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イスラエル退避 "日本人も乗せた"韓国のスピード判断 背景に「迅速対応チーム」あり

今回使用の軍用輸送機(KC-330)。2022年韓国「国軍の日」メディアデーにて(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

15日、イスラエルからの出国を希望する日本人8人を乗せた日本政府チャーター便がドバイに到着した。14日に手配が決まったという。

一方、13日夕方の時点で、韓国メディアにはすでに韓国人150人のほか、「イスラエルにいる日本人51人も共に韓国軍機で退避」のニュースを伝えていた。

韓国政府外交部(外務省)関係者が同国メディアの取材にこう答えている。

「武力衝突が急速に激化し、ガザ地区に対する軍事作戦も迫っている状況で、大韓航空をはじめとする航空会社のテルアビブ空港運航が中止またはキャンセルされたため、韓国国民の帰国支援が必要だと判断した」

軍用輸送機(KC-330)を使用した理由は「利用可能な航空機の中で最も迅速に投入できるのは軍用機」。さらに韓国外務省は「出国希望者が減少することが考えにくい状況のなか、(出国の需要を)一気に解消する必要がある」と伝えた。

そして日本人51人もそこに搭乗した理由について。

「利用可能な座席が230席以上あるなか、希望する韓国人を除いても座席が余っていた。人道的な観点から日本人にも搭乗を提案した」

「これまでも韓国と日本は海外での緊急事態の際にお互いに協力をしてきた事例も多い」

その他、シンガポール人6人も搭乗した点も既報のとおりだ。これらの点は14日午前の段階で韓国外務省からのプレスリリースとしても発信されていた状態だった。

韓国外務省が規定する「迅速対応チーム」

なぜ韓国の動きが速やかだったのか。

背景の一つに韓国外務省が規定する「迅速対応チーム」の存在がある。

緊急時に編成される韓国外務省のチームが、韓国国防省と手を組み、今回の民間人の避難輸送を実現させた。

日本語のニュアンスだと「緊急対応チーム」と記したほうがより伝わりやすい。

韓国外務省の規定にも2005年から正式に規定されている非常設のチーム。

緊急事態が発生した場合に特別な部署として設立される。韓国以外で起きた事件や事故によって韓国国民や旅行者が被害を受けた場合に、本部の課長級以下の職員から予備人員として指名された60人が選定される。そのチームを現地に派遣して危機管理、物資提供、避難輸送を担当するタスクフォース。軽微な事態では部長が、重大な事態では次官がチームのリーダーとなる。

  • 今年5月、グアムでの強烈な台風で島内に長期足止めを食らった韓国人の支援のために派遣された韓国外務省「迅速対応チーム」

今年の6月にもスーダンからの韓国人退避のためにチームが編成され、パスポートも持ち出せずに逃れてきた自国人6人に特別発給を行うなどの対応を見せている。

スタートは2005年から。2004年に6月にイラクで武装グループによって韓国人のキム・ソンイル氏が殺害された事件を教訓とし、当時の盧武鉉政権で外相だった潘基文外相が新設。同年4月4日に発足した。以後、国防省は有事に備え民間と公共の合同訓練や災害対策訓練を行っており、海外の災害時に現地に派遣されている。

基本任務はこう規定されている。

- 迅速かつ正確に被害状況を把握する。

- 追加の被害が予想される場合には、予防措置をとる。

- 生存者に対して、治療などが速やかに行われるようにする。

- 現地を訪れる被害者の家族に可能な支援を提供する。

その他、現地韓国領事館との協力や、現地での通信断絶に備え、衛星電話など自らが準備する通信網を準備することなどが規定されている。

今回の「迅速対応チーム」は、「重大事案」とみなされ、韓国外務省領事安全局長と外務省の職員3人で構成された。同チームは今後もイスラエルの事態について、こういった方針で活動していくという。

「今後も陸路または第三国の航空便を利用してより安全な場所に移動し、イスラエルを脱出できるように指導、奨励、勧告する予定」

(了)

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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