名古屋の最新スポットの目玉は“芝生広場”。コロナ禍でも人気の理由とは?
シンボル・名古屋テレビ塔を中心に都心の公園が装いを一新
9月18日にリニューアルオープンした名古屋のHisaya-odoriPark(ヒサヤオオドオリパーク)。南北約1kmにわたる公園の敷地を再整備した新しい都市公園です。
合わせてリニューアルした名古屋テレビ塔、その周辺の商業施設も多くの人を呼び込んでいますが、これまで名古屋になかった景色、楽しみ方を生み出しているのが北側に設けられた「シバフヒロバ」「ケヤキヒロバ」、合わせて約6300平方mにわたる芝生の広場です。もともとこのエリアは樹木がうっそうと生い茂って昼間でも薄暗く、人影もあまり見かけないような場所だったのですが、樹々を大胆に伐採し、シンボルのテレビ塔まで視界が開けた開放的な空間に生まれ変わりました。
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公園のリニューアル後初のイベント「SOCIAL TOWER MARKET」が開催
そして、公園がリニューアルオープンして初のイベントとなる「SOCIAL TOWER MARKET」が10月17・18日から始まりました。3週にわたって土日2日ずつの日程で、24・25日および31・11月1日にも開催されます。クラフト系のマーケットとフードを組み合わせた野外イベントで、計6日間で合わせて約230店舗が出店します。
「SOCIAL TOWER MARKET」は今年で9回目(名古屋テレビ塔と久屋大通公園の改修工事期間と重なった昨年は名古屋城へ会場を移し「SOCIAL CASTEL MARKET」として開催)。2012年の第1回は、名古屋テレビ塔がアナログ放送の電波塔としての役割を終えた翌年で、存続さえ危ぶまれていた時期。長年、地域のシンボルとして親しまれてきたテレビ塔に再びにぎわいを呼び込むことで、新しい価値や魅力を作り出すことがイベントの最大の目的でした。感度の高いショップのセレクトも功を奏し、人気店には長蛇の列ができるほどイベントは初回から活況。以後、秋恒例の名古屋の人気イベントとなりました。
芝生広場が会場となり起こった過ごし方や客層の変化とは?
2年ぶりに名古屋テレビ塔のおひざ元へと帰ってきた「SOCIAL TOWER MARKET」。会場はこれまでより北側にあたる「シバフヒロバ」「ケヤキヒロバ」へ。さらに今回は新型コロナウイルスへの対策も不可欠とされるなど、様々な面で変化や新たな試みが採り入れられています。プロジェクトのリーダーである青木奈美さんにお聞きしました。
「出店者の間を空けて密にしないレイアウトを図りました。その分、一日の出店者数が70店舗と限られるため(これまでは200店舗以上)、初めて3週間連続開催にしました。店舗は週ごとにすべて入れ替え、毎週足を運んでも楽しめるようにしています」
会場が芝生広場になったことで、お客の過ごし方や層にも変化がみられるといいます。
「これまでの会場ではこちらがイスとテーブルを用意する必要があったのですが、芝生広場になったことで、来場者の皆さんがそれぞれレジャーシートやテントを持ち込んでくつろいでくれている。また、これまではマーケットやカルチャーに関心が高い人がお客さんの中心という印象があったのですが、公園で過ごすこと自体が目的となり来てくれる人の層が広がりました。芝生広場のおかげで、より幅広い人たちが、より自由に楽しめるイベントになったと感じます」
ウイズコロナの時代となり、キャンプ場をはじめ屋外の施設の人気が高まっています。そんな中で、公園というとてもシンプルなアウトドア空間に多くの人たちが求めるものがあったとも考えられます。
ただし、広い屋外とはいえ、集まった多くの人たちがレジャーシートを隣り合わせで広げる、やや“密”な状況も見受けられました。だからといって野外フェスのキャンプエリアのように芝生広場を区分けすることは難しく、自由さを守りながらも注意喚起を促す主催者の働きかけが不可欠です。青木さんも「店舗前に並ぶお客さんには距離を保つように声がけし、レジャーシートなどが密になっていると見られる場合は空いているスペースを案内するなど、常に会場全体に目を配って、人が集まってでもできるだけ密にならない環境をつくっていきたいと思っています」と語ります。
名古屋のど真ん中に誕生した芝生広場。新しい都市の楽しみ方を表現してくれる場になっていくと同時に、ニューノーマルの時代に対応した屋外空間の活用法でもよきモデルになっていくことを期待します。
(写真撮影/すべて筆者)