【女子アイスホッケー】日本スポーツプレス協会がスマイルジャパンの選手を育て続ける八反田孝行監督を表彰
開幕まであと8か月を切った「ピョンチャン(平昌)オリンピック」
冬季オリンピックで必ず最後の金メダルを争う男子のアイスホッケーは、ゲーリー・ベットマン コミッショナーが、NHLの現役選手出場を認めず、ピョンチャンではドリームチーム vs ドリームチームの真剣勝負が見られなくなってしまいました。
その一方で、日本のスポーツファンからの注目度が、日増しに高まっているのが、「スマイルジャパン」の愛称で呼ばれるアイスホッケー女子日本代表!
▼五輪予選と世界選手権で優勝
当サイトでも紹介したとおり、スマイルジャパンは、2月に苫小牧市で開催された「ピョンチャンオリンピック最終予選」で優勝し、2大会連続3度目のオリンピック出場権を獲得。
さらに4月には、オーストリアに乗り込んで「世界選手権ディビジョン1グループA(2部に相当)」でも優勝し、トップディビジョン再昇格を果たしました。
両大会で優勝を果たしたスマイルジャパンのメンバーの中で、「オリンピック最終予選」では21人中「7人」。「世界選手権」では22人中「6人」と、多くの選手が在籍するSEIBUプリンセスラビッツを率い続けているのが、八反田孝行(はったんだ たかゆき) 監督(58歳)です。
▼現役時代は「おとなしいディフェンスマン」?
苫小牧東高校から法政大学へ進み、卒業後は国土計画(その後、コクド、SEIBUプリンスラビッツと改称)の一員となった八反田氏の現役時代のポジションは DF(ディフェンス)。
当時のアイスホッケー専門誌に、
「いい意味での きかん気が、もっと出れば」
「性格的におとなしいので、もっとガッツあふれるプレーを」
このような寸評が記されていたとおり、「おとなしいディフェンスマン」だった(?)ものの、常に優勝争いを繰り広げた強豪チームの一員として、8年間プレーしました。
▼引退1か月後にコーチ就任
引退した1か月後には、兄妹チームの国土レディース(現在のSEIBUプリンセスラビッツ)のコーチに就任。
30歳にして指導者に転じた八反田氏は、その後、女子アイスホッケーが初めて正式種目に採用された「長野オリンピック」で日本代表のコーチ。翌1999年の「世界選手権」からは監督として、女子日本代表を率いました。
2001年の「世界選手権」を最後に、女子日本代表からは離れたものの、プリンセスラビッツでは監督として采配を振るい続け、女子アイスホッケーの指導者に転じてから27年目のシーズンを終え、来季に備えています。
▼日本スポーツプレス協会が表彰
この功績を称えようと立ち上がったのが、カナダを拠点に活躍中のフォトジャーナリストの 内ヶ崎誠之助(うちがさき せいのすけ)氏。
自らが所属する「日本スポーツプレス協会」が、毎年「縁の下の力持ち」としてスポーツ界に尽力や貢献し続けた人を表彰するのにあたり、今年の受賞候補者に八反田氏を推薦。
同様に推薦のあった16人と2団体の中から八反田氏が選ばれ、プリンセスラビッツの選手も駆けつける中、今夜都内で表彰を受けました。
▼一番の魅力は「人柄」
「一番の魅力は人柄です」
プリンセスラビッツの磯部彰マネージャーは、こんな言葉で八反田氏を評しています。
「もちろん厳しさもありますけれど、温かみがあってファミリーのような雰囲気を作ってくれます。とにかく温かい人ですよ。周りに気配りをし過ぎて、逆に自分が大変になってしまうこともあるくらいですから(笑)」と、遠征先などで時間を共有することが多い磯部マネージャーは、打ち明けてくれました。
▼八反田さんが監督でなかったら
実は、かく言う磯部マネージャーも、元々は女子日本代表のサポーター。
友人とともに、国内外の大会へ頻繁に駆けつけていたところから転じて、プリンセスラビッツのサポートスタッフに加わり、現在は会社勤務をしながら、チームマネージャーとして、20年近くにわたり八反田監督を支え続けています。
そんな磯部マネージャーは、最後に本音を打ち明けてくれました。
「八反田さんが監督でなかったら、こんなに長くチームマネージャーをしていなかったと思います」
▼監督業だけでは・・・
このように厚い信頼を受けている八反田監督ですが、監督業だけに心血を注いではいられません。
なぜなら、前任者が体調不良を理由に辞意を表明したため、日本アイスホッケー連盟の強化本部長に就任。
女子だけでなく、男子も含めた各世代の強化を司る大きな役割を託されたからです。
さらに在籍する(株)プリンスホテルでも重職に就き、多忙な毎日を送っているそうですが、現役時代に日本代表のキャプテンだった近藤陽子コーチがチームを離れたこともあって、寸暇を惜しんでプリンセスラビッツの練習にも足を運び続けています。
▼女子アイスホッケーを支えているのは
もっとも程度の差こそあれ、監督業だけに心血を注げない状況は、日本の女子アイスホッケー界に共通している点だと言えるでしょう。
トップレベルの国内クラブチームの監督やコーチであっても、ほぼ手弁当で指導にあたっているのが現状。
それにもかかわらず、世界のトップステージで戦えるまでの力をつけてきたのは、指導者の方たちの熱意抜きでは語れません。
「縁の下の力持ち」が日本の女子アイスホッケーを! そしてスマイルジャパンを支え続けているのです !!