不具合が続くスターライナー、地球帰還にドラゴン宇宙船が使われる可能性が浮上
2024年6月5日、ボーイング社の新型宇宙船「スターライナー」が打ち上げられ、宇宙飛行士2名がISSへ到着しました。しかし、相次ぐトラブルにより地球への帰還予定は未定となっています。本記事では、スターライナーの最新状況について解説していきます。
■当初は8日なはずが、60日を超えたISS滞在ミッション
当初、宇宙飛行士は打ち上げから8日後には地球へ帰還する予定となっていました。しかし、様々な不具合がスターライナーに見つかったため、宇宙飛行士の帰還日程は現在不明となっており、ISSでの滞在期間は60日を超えています。
まず、ロケットの打ち上げ前からスターライナーの燃料であるヘリウムの漏洩が見つかっており、打ち上げ自体の延期が続いていました。そして、ISS到着時にも機体からヘリウムが漏れており、機体の28基あるスラスターの内、5基が故障するという問題が生じました。これらの不具合により、一時ISSとのドッキングを遅らせる事態となります。そして、ISS到着後にも不具合は続きます。新たにスラスターの突然停止というトラブルが発生し、その対応に追われている状態でした。
■クルードラゴンで地球へ帰還するプランが急浮上
しかし、あくまでもNASAはスターライナーで宇宙飛行士を地球へ帰還させる計画を進めていました。ところが、遂に別の宇宙船を使うプランが浮上します。それは、スペースX社が運用している「クルードラゴン」です。クルードラゴンは当初、8月18日に宇宙飛行士4名を乗せてISSへ打ち上げ予定でした。しかし、スターライナーの不具合から打ち上げを9月24日以降に延期することとなります。もしもの場合、クルードラゴンの乗員を2名に減らし、スターライナーの乗員2名と帰還する選択肢を残すためです。もしこの計画が実行される場合、スターライナーは無人で地球へ帰還することとなります。この決断は8月中旬ごろにされるとのことです。
NASAは本来、スターライナーとクルードラゴンの2機を同時に運用することにより、効率的な運用や冗長性の確保、リスク低減などを目指していました。しかし、現時点ではスターライナーの実用化は難しいと言わざるを得なく、2機体制が確立するのはさらに先になりそうです。
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