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「神童」ウーデゴールの処遇は。 狂い始めた当初のプラン。

森田泰史スポーツライター
レアル・マドリー戦のウーデゴール(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

レアル・ソシエダにレンタル加入中のマルティン・ウーデゴールだが、レアル・マドリーは来季に向けてウーデゴールの復帰を真剣に検討することになるかもしれない。

ウーデゴールは今季ソシエダで公式戦28試合出場7得点8アシストを記録。コパ・デル・レイで32年ぶりの決勝進出を果たすなど、好調を維持しているソシエダの攻撃をけん引している。

■レンタル移籍で成長

ノルウェーのストレームスゴトセトで名を馳せていたウーデゴールに、2015年1月にマドリーが目を付けた。リヴァプール、バイエルン・ミュンヘン、複数クラブとの競争を制する格好で、16歳のウーデゴールを引き入れる。当初はトップチームで練習させ、カスティージャ(Bチーム)で試合に出す考えだった。

だがウーデゴールにとって、2部B(実質3部)は小さなカテゴリーだった。すると、2017年1月にオランダのヘーレンフェーンにレンタル移籍する。ヘーレンフェーンで公式戦43試合出場3得点5アシストを記録。2018年夏に再びレンタル契約の形でフィテッセに加入して、公式戦39試合出場11得点12アシストを記録した。

フィテッセでの活躍が、リーガ復帰の扉を開いた。若手育成に定評があるソシエダがウーデゴールに関心を寄せた。ソシエダに素早く適応したウーデゴールは、9月にリーガエスパニョーラが選定する月間MVPに輝く。ミケル・オジャルサバル、クリスティアン・ポルトゥ、ミケル・メリーノらと瞬く間にスムーズな連携を見せるようになり、バスクのチームに不足しがちな「創造性」を担保した。

■レアル・マドリーにおける競争

マドリーは今季、フェデリコ・バルベルデが台頭している。それにより、中盤の序列に変化が訪れた。また、ジネディーヌ・ジダン監督は4-5-1のシステムを幾度となく使用している。5人の中盤で、対戦相手の自由を奪い、かつ効果的に攻撃する可能性を模索してきた。

今季、ウーデゴールはリーガ23試合出場(出場時間2012分)、パス本数1221本、パス成功本数1034本、パス成功率84%、シュート数29本、ドリブル数56回、ボール奪取数126回を記録している。

ウーデゴールの適性ポジションはインサイドハーフあるいはトップ下だ。ウィングやボランチに置かれると、ストロングポイントを出せない。ウィングの選手としてはスピードと突破力がなく、ボランチとしては守備の強度が足りない。

マドリーはウーデゴールをソシエダにレンタル放出する前に、2023年までの契約延長を行っていた。そして、ウーデゴール、ソシエダ、マドリーの三者はレンタル期間について「2年」で基本合意。しかしながら、ウーデゴールのパフォーマンスが、当初のプランを狂わそうとしている。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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