新たな台風10号発生!太平洋側を直撃か…なぜ相次いで発生?今後の進路・列島への影響は:気象予報士解説
気象庁は22日午前3時、日本のはるか南の海上で台風10号が発生したと発表しました。今月6個目の台風発生です。
まだ予報円が大きく予想に幅がありますが、各国のさまざまなモデルのどれに近い進路を取ったとしても、来週前半、日本への影響が大きくなりそうです。
また22日夜~明日23日(金)にかけては台風9号から変わった低気圧が近づく北海道に警報級の大雨を降らせる見通し。
さらには沖縄付近の熱帯低気圧の影響もあって日本付近への暖湿気の流入は続き、22日を含め全国的に雷雨が発生しやすい状態も続きます。
切れ間なく台風が発生し、台風や熱帯低気圧の影響を受け続けている日本列島。なぜここまで台風の発生が相次いでいるのでしょうか。気象予報士が解説します。
台風10号は暴風域を伴って来週前半に太平洋側へ接近か
日本のはるか南の海上、ちょうどグアムやサイパンのあたりで発生した台風10号は、今後高い海面水温の海域を通りながら発達し、暴風域を伴いながら来週前半には西~東日本の沿岸に近づく見通しです。
現在の気象庁の予報円は、日本の気象モデルだけでなく、アメリカやヨーロッパなど各国のモデルの計算結果を加味してあるので、それらの予想がバラついていて予報円が大きくなっている状態です。
ただ、まだ予報に幅があるとはいえ、東海道新幹線のように東西に長く延びる交通機関は影響を避けられないおそれがあります。
なぜ台風発生が相次ぐ?
今の時期はもともと、フィリピン付近に「モンスーントラフ」と呼ばれる、低気圧のように反時計回りに風が吹くようなエリアが形成されることが多く、そこでよく台風が発生します(回転の状態や大きさによっては「モンスーンジャイア」と呼ぶこともあります)。
通常はフィリピンのすぐ東側で形成されるのですが、今年2024年夏はそれがさらに東、つまり日本から見ると南の海上で形成されていて、日本に近いところが台風の"多産エリア"になってしまっているのです。
実は8月はもともと台風の発生が1年で一番多く、平年でも5.7個発生するので、6個という発生数自体が極めて多いわけではないのですが、それが日本の南の似たような場所ばかりで発生するのが普段と違う点です。
なお、「モンスーントラフ」(または「モンスーンジャイア」)の位置が日本に近づくこと自体はそれほど珍しくなく、たとえば東北太平洋側に初めて台風が上陸した2016年の8月にも同様のことが起きていました。
少し専門的な話ですが、エルニーニョが終わってラニーニャに向かうタイミングで、こういった現象が起きやすいということが知られています。
22日は元・台風9号の影響に警戒を
22日は台風9号だった低気圧を含む雨雲が北海道に接近し、午後には日本海側から雨の範囲が広がるでしょう。22日夕方から23日夕方にかけての24時間で最大150ミリが予想されていて、これは普段雨の少ない北海道では川の氾濫などの災害が起きるおそれのある、警戒すべき数字です。
東北~九州は広く大気の状態が不安定になり、午前のうちから雨が降るところが出てきそうです。また午後は九州や中部地方で発雷確率が高くなっています。
東日本ではそのぶん気温があまり上がらないところもありますが、それでも気温が30度前後で湿度が高い状態なので、むしむし感はありそうですし、西日本は相変わらず猛暑です。
また沖縄も、九州の南に停滞する熱帯低気圧の影響で雷雨のおそれがあります。
さらに、21日の時点で関東沖にあった熱帯低気圧は温帯低気圧となって小笠原付近に南下するため、小笠原諸島でも雷雨となるでしょう。
23日も北海道は大雨続く/週末は最新の台風情報を入手して
23日(金)にかけても北海道は大雨が続く見通しで、さらに北海道付近の低気圧から延びる前線が東北~西日本の日本海側にも雨を降らせそうです。
そして来週前半は台風の影響を受けるおそれがありますが、おそらく進路や強さの予想が固まってくるのが土日の間だと思われます。そのため、土日の間も最新の気象情報を確認し、週明けに対応に焦らないように備えておきましょう。
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