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内野手2人と先発投手2人を放出したA’sは、開幕戦に登板予定のエースも手放す!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
フランキー・モンタス(オークランド・アスレティックス)Jun 21, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 フランキー・モンタス(オークランド・アスレティックス)は、開幕戦のマウンドに上がる予定だ。開幕投手を務めるのは、2年ぶり2度目となる。もっとも、そこには、開幕までにトレードで放出されなければ、という但し書きがつく。

 アスレティックスは、ファイヤー・セールを催している。3月中旬に、先発投手のクリス・バシットをニューヨーク・メッツ、一塁手のマット・オルソンをアトランタ・ブレーブス、三塁手のマット・チャップマンをトロント・ブルージェイズへ。さらに、4月3日には、こちらも先発投手のショーン・マネイア(とマイナーリーガーの投手1人)をサンディエゴ・パドレスへ放出した。

 この4件のトレードでアスレティックスが獲得した選手は、12人を数える。そのうちの9人は、まだメジャーデビューしていない。あとの3人も、メジャーリーグでプレーしたのは、計49試合に過ぎない。

 昨シーズン、バシットとマネイアとモンタスは、3人とも150イニング以上を投げ、3点台の防御率(とFIP)を記録した。バシットが157.1イニングで防御率3.15(FIP3.34)、マネイアが179.1イニングで防御率3.91(FIP3.66)、モンタスは187.0イニングで防御率3.37(FIP3.37)だ。それぞれの奪三振率は、9.10、9.74、9.96、与四球率は、2.23、2.06、2.74だった。29歳のモンタスは、3人のなかで最も若い。バシットは33歳、マネイアは30歳だ。

 放出した両投手は、今シーズン終了後にFAとなる。それまでに契約を延長しない限り、保有できるのは1シーズンだ。一方、モンタスは、来シーズンが終わるまでFAにはならない。その前に、アスレティックスがモンタスを手放すことはまず間違いないが、まだ売り急ぐ必要はない。今オフ、今夏、来オフ、来夏。その機会は4度ある。残り少ない今オフを除いても、あと3度だ。今シーズンの開幕までにトレードが実現するかどうかは、アスレティックスが交換に誰(と誰)を得られるか――モンタスを獲得しようとする球団が誰(と誰)を差し出すか――次第だろう。

 今オフ、アスレティックスは、3投手のうち、モンタスに最も高い「値札」をつけ、欲しがる球団に、その交換条件ではモンタスは出せないが、バシットかマネイアなら……と持ちかけた可能性もある。

 なお、マネイアは、4月3日のエキシビション・ゲームで、アスレティックスの先発投手として、パドレスに対して投げる予定だった。この日、マネイアは、パドレスの先発投手として、アスレティックスに対して投げた。背番号はそれまでと同じ「55」ながら、着ているユニフォームの色はグリーンからブラウンに変わった。だが、こちらはさすがに間に合わず、グラブの色はグリーンのままだった。

 アスレティックスが放出した内野手、2人のマットの「その後」については、こちらで書いた。

「2人とも、同じ球団からトレードで移籍後に延長契約。8年1億6800万ドルと2年2500万ドルの差は…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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