Yahoo!ニュース

【女子アイスホッケー】「日本は速すぎた」ライバル国が白旗を上げたスマイルジャパンが世界選手権で優勝!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
アジア大会に続き世界選手権で優勝したアイスホッケー女子日本代表・スマイルジャパン(写真:アフロスポーツ)

今月15日(現地時間)からオーストリアのグラーツで開催されていた「世界選手権のディビジョン1(Div1)グループA(2部に相当)」で、アイスホッケー女子日本代表「スマイルジャパン」が優勝し、トップディビジョン(現在は上位8か国で争われている1部に相当=旧Aプール)へ、2大会ぶりに昇格することが決まりました。

▼4連勝で最終戦を待たずに優勝

大会は、地元のオーストリア、デンマーク、フランス、ノルウェー、前年のDiv1グループBで優勝し昇格したハンガリーと、日本の6か国が参加。

前年のトップディビジョンで最下位になり降格した日本は、初戦のハンガリー戦で藤本那菜(ボルテックス札幌)が、続くデンマーク戦では小西あかね(SEIBUプリンセスラビッツ)が、いずれも完封勝利をマークして連勝スタート。

その後も、ノルウェーと地元のオーストリアから白星を上げて4連勝。フランスとの最終戦を待たずして優勝を決めました。

▼強さを見せつけたスマイルジャパン

これまで4試合を戦って、日本の総失点は、わずかに「4点」

日本が放ったシュート数は、1試合平均「36本」なのに対し、相手に打たれたシュート数は「14本」

昨夜 1-4のスコアで日本に敗れたオーストリアの選手から、「日本の選手は速すぎた」との声が上がっていたように、強さを見せつけたスマイルジャパンは、トップディビジョン再昇格を決めました。

▼北京オリンピックへの道

ところで、2月に苫小牧市で開催された最終予選で勝利を収め、来年のピョンチャン オリンピックの出場権を勝ち取った日本ですが、今回の世界選手権優勝は、2022年の「北京オリンピック」へ向けても、アドバンテージになることを、ご存知でしたか?

国際アイスホッケー連盟(IIHF)は、世界選手権とオリンピックの成績をポイント化した世界ランキングを、シニアの世界選手権終了後に(オリンピック開催年は大会終了後にも)発表しています。

世界ランキングは、世界選手権とオリンピックの成績に基づき、

優勝→1200ポイント 準優勝→1160ポイント 3位→1120ポイント

と(基本は順位が1つ異なると20ポイント差。メダル獲得チームなどとの差を考慮して、40ポイント差をつける順位もある)各国の男女ナショナルチームの世界ランキングを決定。

しかしIIHFは、「各国の長期的な強化をランキングに反映する」ことを目的に、

当該年のポイント→100% 前年→75% 前々年→50% 3年前→25%

というように、直近の4季にわたる成績を対象にポイントを合計して、世界ランキングを決定しているのです。

▼ホームアドバンテージを得るには世界ランキングがカギになる!

当サイトに2月9日付で掲載した

でも紹介しましたが、ピョンチャンオリンピックの最終予選は(以下引用)、

「スマイルジャパン」の愛称で呼ばれる女子日本代表は、現在の世界ランキングが「7位」。ドイツ(同8位)、オーストリア(11位)、フランス(12位)と、1試合ずつ総当たりしてトップになると、2大会連続3度目の出場が決まります。

対戦国の中で世界ランキングが最も上位のため、自国開催権を有した日本は、ナショナルトレーニングセンターに指定されている白鳥王子アイスアリーナ(苫小牧市)に3ヶ国を迎え撃ちます。

出場国の中で世界ランキングが最上位だったため、ホームアドバンテージを得ることができたのです。(世界ランキングによっては、1次予選から戦う国もあります)

それだけに、(オリンピックシーズンは女子の世界選手権が開催されないため)再来季はトップディビジョンに復帰して戦うスマイルジャパンにとって、1つでも上の順位になり世界ランキングをアップさせることが、北京オリンピック出場権獲得へのアドバンテージになるのです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

加藤じろうの最近の記事