人気ブッフェレストラン「グランサンク」は何故コース料理に力を入れるのか?
客室稼働率が高い舞浜エリア
宿泊が好調なホテルと言えば、どこを思い浮かべるでしょうか。
東京周辺では舞浜エリアのホテルは特に客室稼働率が高いことで知られています。舞浜には東京ディズニーリゾートがあり、日本全国からはもちろん、アジアを中心とした世界各国から観光客が訪れるので納得できるところでしょう。
レストランが人気オリエンタルホテル東京ベイ
舞浜駅の隣駅である新浦安駅からペデストリアンデッキで接続しているオリエンタルホテル東京ベイは、2013年8月から12月の平均客室稼働率が99%、2014年3月の平均客室稼働率もほぼ100%に近い状況でした。東京ディズニーリゾート・パートナーホテルであることはもちろん、レストランが充実していて、ファミリー向けとなっていることも好調となっている要因でしょう。
洋食を中心としたレストラン「グランサンク」、中国料理「チャイニーズ・テーブル」、日本料理「美浜」のいずれでもブッフェが行われています。ブッフェはフランス料理店やリストランテなどと違って小さい子供を連れて入ることができますし、三世代家族で訪れてもそれぞれが好きなものを選んで食べられます。加えて、値段が手頃な上に明朗会計で分かり易いので、非常にファミリー向けなのです。
特に人気が高いグランサンク
この3つのレストランの中でも特に人気が高いのが、2013年7月13日にリニューアルしたグランサンクです。
ローストビーフや鉄板焼や寿司といった実演を含む80種類以上のメニューがあり、スイーツでも評価が高いパークハイアットで製菓部門のスーシェフを務めていた長田学氏による珠玉のスイーツも並べられています。
246席もの広い店内は通路幅に余裕があって子供が安全に歩けたり、ルームモニターが設置されたキッズルームが併設されていたり、土日祝日には高さ65センチで子供の背丈に適したキッズブッフェコーナーが用意されていたりと、まさにファミリー向けのブッフェレストランとなっているのです。
リニューアルにおける新しい狙い
グランサンクはブッフェの客でいつも賑わっていますが、リニューアル時に「セミプライベートルーム」を新設し、ブッフェ以外の新しい方向性も探ろうとしています。
マーケティング担当マネージャーの布川淳子氏は「ご家族やご友人の大切な集まりで、特別な空間で落ち着いてコース料理を楽しんでいただきたかった」と目的を述べます。
総支配人の相原米夫氏は「技術とアイデアがある料理人がいるので本格的な料理をご提供したかった」と料理長に就任したばかりの石田裕氏の存在も大きいと話します。
従業員の技術力も向上させたい
相原氏は「ブッフェでも平日夜はお客さまが少なくなるので単価を上げたい」、さらに「質の高いコース料理もご提供できることを分かってもらい、ブランドを高めたい」と説明します。
しかし、それだけではなく、「従業員の技術力を高めることもしたかった」として、ブッフェだけでは「料理人は作る単位が大きいので大雑把になる」、加えて「サービススタッフは補充と皿を下げることが中心なので、細やかな対応が苦手になる」と、従業員の技術力向上のためでもあると語ります。
フレンチ・イタリアンのコース料理
相原氏が「フレンチだけでは堅苦しいので、イタリアンも取り入れている」と説明するように、ビストロからカフェ、創作料理を渡り歩いた石田氏の幅広いレパートリーによって、コース料理が構成されています。
食前の小さなお愉しみ
フランス料理でいうアミューズ・ブーシュです。
イクラに柚子の香りを付けているところは和を取り入れたコンテンポラリーなフレンチのようでもあり、灸った豚肉とプチトマトをピンチョス風にしているところは創作料理風のようでもあります。
イサキの灸り 鮑の肝ソース 鴨胸肉のづけ煮
鴨胸肉にはホールのままのマスタードを添えて、軽快な食感を表現しています。アワビには、その肝のソースを合わせられており、オーソドックスです。
フォアグラのポワレとホワイトアスパラのリゾット ハーブのサラダにバリカトアルペペを削って
胡椒のハードチーズであるバリカトアルペペを削って散らしています。パルミジャーノ・レッジャーノでは面白みがないということから、日本では珍しいチーズを使ったということです。
常陸牛フィレ肉とアスパラのロースト レフォール香るマッシュポテトとポルトソース
牛フィレ肉は肉本来の味を楽しめる火入れ加減となっています。精緻で色鮮やかなプレゼンテーションは絵画的で、抽象的なフランス料理を思わせます。
ブッフェからコース料理へ
布川氏は「コース料理をご利用するお客さまはリピーターが多い」と説明し、相原氏がその人気の理由を「東京まで行かなくとも、手頃な値段で本格的なコース料理を食べられることを分かっていただいた」からだと分析します。
副総料理長の亀井洋次郎氏が「全て任せている」と信頼を寄せる石田氏は「プライベートな空間なので、今後は目の前でパフォーマンスを行いたい」と今後に向けて構想を練ります。
グランサンクがブッフェで得意としてきたパフォーマンスを、今後コース料理でどう生かすのでしょうか。ブッフェに特化するレストランが増えている中であえてコース料理に力を入れるグランサンクに期待したいです。
情報
詳しくは公式サイトをご確認ください。