Yahoo!ニュース

鎌ヶ谷スタジアムでの交流試合 こぼれ話あれこれ《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
阪神のマスコット・キー太(右)と、日本ハム2軍のマスコット・カビーが初競演!

先週末、6日と7日に行われたイースタン・日本ハムとの対戦は、阪神にとって今季最後のファーム交流試合でした。場所は千葉県鎌ケ谷市にある日本ハムのファーム施設、ファイターズタウン鎌ケ谷。前回訪れた2013年7月も、1軍並みに展開されるファンサービスに驚いたんですよね。その時の模様をスポニチ携帯サイト『岡本育子の小虎日記』に書いていました。

<2013年7月9日の記事>

中に入ると、バックスクリーンの大型カラービジョンにまたビックリ。試合前のスタメン紹介などで選手のプロフィールを流しますが、撮影してある動画が1人ずつ違うんですよね。試合中も選手登場曲とともに流れるのが、めちゃくちゃカッコイイ!あの大型ビジョンは今季からだそうですよ。

試合前後や5回終了時のインターバルだけでなく、他のイニング間にも色んなファンイベントがありました。12球団唯一のファーム専属マスコット・カビーのボール投げや、ファン参加型のベースランニング、かき氷早食い競争。また子供たちが新聞記者になったり、試合終了時のヒーローインタビューをしたり。

スタッフの方は「野球+テーマパークというコンセプトでやっていますが、やはり球団の協力が一番です」とおっしゃっていました。鳴尾浜と違い鎌ケ谷は有料だから、こういうイベントもできるんでしょうね。

私個人としては、売店のお弁当類が種類も多くて楽しめました。あとは斎藤佑樹投手の囲み取材に厚かましく参加して、そのボキャブラリーの豊富さ、標準語の美しさに感激しました。なんというんでしょうか、めちゃくちゃスマートなんです。鳴尾浜であまり感じたことのない…。

あ、それと!試合中のボールボーイ役を選手がやっていることにも驚きました。どうやらイースタンはみんなそうみたいです。ウエスタンは各チーム、アルバイトさんがやっているので新鮮!ファンの方も嬉しいでしょうね。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

敢闘賞をあげたい、カビー&キー太

グラウンド整備のトンボを持ったまま撮影に応じて下さいました。帽子がまたオシャレ!
グラウンド整備のトンボを持ったまま撮影に応じて下さいました。帽子がまたオシャレ!
こちらはお揃いのエメラルドグリーンのポロシャツに、やはりおしゃれな帽子。
こちらはお揃いのエメラルドグリーンのポロシャツに、やはりおしゃれな帽子。

あれから3年、“鎌スタ”はさらにパワーアップしたような気がしました。イメージカラーである黄緑がそこかしこに配され、グラウンド整備の皆さん方が着ていらしゃった『鎌ヶ谷ファイターズ』仕様ユニホームも印象的。伺うと「イベントの際だけ特別に着るもの」だとか。なお今回、試合は通常のユニホームだったんですが、選手もこの『KAMAGAYA』ユニホームで試合をする時があるみたいですよ。

とにかく同じ日本ハムでありながら、ファーム独特のカラーを前面に出す鎌スタ。中でもファームだけのマスコット・カビーはもう確固たる地位を築いています。前回もカビーが試合を盛り上げてくれていたのですが、今回は阪神のマスコット・キー太も参戦!試合前やイニング間のアトラクションでは、一緒にグラウンドを駆け回り、試合後は選手たちのバスが去ってからもファンの皆さんと記念撮影。遅くまで大活躍でした。

試合前のアトラクションで仲良く手をつないで走るカビー(右)とキー太。
試合前のアトラクションで仲良く手をつないで走るカビー(右)とキー太。

どの球場へ行ってもスタンドのお客様に大人気のキー太は、鎌スタでも「かわいい~!」とモテモテです。ところが、とあるゲームに挑戦中、ちょこっとズルをしてしまったキー太。進行役の女性から「え、キー太くんってそういうキャラだったの?なんだかイメージが…」と突っ込まれました。やっぱり関西生まれですからねぇ、ウケを狙うのは宿命のようなものかもしれません。とにかく猛暑の中で頑張ったカビーとキー太に敢闘賞です。

交流試合限定のあれこれ

黄緑を基調としたものなど鎌ヶ谷のオリジナルグッズが豊富なファイターズ。今回は交流試合限定の『コラボグッズ』として、カビーとキー太のイラストが入った商品も用意されていました。これまた大人気で、2日目の試合前にもうマフラータオル以外は完売という状態。タイトル画像でカビーが頭につけていて、キー太も右手首に巻いているはずだけど…ちょっと見えにくいですね。すみません。図柄は下の写真でご覧ください。

球場敷地内のグッズ売り場で販売されていた限定のコラボ商品。
球場敷地内のグッズ売り場で販売されていた限定のコラボ商品。
右が今回限定のタイガー丼、左は冷やし中華。あ、1人で両方食べたんじゃないですよ!
右が今回限定のタイガー丼、左は冷やし中華。あ、1人で両方食べたんじゃないですよ!

