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松井玲奈が松井玲奈である理由は、その言葉の力である

いしたにまさきブロガー/ライター/アドバイザー
オールナイトニッポンで卒業を発表する松井玲奈

SKE48の松井玲奈さんが、2015年の8月いっぱいで卒業です。別に芸能界を引退するわけでもないし、だからなんだっていう人も多いとは思うのですが、ちょっとどうしても心に残る感じのことがあったので、実際の卒業前に書いておこうと思います。

松井玲奈は、SKE48の中心メンバーの1人だしAKB48グループでもそうだし、乃木坂46にも所属していた時期もあるし、グラビアはもういつも最高難度をクリアする出来栄えで、選ばれたアイドルというのは、こういうものなんだなという感じで眺めていたわけです。

つまりは選ばれたアイドルがファンに惜しまれて、卒業の花道を飾る。そういうある意味とてもわかりやすい構図だと思っていたわけです。

ただ、少し前から松井玲奈さんの普通のアイドルから逸脱するような行動というのは、いくつか発見していたのですよ。

それは例えば、アイドル現場にプライベートで見に行くほどのアイドルオタクであることとか、その延長でツイッターとかで他のアイドル、それこそまだまだ売れていない人たちとやり取りしていたりすることなどが、まずあります。声優にも挑戦してますね。

そして、引き受ける仕事の多さだけではなく、守備範囲の広さとそのふり幅もなかなかのものがあります。なにしろ乃木坂46のメンバーとして、ファション誌の表紙を飾る仕事をしつつ、あのJTB時刻表と特別付録にまで登場するのです。

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また、付録がやりすぎなんですよね。企画ではなくて、あきらかに自分が好きで「東北」に行ってる感じが伝わってきます。

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松井玲奈さんのカメラは、たぶんオリンパスのOM-D。これも、アイドルの女の子が持つカメラとしては、かなり異色です。つまりは、本気すぎる。松井玲奈・石巻訪問の特集ページにもご本人の写真が掲載されています。

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あと、この日和山公園でのワンショットを選んだJTB時刻表の編集さんすばらしいです。日和山公園といえば、東日本大震災で被害が甚大であった石巻の象徴となっている場所で、その場所に立って松井玲奈さんのこの写真、これ背中が哀悼を語ってるもの。背中で語るアイドルってなんなんだ。

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さて、そんな松井玲奈さんですが、卒業目前ということで、イベント目白押しです。ライブは何本もあるのですが、先日ファン感謝イベントというのもお盆明けに開催されました。

17日、さいたまスーパーアリーナにて、松井玲奈卒業記念イベントを開催。「雨の中、お越しいただきありがとうございます。みなさんの思い出になるようなイベントになればいいなと思います。今日は一日よろしくお願いします」という松井本人の挨拶でイベントがスタートし、感謝の気持ちを込めた直筆メッセージカード(全6種)を約5000人のファンに手渡した。

出典:モデルプレス

私があれ?、松井玲奈はツイッターで何を言っているんだ?と気づいたのは、その前日のことです。

来ることができないみなさんの気持ちもきちんと受け取らせていただきます。

出典:ツイッター@松井玲奈

これ、この引用文だけだと意味がわからないですよね。この言葉、さいたまスーパーアリーナの松井玲奈卒業記念イベントに行けなかったファンのツイートを引用(RT)して、そこにかぶせられた言葉なんですよ。

ちょっと考えてみてもください。松井玲奈がファンのツイートをRTするってだけでもびっくりするんですが、このツイートを発見するということは、松井玲奈さんは自分に向けられたツイートをたぶんほぼ全部読んでいるってことです。それ一体どれだけの量なんですか、、、

そして、この言葉。会場と日程が決まった時点で、現場に行きたくても行けないファンの気持ちを松井玲奈さんはわかっているんですよね。それは仕事の合間を縫って、自分でアイドル現場に行ってる松井玲奈さんが言うだけに心に響くものがあります。

これは、松井玲奈関連のツイッターをチェックしないといけない。そう思ったときには、私はこの松井玲奈卒業記念イベントに関するツイートのまとめを作成し始めていました。

このまとめを作っているといろんな発見がありました。そう、この日関東地方はすごいゲリラ豪雨の日だったんですよ。

  • 松井玲奈は雨女
  • その雨女ぶりは、ファンの間で共有されている
  • イベント開始後、約1時間で参加券は配布終了
  • でも、券がなくても会場にファンは入ることができた
  • 会場BGMは松井玲奈の選曲(イベント後に自分のブログでセットリスト公開
  • 数種類あるファンに手渡ししたメッセージカードの中のひとつ「みんなの応援でここまで来られました。私を見つけてくれてありがとう」にファンが感動
  • 休憩中、予定になかった会場をまわる時間が発生

「みんなの応援でここまで来られました。私を見つけてくれてありがとう」

これ、これを読んでくれているどれだけの人に伝わるかわからないで書くのですが、すごい言葉ですよ。たぶんアイドルの歴史に残る言葉なんじゃないかと。

ああ、でんぱ組のねむきゅんがはじめての武道館のステージで「みなさんは、自分たちが私たちをこのステージに連れてきたという自覚はあるんですか!」と叫んだこととも通底します。

そう、今どきのまともなアイドルって、こういうものなのですよ。

自分たちが選ばれた存在なのではなくて、自分たちの前にすばらしいファンのみなさんがいて、その人たちの行動に自分たちは支えられている。すごいのは自分たちじゃなくて、ファンのみなさんなんだということ。

でもね、そのアイドルとファンの今の関係を「見つけてくれてありがとう」というひと言に凝縮する松井玲奈の言葉の力、この胆力。これが松井玲奈というアイドルなんですね。すごい、すごいです。

そして、そういった言葉を生み出す源は、松井玲奈さんの圧倒的な好奇心の強さと行動力に支えられた幅広いお仕事から出てくるんじゃないかと、勝手に思っています。

現在、松井玲奈さんの卒業までのスペシャルサイトが公開されています。

卒業まで、残された時間はもうそれほどありませんが、ここにはファンからの言葉が集まり、その言葉を見て、また松井玲奈さんからあたらしい言葉が出てくるのではないかと、これも勝手に期待をしています。

ということで、卒業ライブは、これまで応援してきたファンのみなさんとの時間だと思うので、それはいいとして、というかスケジュール的に到底行けないのですが、卒業後一息ついたところで、卒業とはなんだったのか?というインタビューを松井玲奈さんにしてみたいと、最後にほんとに勝手なことを言って、この記事を終わりたいと思います。

ブロガー/ライター/アドバイザー

Webサービス・ネット・ガジェットを紹介する考古学的レビューブログ『みたいもん!』管理人。2002年メディア芸術祭特別賞、2007年第5回Webクリエーションアウォード・Web人ユニット賞受賞。「ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である(技術評論社)」「あたらしい書斎(インプレス)」など著書多数。2011年9月より内閣広報室・IT広報アドバイザーに就任。ひらくPCバッグ・かわるビジネスリュックなど、ネット発のカバンプロデュースも好調。 #カゲサポ

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