みやざきフェニックスリーグ閉幕 無敗で終えたチームは13年間で初《阪神ファーム》
10月30日をもって、ことしの『みやざきフェニックス・リーグ』が終わりました。雨と台風の影響を受け、少ないチームで5試合、多いところは半分の9試合も流しています。行われたのは全体で86試合。かなり中止があったという印象の昨年でも94試合は行われたので、これは16チームが18試合ずつの144試合制になった2009年以降で最少の消化数ですね。
29日の全試合が中止と決まった時点で、首位の阪神が7勝0敗2分け、2位の巨人は7勝2敗だったため、最終戦を待たずに阪神の優勝が決まりました。阪神は第1クールで4連勝、引き分け1つを挟んで3連勝、また1つ引き分けたあと最後の30日は勝って、リーグ戦は10試合で8勝2分けという成績。つまり1つも負けていません。
ことしで14回目となる『みやざきフェニックス・リーグ』ですが、初年度の2004年はイースタンのみで、NPB12 球団が参加して開催されるようになった2005年からは13年目。全日程を無敗で終えたチームは初めてです!まあ消化試合数が少なかったので比較は難しいと思いますけどね。それに第1クールの4連勝は1軍投手陣が登板していましたから。
個人的には13日から18日、26日から30日の滞在で、その間8試合予定されていたリーグ戦のうち5試合が中止。ほんと雨女ですみません。しかも29日までは、練習試合を合わせても3試合しか見られず、そのうえ1敗2分(5雨)という戦績で…。30日の朝、山田コーチに「勝ってないやろ!」と突っ込まれました。いや~最後に勝ってくれてよかった。山田コーチにも「勝ったな(笑)」と言っていただいて何よりです。
4回に先制、1点差を守り有終
遅くなってしまいましたが、素晴らしい青空と強烈な日差しのもとで行われた、30日の最終戦結果をご紹介します。この日はSOKKENNスタジアムで楽天と対戦。4回に陽川選手のソロなどで2点を取り、望月投手ら5人が計13奪三振!1点差を守って逃げ切りました。
《フェニックス・リーグ》 10月30日
阪神- 楽天 (SOKKEN)
楽天 000 000 100 = 1
阪神 000 200 00X = 2
◆バッテリー
【阪神】望月-小野-竹安-才木-石崎 / 坂本-長坂(6回~)
【楽天】池田(3回)-安楽(1回)-古川(2回)-森(1回)-小野(1回) / 堀内-下妻(7回~)
◆本塁打 神:陽川ソロ(安楽)
◆三塁打 楽:田中2
◆二塁打 楽:八百板、田中
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)
1]左:江越 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
2]遊二:北條 (4-0-0 / 3-0 / 0 / 0)
3]中:高山 (2-0-0 / 0-2 / 0 / 0)
4]一:陽川 (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0)
5]指:原口 (2-1-0 / 0-1 / 0 / 0)
6]二遊:糸原 (3-1-0 / 1-0 / 1 / 0)
7]右:板山 (2-0-0 / 1-1 / 0 / 0)
〃右:緒方 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
8]捕:坂本 (2-2-1 / 0-0 / 1 / 0)
〃捕:長坂 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
9]三:西田 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃打:梅野 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
〃三:西田※ (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
※特別ルールにより再出場
◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ
望月 4回 79球 (6-6-2 / 0-0) 155
小野 1回 15球 (0-2-0 / 0-0) 151
竹安 2回 32球 (3-2-1 / 1-1) 146
才木 1回 14球 (0-2-0 / 0-0) 152
石崎 1回 20球 (1-1-1 / 0-0) 152
《試合経過》 ※敬称略
まず打線から。1回は2死から高山が四球を選ぶも無得点。2回は三者凡退。3回は先頭の坂本が中前打して盗塁も決めましたが得点なし。しかし4回は1死から陽川が安楽の初球、141キロの真っすぐをライトへ!これが開幕戦以来の第2号ソロとなって先制します。
原口は四球を選び、続く糸原の中前打で果敢に三塁を狙うもタッチアウト。糸原が二盗、板山は四球で2死一、二塁となって坂本が左前タイムリー!二塁から糸原が見事な走塁を見せました。ただし、以降は6回に原口の左前打、8回に高山の四球があっただけ。追加点のチャンスはありません。
一方の投手陣は、先発の望月が1回に先頭の田中の右中間三塁打を浴び、1死後にオコエへの四球(盗塁成功)で二、三塁。さらに4番・西田からは見逃し三振を奪ったものの、続く八百板に四球を与えて2死満塁のピンチ。坂本と北條がマウンドへ行き、そのあと村林を一ゴロに打ち取って3者残塁!