そして楽しみにしていた売店へ行くと、やはり今回の交流試合限定『タイガー丼』なるものが!焼鳥丼という感じなんですけど、ごはんがドライカレーになっていました。これがなかなかピリッとした味わいで、暑い時にはいいですね。他に冷やし中華も人気だったようで、これは定番メニューでしょうか。また300円を払えばソフトドリンクおかわり自由の“ドリンクバー”もあり、カップが普通のドリンクとは違って鎌ヶ谷ファイターズのロゴ入りってのも、ファンには嬉しいですね。

一塁側内野席にある『鎌スタプール』。チラッと見えた水しぶきがたまりません…
一塁側内野席にある『鎌スタプール』。チラッと見えた水しぶきがたまりません…

先日の記事でも書きましたが、3年前にオープンした『鎌スタプール』はスタンドの開門前から大盛況!近くで写真が撮れなかったので、三塁側ベンチ横のカメラ席から1枚。実は秋山投手が汗をダラダラ流しながら投げている、その肩越しにプールのお客様が見えたんですよ。どちらも顔や体から水が滴り落ちていたけど…同じ水でも大きな違いですよねえ。鳴尾浜のカメラ席、7月と8月だけプールにしてくれないかな。あ、水着は無理。撤回します。

とっても可愛いボールボーイ♪

3年前の記事の最後に書いていたボールボーイの件。よく考えたらジャイアンツ球場とか、山形や青森などイースタン主催のファーム交流試合を観たことがないので、記憶にあるのが鎌ヶ谷だけなんですけど、今回の試合でもやはり三塁側(ホーム)はファイターズの選手2人が待機していました。イースタン同士の場合は両サイドに2人ずついるんですかね?ウエスタンの球場ではアルバイトさんも含め、専門のスタッフがやっていますね。

7日の試合中盤にボールボーイを務めた男の子。バット、重くない?
7日の試合中盤にボールボーイを務めた男の子。バット、重くない?
5回が終わったところ、バットを取りに行ったら高濱選手が自ら拾い上げ…
5回が終わったところ、バットを取りに行ったら高濱選手が自ら拾い上げ…
仕方なく後ろについて戻ります。持ちたかった…かな?
仕方なく後ろについて戻ります。持ちたかった…かな?
ちょっと笑っていますね。ヘルメットが大きすぎて、でも可愛い!
ちょっと笑っていますね。ヘルメットが大きすぎて、でも可愛い!

鎌ヶ谷では子どもたちが、何イニングずつかで交代しながらボールボーイを務めるというのもイベントの1つ。これはルートインBCリーグ主催の試合でもよくありました。小さい子が一生懸命バットやボールを運んでいる姿は本当に可愛らしい。今回の鎌ヶ谷でも三塁側のベンチ横で、ファイターズの選手と一緒に座っていました。おそらく選手に言われて飛び出していくんでしょう。全力疾走で(笑)

バッターが打って走って、まだアウトかセーフか判定が出ていなくても、もうバットの回収にダッシュ!自分の身長くらいあるバットを持って戻ろうとしたら、小さな頭にはブカブカのヘルメットが脱げてしまい…拾わなきゃ!でもバットが邪魔、うわあ~。何とか倒れずに済んで見ている方もホッとした次第です。もちろん選手が助けに来てくれますが、やはり男の子。自力で決着をつけました。

4回裏、2死満塁で高濱選手が一ゴロに倒れた時も、バットを取りに走った少年。そこへ一塁から戻ってきた高濱選手が自分のバットを拾ってしまったため、少年は何もせず戻ってくることになったのです。高濱選手も申し訳なさそうな顔で、少年は手ぶらで。でも少年はしっかり走って帰りました。ちょっとはにかんだ笑顔を見せながら。10年後、この子はプロを目指して汗を流す野球少年になっているかもしれません。覚えていてほしいですね。

原口先輩の活躍を喜ぶ松本選手

交流試合の翌日、8日に20歳になった高濱祐仁選手は日本ハムに入って2年目。もと阪神で、2011年にロッテへ移籍した高濱卓也選手(27)の弟です。そういえば阪神に入った卓也選手のキャンプを見に来ていた時はまだ小学生だったんですよ。兄・拓也選手はことし開幕を1軍で迎えてから過去最多の53試合に出場、ホームランも放っています。早く1軍で対戦したい?と聞いたら「いや~まだ」と控えめな祐仁選手でした。個人的には札幌か幕張での対戦を見たいですね、早く。

