東北地方に初の「線状降水帯発生情報」 山形県・新潟県では厳重警戒を
きょう3日(水)は、朝に青森県と秋田県で、昼前には山形県と新潟県でそれぞれ「顕著な大雨に関する情報」が発表されました。これは線状降水帯と呼ばれる、非常に発達した雨雲の帯がかかり続けた時に発表される情報で、東北地方で発表されるのは運用開始以来初めてのことです。
既に東北北部では大雨の峠は越えていますが、新潟県~山形県では3日午後4時現在も発達した雨雲がかかり続けていて、土砂災害や川の増水などに警戒が必要です。
線状降水帯の要因は元台風と太平洋高気圧
きょう3日(水)は東北地方を低気圧が通過していました。この低気圧は、元々は台風6号だったものです。前線と一体化したことで名前は「温帯低気圧」に変わりはしましたが、元々が台風だったので大量の水蒸気を持っていて、それが大雨の要因となりました。
ただそれだけでは、一時的には土砂降りになっても線状降水帯にまではならなかったでしょう。線状降水帯ができたもう一つの要因は、関東から西に猛暑をもたらしている太平洋高気圧です。きょうも東~西日本は38度前後まで気温が上がりましたが、太平洋高気圧は南に退き始めていてこの縁に沿うように南からも水蒸気が供給されていました。
またきょう日中の気象衛星ひまわりからの様子を見ると、秋田県沖には非常に小さな雲の渦が見られました。天気図には描かれないくらい非常に小さな低気圧ができたものと思われます。この小低気圧周辺の回転も加わって湿った空気がより効率的に供給されたかもしれません。
いずれにせよ、元台風と太平洋高気圧との間で湿った空気が大量に流れ込み、動きも鈍くなったことで記録的な大雨になっていると思われます。
既に元台風の低気圧は東へ抜けつつあり、前線もあす4日(木)にかけて徐々に南に下がる見込みですが、これまでに降った雨で地盤が緩んだり、川が増水したりしています。また大きな川では、支流の川の水が注ぎ込むため時間差で水位が上がることもあります。大雨になった地域ではこの後も引き続き土砂災害や洪水に厳重な警戒が必要です。