてあのギターのイントロが鳴り響くと、ドームに大歓声が沸く。「ラブ・ストーリーは突然に」だ。客席の温度がグッとあがる。二人はステージの端まで行き歌い、腕を組んでステージ中央まで楽しそうに帰ってくる姿に、客席も笑顔だ。ステージを後にする小田にいつまでも大きな拍手が贈られる。

中森明菜のあの名曲では5万人の“合いの手”が炸裂

そしていよいよスナック定番メドレーは「あゝ無情」から。早速ド派手な火柱があがり、「DESIRE-情熱-」では、お馴染みの合いの手の5万人バージョンはまさに圧巻だった。ママも気持ちよく歌えたはずだ。東京ドーム店でしか感じることができない熱狂に誰もが熱くなった時間だ。「嵐の素顔」、「淋しい熱帯魚」、「ミ・アモーレ」と、スナックに欠かせない名曲達が次々と繰り出され、まさに“狂乱の宴”だ。

そして本編ラストは「喝采」。ちあきなおみをオマージュした動きで完全に歌の世界に入るママ。言葉数が少ない短い歌詞なのに、色はもちろんその空気感までがハッキリと映像として浮かんでくる。歌詞の行間に潜む様々な思いをママの歌が掬い上げていく。<それでもわたしは 今日も恋の歌 うたってる>という歌詞が、ママの心情と重なるのではないだろうか。

アンコールではママに代わってJUJUが登場し、最新曲「一線」やヒット曲メドレーを披露。「これからの20年に続くよう、いろんなことを皆さんと楽しみたい」

アンコールでは、「泣きながら帰って行った」というママに代わって、JUJUが登場。ドラマ『グレイトギフト』(テレビ朝日系木曜ドラマ)の主題歌「一線」を初披露し、「JUJUメドレー2024」へ。「What You Want」「素直になれたら」「明日がくるなら」「ラストシーン」そして「この夜を止めてよ」「S.H.E.」「YOU」、そして5万人の合唱が感動的だった「やさしさで溢れるように」。20年間誰かの物語、ストーリーを「語り部」として歌い続けてきた、JUJUの歌の豊潤さと誠実さを改めて感じさせてくれたメドレーだった。「皆さんに連れてきていただいたこの20年。そしてこれからの20年に続くよう、これからもいろんなことを皆さんと楽しんでいければと思います」と、20周年の感謝の言葉を客席に届け、熱狂の一夜は幕を閉じた。

6月から約3年ぶりの全国アリーナツアーがスタート。“その先”へ

写真提供/ソニー・ミュージックレーベルズ
写真提供/ソニー・ミュージックレーベルズ

JUJUは約3年ぶりの全国アリーナツアー『JUJU 20th ANNIVERSARY ARENA TOUR 2024 「YOUR REQUEST」』を6月からスタートさせる。進化を続けてきた20年を経て、さらに“その先”を感じさせてくれる歌を聴かせてくれるはずだ。

【Band&Dancer】

Guitar/Band Master:石成 正人

Piano/Keyboards:草間 信一

Bass:SOKUSAI

Drums:天倉 正敬

Chorus:Olivia Burrell

Chorus:Mayo Samira

1stViolin:中島 知恵

2ndViolin:島内 晶子

Viola:村田 泰子

Cello:越川 和音

Saxophone:本間 将人

Trombone:鹿討 奏

Trumpet:吉澤 達彦

Trumpet:佐瀬 悠輔

Dancer:IDE MIU

Dancer:KANATA

Dancer:Sayaka

Dancer:Lisa

Dancer:Mitsuki

Dancer:Saya

【セットリスト】

1.二人でお酒を

2.メモリーグラス

3.じれったい

4.桃色吐息

5.異邦人

6.CHA-CHA-CHA

7.め組のひと~違う、そうじゃない

8.ロンリー・チャップリン

9.私はピアノ

10.恋におちて

11.ラヴ・イズ・オーヴァー

12.翳りゆく部屋

13.フレンズ~RASPBERRY DREAM

14.Maybe Tomorrow

15.なごり雪

16.いとしのエリー

17.伊勢佐木町ブルース~どうにもとまらない

18.言葉にできない

19.Yes-No~ラブ・ストーリーは突然に

20.あゝ無情~嵐の素顔~淋しい熱帯魚~DESIRE-情熱-~ミ・アモーレ[Meu amor é...]

21.喝采

【Encore】

EN1.一線

En2.JUJUメドレー2024

(What You Want~素直になれたら~明日がくるなら~ラストシーン~この夜を止めてよ~S.H.E.~YOU~やさしさで溢れるように)

JUJUオフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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