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ノーヒッター出場9試合のシーガー兄は、ポストシーズン未経験の現役選手では最多の1365試合に出場

宇根夏樹ベースボール・ライター
カイル・シーガー(シアトル・マリナーズ)May 19, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 シアトル・マリナーズは、最もポストシーズンから遠ざかっているチームだ。最後のポストシーズン進出は、2001年まで遡る。この年、マリナーズはレギュラーシーズンに116勝を挙げ、イチローは新人王とMVPを受賞した。

 その一方で、近年のマリナーズは、ノーヒッターと縁が深い。2012年以降のノーヒッター39試合中4試合は、シアトル・マリナーズの投手が達成した。これは、サンフランシスコ・ジャイアンツと並ぶ最多だ。それとともに、マリナーズはこのスパンに5試合でノーヒッターを達成されている。こちらも最も多く、マリナーズに次ぐ3チーム、ロサンゼルス・ドジャース、サンディエゴ・パドレス、ピッツバーグ・パイレーツよりも2試合多い。

 2012年にマリナーズからデビューし、現在もマリナーズでプレーするカイル・シーガーは、ポストシーズンを経験していない現役選手では、最も多くの試合に出場している。マリナーズがスペンサー・ターンブル(デトロイト・タイガース)にノーヒッターを達成された5月18日の試合は、シーガーにとって通算1364試合目だった。

 その前にマリナーズが関わった8試合のノーヒッターにも、シーガーは出場している。計9試合の内訳は、達成した側で4試合、達成された側で5試合だ。スタッツ社によると、1チームで9試合のノーヒッターに出場は史上最多だという。バート・キャンパネリスのノーヒッター出場は11試合、フェリペ・アルーレジー・ジャクソンはシーガーと同じく9試合だが、3人ともシーガーと違い、1チームではなかった。キャンパネリスは、オークランド・アスレティックスで8試合、テキサス・レンジャーズで2試合、ニューヨーク・ヤンキースで1試合だ。

 21世紀に入ってからデビューした選手では、チェイス・アトリーが8試合のノーヒッターに出場している。こちらは、フィラデルフィア・フィリーズで5試合とロサンゼルス・ドジャースで3試合、達成した側で5試合と達成された側で3試合だ。2015年7月25日にフィリーズのコール・ハメルズがノーヒッターを達成した時も、アトリーはチームに在籍していたが、この試合には出場していない。6月下旬から8月上旬まで、故障者リストに入っていた。

 ちなみに、シーガーの弟のうち、ジャスティン・シーガーはメジャーデビューできずにキャリアを終えたが、2015年にデビューしたコリー・シーガー(ドジャース)は、その年、レギュラーシーズンの27試合に出場後、ポストシーズンの5試合でプレーした。2017年にはワールドシリーズも経験。昨年はワールドシリーズ優勝を味わった。その前のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズから、2シリーズ続けてMVPに選ばれた。

 9試合目のノーヒッターに出場した翌日、カイルは通算216本目のホームランを打ち、こちらも新記録を打ち立てた。セーフコ・フィールド/T-モバイル・パークの通算本塁打を84本とし、5日前に並んだラウル・イバニエスネルソン・クルーズ(現ミネソタ・ツインズ)を追い抜いた。

 カイルがポストシーズンの試合に出場するのは、その日が来るとしても、マリナーズの選手としてではないかもしれない。7年1億ドルの契約は、今シーズンまで(来シーズンは1500万ドルの球団オプション)だ。

 なお、ノーヒッターの捕手については、先月、こちらで書いた。

ここ2度のノーヒッターは、どちらも同じ捕手がマスクをかぶっていた。これは「偶然じゃない」!?

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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