春のキャンプや車中泊で使う寝袋やシュラフの賢い選び方・買い方・チョイ寒の時の簡単対処法など
私の長年の厳冬期の雪山単独テント泊登山で身につけた寝袋(シュラフ)で快適に寝る知識を紹介します。皆様の春先や晩秋のキャンプや車中泊で使う寝袋やシュラフ選びにお役に立つかも知れません。
■寝袋についてのミニ知識
ところで、寝袋やシュラフですが、寝袋とシュラフは同じものです。寝袋は日本語ですがドイツ語だとシュラフザック(Schlafsack)と言い、短くしてシュラフです。英語ではスリーピングバッグ(sleeping bag)です。寝袋、シュラフ、スリープングバッグはどれも同じ物を指す言葉です。
この記事では寝袋で統一して書いていきます。寝袋の形状はマミー型(マミー mummy とはミイラのことで形が似ているからこう言います)と封筒型があります。性能的にはマミー型の方が上です。封筒型は簡易型と考えたほうが良く夏に使うなら良いのですが早春や晩秋の寒い時期には向きません。
中綿は天然のダウンと人工の化繊の2種類に分かれますが、ダウンの方が保温性能は断然高性能ですが値段がとても高いのが欠点です。しかし、春や秋にキャンプや車中泊を考えているなら無理してでもダウンをお勧めします。ダウンの寝袋は丁寧に使えば一生使えますから多少値段が張っても損はしません。
それではここからが本題です。寝袋を失敗しないで賢く選んで買う知識、上手に使う知識をお伝えします。
■寝袋を失敗しないで賢く選んで買う知識
大は小を兼ねると言いますが寝袋でもそうなのでしょうか? 答えはNOです。ハイスペックな厳冬期用の寝袋がひとつあれば1年中使えそうな気もしますが、実際には春や秋では就寝中に暑くてとても寝れたものではありません。その上、厳冬期用の寝袋はとても大きくて値段も驚くほど高いです。
例えば下の写真は私が雪山登山で使っている寝袋です。この寝袋で快適に寝られる最低気温はマイナス26度ですが収納した時の大きさもかなりなもので重さも1.9kgあり、値段も7万円近くします。春や秋のキャンプではこのようなオーバースペックな寝袋は必要ありません。
早春や晩秋のキャンプや車中泊なら予期せずに寒くなった時の事を考えて最低気温マイナス10度くらいに対応できる寝袋があれば北海道と東北地方を除くたいていの地域で使えると思います。
■寝袋選びのシミュレーション
例えば信頼が置ける国内の寝袋専門メーカーで有名どころのイスカの製品の中から選んでみると想定しますと、最低気温マイナス10度に対応するのはエアドライト670が最低使用温度マイナス15度です。これならマイナス10度でもかなり快適に寝られそうですがお値段は税込み57,200円!! お高いですね。その直ぐ下のクラスはエアドライト480で最低使用温度マイナス6度です。マイナス10度の時には少し寒いかなって感じですが値段は税込み44,550です。私ならエアドライト480とクラスがズッと下のBASICと言う製品ラインのウルトラライト最低使用温度10度税込価格11,000円の2つを選びます。2つを組み合わせることで早春や晩秋のマイナス10度に対応させ、夏にはBASICのウルトラライト最低使用温度10度のみを使います。
要するに「2種類の少し離れた最低使用温度の製品を組み合わせて使う」これが賢い寝袋の選び方です。
■私が使っている2つの寝袋
私が現在使っている寝袋は春秋用は中綿がダウンで450g入っている最低使用温度マイナス6度のマミー型の下の写真の寝袋です。
もうひとつ夏用に中綿がダウンで180g入っている最低使用温度8度のマミー型の下の写真の寝袋を使っています。
より寒い季節にはこれら2つを組み合わせて使います。中綿の量は合計630gになりマイナス15度くらいまでは快適に睡眠できます。
■実際の購入ではネットで調べて最適な製品をチョイスする
今回はイスカの製品を例にしましたが一流メーカーで揃える必要はありません。ネット通販では様々な性能、価格帯の寝袋が販売されています。これらを上手く組み合わせて選べば早春から夏、晩秋まで使える寝袋を2つで済ませることができます。
選び方のコツとしては、少し寒い時期用の寝袋は中綿はダウンで形状はマミー型の製品を。マミー型と組み合わせて使う夏用は廉価なマミー型、または封筒型でもOKです。中綿も必ずしもダウンである必要はありません。使い方は夏用がマミー型なら春秋用の寝袋の中に入れて使います。封筒型なら夏用の封筒型寝袋の中に春秋用のマミー型寝袋を入れて使います。
■少し寒い時の簡単で効果的な対処法
持っている寝袋では少し寒い。こんな事もあると思います。そのような時に良くやる方法として「持参した衣類をたくさん着込んで寝る」皆さんもやったことありませんか?
でもこの方法は全然効果無しとは言いませんが、特にダウンの中綿を使った寝袋ではそれほどの効果がありません。なぜなら衣類を着て寝袋に入るとダウン本来の保温性能が発揮できないからです。寝袋メーカーが製品に表示する最低使用温度はほぼ裸の状態で寝袋に入った時の温度なのです。ダウンは体温によって膨らみ保温性能が最大に達します。衣類を着ていると体温がダウンに効果的に伝わらず寝袋本来の保温性が発揮できないという訳です。ですから寝袋メーカーも寝袋で寝る時は下着程度の薄着で寝て下さいと提唱しています。
ではどうするか?
ジャンパーやレインウエアーなどの衣類があるなら着るのではなく寝袋の下に敷くか上に掛ける方が効果的です。下に敷けば下からの冷気が防げます。寝袋の上に掛ければ熱の発散を防ぐ効果があります。
より効果がある方法は使い捨てカイロを寝袋の足先の部分に入れて寝ることです。これはかなり効果があります。
足が冷えるとなかなか寝付けませんが足を温めると体全体が暖かくなります。更に効果があるのは使い捨てカイロの代わりに燃料式のカイロを使うことです。燃料式のカイロはハンドウォーマーなどと呼ばれることもあるようです。
燃料式のカイロは使い捨てカイロとは発熱量が違い断然暖かいです。春や秋にキャンプや車中泊をする方には燃料式のカイロは絶対お勧めです。但し使う時の注意点はカイロ本体は必ず付属の布袋に入れて使うことです。本体を剥き出しのまま使うと低温やけどする危険があります。付属の袋の代わりに靴下や手袋なども使えますので必ず何かに入れた状態で使います。
燃料式のカイロはゴミが出ずに繰り返し使えますし、長い目で見ればコスパも良好です。消耗品は火口(ほくち)だけです。火口は2シーズンも使うと劣化して発熱量が落ちてきますので取り替えたほうが良いです。燃料式のカイロはハクキンカイロやオイルライターメーカーのZIPPOから出ているようで、どちらもネット通販で本体、換火口とも購入できるようです。
以上、春先や晩秋の少し寒い時に使う寝袋の選び方や使い方のコツなどの紹介でした。皆様の野外活動のお役に立てれば幸いです。