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さくら開花 半数で史上最早 4月も気温高い予想

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
最近20日間の平均気温の平年との差を示した図(気象庁ホームページより)

 タイトル画像は3月17日までの20日間の平均気温の平年差を表した図です。全国の約7割で、平年を2度以上上回っています。さらに3度以上は全体の17%を占め、東京も平年より3度高い、10.3度です。これは1か月先の気温に相当します。

さくら開花 全体の半数で最早

 この季節を先取りするような暖かさで、さくらの開花も記録的な早さで進んでいます。先週の木曜日(11日)に広島からスタートしたさくら前線は瞬く間に北上し、現在(18日午後5時まで)は西・東日本の20か所で開花しています。

この春(2021年)、さくらが開花した地点(3月18日午後5時現在、著者作成)
この春(2021年)、さくらが開花した地点(3月18日午後5時現在、著者作成)

 そのうち、観測史上最も早い開花となったのは広島を始め、福岡、東京、京都、名古屋など11か所で、全体の半数に上っています。これほどまで早咲きなのは2010年以来のことかもしれません。

環境の変化がさらに進む?

 さくらと言えば、以前は入学式の頃だったように思うのですが、今は卒業式の頃。春のイメージも変わりました。どのくらい変わってきているのか、東京を例に調べてみました。こちらは東京のさくら開花日を10年毎に平均したものです。

【東京】さくら開花日の変化を10年平均でみた図(著者作成)
【東京】さくら開花日の変化を10年平均でみた図(著者作成)

 1960年代、3月末に開花していたさくらは70年代と80年代は早くなったり、遅くなったりしながら、1990年代に入り、加速するかのように早咲きになりました。

 しかし、2000年以降は急にブレーキがかかり、変化が見られなくなった、そろそろ限界かと思われたのですが、昨年、今年は3月14日に開花し、再び、記録を伸ばしています。

 1990年代は冬は短く、雪は少なく、暖冬が当たり前になったときです。そして今、再び、大きな変化の波がやってきたように感じています。

 その原因は?すぐには考えつかないけれど、東京の場合は樹齢80年ともいわれる標本木あるのか、それとも周囲の環境にあるのか、もしかしたら気候そのものが変化する兆しなのでしょうか。

4月も気温高い予想

 きょう(18日)発表された向こう1か月間の気温予想によると、西日本から北日本にかけての広い範囲で、気温は平年より高くなる可能性が高く、その確率は70%となっています。

向こう1か月間の気温予想図(気象庁1か月予報より、著者作画)
向こう1か月間の気温予想図(気象庁1か月予報より、著者作画)

 まだ多少の寒さはあると思いますが、例年以上に暖かい空気に覆われやすい傾向に変わりはなく、あっという間に初夏がやってきそうな気配です。

 最新の予想によると、東京都心の満開は来週火曜日(23日)頃です。一年に一度だけのこの季節、あまりに駆け足ではもったいない気がします。

【参考資料】

気象庁:1か月予報、2021年3月18日

ウェザーマップ:さくら開花予想2021、2021年3月18日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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