6日は6番、7日は5番(ともに三塁)で出場した高濱祐仁選手。最後に中前打。
6日は6番、7日は5番(ともに三塁)で出場した高濱祐仁選手。最後に中前打。

そして1戦目の試合前に松本剛選手(23)とも久々に話ができました。3年前に鎌ヶ谷へ来た時、帝京高校の先輩&後輩ということで阪神・原口文仁選手について、当時ファームにいた杉谷拳士選手(25)と松本選手からコメントをもらったのが最初です。スポニチ紙面に出たのはこんな記事。抜粋してご紹介します。

まず1つ上の杉谷拳士内野手。「原口は僕らの代まで外野手をしていたんですよ。気づいたらキャッチャーやってて、阪神にも捕手で指名されてビックリしたほど(笑)。でも卒業後に見たら、すごい存在感に変わってました!バッティングはもともとよかったですね」と印象を話してくれました。「気持ちが本当に強い。家がすごく遠いのに、いつもきちんと朝練から来ていて感心した。原口は性格もいいし、とても真面目。ほんと可愛かったんですよ」

次に2つ年下の松本剛内野手は左足に自打球を当て先週復帰したばかりで「原口さんも左手首を骨折してたんですね。僕から連絡入れたんですが、行けないけど頑張ってと言われました」とのこと。「めちゃめちゃ真面目で、常にチームのこと考えてる人。本当に努力家。しかも自分で時間を見つけ、自分で考えてやるのがすごい」と先輩を語りました。

杉谷選手は今1軍なので会えませんでしたが、この取材以降にフェニックスリーグなどで会うと必ず挨拶してくれる松本選手は、わざわざ一塁側ベンチまで来てくれて、こんな言葉を。

「原口さん、すごいですよねっ!僕も嬉しいです!」

「阪神の試合結果とか今まで見たりしなかったけど、毎日チェックしていますよ」

まるで身内のことみたいに語っていました。ちょうど6月は松本選手が1軍にいなかったため、セ・パ交流戦での顔合わせはまだ実現していません。その日が早く訪れるよう祈っています。日本シリーズだったら、なおいいですけど。

松本剛選手は6日が右翼、7日は一塁(ともに1番)でフル出場。6日に2安打。
松本剛選手は6日が右翼、7日は一塁(ともに1番)でフル出場。6日に2安打。

実は会った時、1軍にいると思っていたので「あれ?」と言ったら「ちょっと前に落ちました」と苦笑いだった松本選手。またすぐ上がって活躍してくださいね。試合結果をチェックしておきますので。そうそう、きょう11日が23歳のお誕生日でした。おめでとうございます!

千葉の、鎌スタの皆さんに感謝

最後に、千葉県出身の掛布雅之監督のことを書いておきます。「千葉でタイガースのユニホームを着て試合するのは、プロに入ってから初めてですよ。鎌ケ谷も初めて。千葉市内に球場が5つくらいあって、高校時代はそこで試合をしていたから」。試合前のベンチでそんな話をしていて、スタンドにプールがあると伝えたら「ええっ!スタンドに?どこ?」と目を丸くされていた掛布監督。

試合には地元テレビ局の取材を受け「ファンの方があたたかく迎えてくれて、高校時代を思い出しますね。高校3年間、汗を流して正座をさせられて、よく叩かれたことを」と笑っていました。試合中に選手交代を告げる際も「掛布さぁ~ん!」と声が飛び、とにかく「お帰りなさい!」という言葉が印象に残っていますねえ。どの球場にいっても聞こえる「掛布コール」、鎌ヶ谷は一段と多かったと思われます。

ぎっしりと埋まった一塁側スタンド。
ぎっしりと埋まった一塁側スタンド。
7回には黄色い風船が舞いました。
7回には黄色い風船が舞いました。
1日間、朝から夕方まで頑張ったキー太。お疲れ様でした!
1日間、朝から夕方まで頑張ったキー太。お疲れ様でした!

掛布監督は「あたたかく迎えてもらって、気持ちよく野球をやらせてもらった」と感謝を述べ「滅多にない機会なので、やるべきことはしっかりやって、関東のファンの方々にもタイガースがこういう試合をするんだというメッセージを残して帰りたかった」と、足を絡めた攻撃などを振り返りました。「ファンの皆さんにいいところを見せ、勝って千葉を去りたい」という戦前の公約は果たされたわけですね。

3年前と同じく、タイガースファンが半分かそれ以上を占めたスタンドで、7回はジェット風船も飛んで大いに沸いたのは言うまでもありません。そして何よりも、ファイターズの皆さんが自チームと同じくらい、タイガースやキー太を盛り立ててくださったのが心に残りました。

ただし、これを鳴尾浜でというわけにはいかないでしょう。阪神鳴尾浜球場はもともとネット裏に150席くらいしかない“練習場”というスタートだったし、広島の由宇球場も『由宇練習場』が正式名称です。入場料が有料か無料かというだけでなく、鎌ヶ谷スタジアムとはコンセプトが違うような気もしますね。とはいえ、お客様に見てもらうことは選手にとって適度の緊張感を生み、さらに注目される1軍のあの舞台へ――と励みになるはずです。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事