【和菓子×母の日】ビーツで染められた体想いの練り切りに、フルーティーな中餡を添えて
季節の花々だけではなく、イベントごとにスポットライトを浴びる花たちの意匠も増えてきた今日の練り切り。
今年の母の日にも、全国津々浦々の和菓子屋さんからカーネーションを盛り込んだ意匠のお菓子が多数登場しておりますが、私は大阪「本まつばや」さんの若旦那、松下壮太郎さんが提案するカーネーションを。松下さんの練り切りをはじめとする上生菓子を何度かいただいたことがあるのですが、楚々とした佇まいながらも一歩先のセンスが盛り込まれたシンプルな意匠が印象的でした。
カーネーションの練り切りは、細長く伸ばして一定の長さに調整した練り切り餡を波型のようにウェーブさせ、中餡に貼り付けていくものが一般的。その花びらに表情をつけていくのが、各お店の個性ともいえるでしょう。
この度の作品は、両目がギザギザになった口金で絞った練り切り餡でしょうか、平らに絞りだされた練り切り餡を1枚ずつ組み合わせていくのも斬新ですね。
包まれている中餡には、とあるフルーツが使用されているそう。今回は、本まつばやさんの「カーネーション」をご紹介。
鮮やかなバーガンディといいますか、ワインのような色合いが上品かつモダンなスタイルの練り切り。その色合いの秘訣は、ボルシチでもお馴染みの赤い野菜・ビーツから抽出された天然色素。真っ赤でも紫でもない素敵な深み。
マイルドな芋の風味が優しく漂う練り切りの中には、一見するとごくごく普通の美味しそうなこし餡が包まれているように見えますが、なんと甘酸っぱいフランボワーズ餡!
更に、さっぱりとした果実の魅力をより引き上げているのが赤ワイン。フレッシュなフランボワーズには無いふくよかなまろやかさが加味されることにより、練り切りやこし餡のねっとりとした口当たりに合う自然かつ、ちょっと大人な余韻を醸し出しています。
黄色、ピンク、真っ赤なカーネーションの練り切りを多くお見かけ致しますが、花びらに筋がついた複雑な色味のカーネーションはなかなか珍しいと思いました。見た目だけではなく、ひと捻り効いた味わいも粋な練り切りを味わえて満足。
日本橋高島屋さんをはじめとする関東の高島屋・銘菓百選さんでは、2023年5月14日頃までの販売となっているそうです。
<日本橋高島屋・銘菓百選>
東京都中央区日本橋2-4-1高島屋本館 B1
03-3211-4111
10時30分~19時30分
東京メトロ東西線・銀座線「日本橋」駅より地下直結