2回も2安打を許しますが、最後は向谷を空振り三振に。3回は2死から八百板に二塁打されるも無失点。4回も2死から9番・出口の中前打と田中の中越え二塁打で二、三塁。ここも向谷から空振り三振を奪って、事なきを得ました。4回を投げ6安打ながら0点(ここまでで楽天は8残塁)に抑えて交代です。
5回の小野は3番から連続奪三振などで三者凡退。6回からは竹安と長坂のバッテリーに代わり、まず6回は2死後にヒットを浴びますが無失点でした。ところが7回、好調の先頭・田中に右中間三塁打を浴び、続く向谷の右前タイムリーで1点を返されます。四球や暴投はあったものの追加点は与えず。
8回は才木が2三振を奪って三者凡退。9回の石崎は先頭の田中にサード内野安打を許しましたが長坂が盗塁阻止!次の向谷の三ゴロ(バント)に西田が好反応、踏ん張って投げてアウト。オコエに四球を与えるも、最後は西田を変化球で空振り三振!試合終了です。
ちなみに阪神は5安打で2点、楽天は10安打で1点。ただし10安打のうち半分が1番の田中選手で、右中間三塁打、右前打、中越え二塁打、右中間三塁打、サード内野安打!全打席ヒットで5打数5安打でした。
積極的にいくための準備は必要
矢野燿大監督に勝ちましたねと言ったら「いやいや、勝ったことは別にええねん」と笑いながら、陽川選のホームランに「とらえた当たりではなかったけど、持ち味やし、ホームランを打てるってことは武器なのでね。でも凡打した時もしっかり一塁まで走ってるから。陽川に関しては、そういう姿勢がよかった。結果が出ないとなかなか積極的にいけないけど、気持ちも頭も体も準備がいる」というコメント。
続けて「坂本と糸原が盗塁したように、準備ができているからこそ積極的になれる。そのためにいろんな準備が必要ってことですよ。原口がサードでアウトになったけど、あれもナイストライ。でも、はじめから行く気だったらセーフにできたかもしれないってとこやね。きょうも積極性を見せてもらった」と振り返っています。
そのあとは今後の課題でしょう。「ただし一発で仕留めること、初球をファウルすること、そこのレベルが低いから(ここにいるメンバーは1軍の)レギュラーになれていないわけで。またこれから秋季キャンプで練習をしていきます」とのこと。
また、最終戦は3三振を喫するなどノーヒットだった北條選手について。この日も監督から何か話されていましたね?「うん、しんどいと思うよ。そういう時こそ(指につく際)、ポジションまでダッシュするとか。アイツはそういうことができると思う。悪い時にもできる。その姿勢は間違っていない。新しい選手が入ってきて、焦りもあるだろうけどね。1軍に上がらないといけない選手やから」
1点差を守りきった投手陣ですが「(個人的には)守らんでもよかったかなと。緒方に打席が回ってきた方がいいとも思って」という矢野監督。確かに最後、代打の準備をしていたけど打席は回らず。その気持ちを汲んだ筒井コーチの「さあ緒方、いいとこ守ってこい!」という声に送られて守備位置までダッシュした緒方選手でした。
実りの秋にしてほしい投手陣
次は、先発した望月惇志投手。試合を振り返って「ストレートがシュート回転して、左バッターに甘く入って打たれてしまいました。ちょっと力が入りすぎていた。もっとボールの質を上げないと。そういう面はまだまだです」とのこと。金本監督からの期待も大きいですね。「そう言っていただいているので、(秋季キャンプなどの)練習でアピールしていきたい」。そして2月は沖縄キャンプへ?「そこも1つの目標なので、課題を持って取り組みたいです」
なお高橋建投手コーチに望月投手のことを聞くと「いきなり三塁打でしょう?」と苦笑い。「調子よかったみたいですね。いきなり三塁打を許しながらゼロに抑えたのは評価したい。三振も取れていましたし、ゴロが多かったでしょう?ゴロアウトの多さは彼の、いい時のバロメーターなんですよ」。そして「打たれた球の軌道には納得できないけど、トータルで見れば抑えられる球の方が多かった」というまとめでした。
続いて5回を三者凡退の小野泰己投手。「1イニングを3人で抑えられたのはよかったと思います。先頭を抑えたのも。変化球は腕を振って、置きにいかずに、カーブがいい感じに抜けてくれたのがよかったです」
同じく三者凡退、150キロ以上を連発だった才木浩人投手は「もともと1イニングと言われていたので、けっこう力を入れて投げました。1イニングを3人でいこうと思って」と回顧。やはり金本監督が期待を寄せる投手です。「期待してもらっているので、練習の姿勢とか、いいものを出せたら」
来年は開幕1軍といきたいですね。「それはもちろん狙っています。チャンスがあれば。でもまず沖縄へ行けるように。秋季キャンプで自分のやることをやってアピールして、沖縄キャンプへ行けるように頑張りたい」。返事が気持ちいいくらい“直球”なのは、才木投手の魅力でしょう。
振って振っての毎日、それが来年に…
野手は打点を挙げた2人のコメントをご紹介します。開幕戦と最終戦、つまり最初と最後にホームランが出た陽川尚将選手。この日のホームランについては「ファールですよ(笑)」という反応でした。「そのあとの打席でストレートをファウルにしたので、そこをどうにかしないといけないですね。ファウルしてばっかりなんで、反省する部分です」
フェニックスで取り組んだのは?「ストレートを仕留めることでした。150キロ近いボールだとファウルになってしまう。これからキャンプもあるので頑張ります」。キャンプでの課題は?「全部ですね」。長打にこだわる陽川選手としては2本塁打は少なかったかもしれませんね。来年に期待しています。
最後は坂本誠志郎選手。この日は2打数2安打1打点、さらに盗塁も決めました。「よかったです」。連日の“連続ティー打撃”では「あまり考えずに自分のスイングをして、しっかりできるようにってことですね」と言いますが、その振り込みの成果が出たのでは?「(そう思うと)満足しちゃうので…満足しないように」。これは自分に言い聞かせているのでしょう。
秋季キャンプに向けては「振る力強さとスイングスピードを求めてやっていきたい。また、盗塁を刺したりという個人的なスキルが上がっていくように」という豊富でした。
<掲載写真は筆者撮影>