桜前線は東京から南へ 暖冬が桜を惑わす
今年の桜前線は東京から南へ。暖冬の影響で、これまで早咲きだった地域ほど開花が遅れている。鹿児島は未だ咲かず、東京との開花日の差は過去最も大きくなっている。
桜前線は南へ
3月21日、全国のトップを切って東京で桜が開花しました。表紙の図はこれまでに桜の開花発表があった20都府県を示したものです。
例年、桜前線は高知をスタートし、ゆっくりと北上します。しかし、今年は東京から4日後に福岡へ、さらに広島、名古屋、高知と桜前線は南へ、西へと移動していきました。そして、きょう(1日)は熊本で平年より9日遅く桜が開花しました。記録が残る1953年以降で2番目に遅い開花です。
九州では福岡、佐賀、長崎、熊本の4県で開花し、残るは大分、宮崎、鹿児島です。ここでも桜前線は南下しています。
東京 開花から10日が過ぎても
本来ならば、この土日は一番のお花見になるはずが、あいにくの空模様。1日正午の東京の気温は7.6度です。
都内の桜は満開に近いものもあれば、3分咲き程度のものもあり、木によって、場所によって、開花のばらつきが大きくなっています。
例年は開花から一週間程度で満開になりますが、今年はすでに10日が過ぎました。過去には1966年の16日という年があるものの、満開までの日数が10日を超える年は全体からみると少ないです。
暖冬が桜を惑わす
桜は一般に、秋までに花芽を形成し、休眠に入ります。一定期間、冬の寒さにさらされると眠りから目覚め、気温の上昇とともに花芽が成長し、春に開花します。
しかし、寒さが不十分な年は休眠打破が遅れ、花芽の成長が一様ではなくなります。この影響は冬の気温が高くなりやすい九州南部、四国、関東南部で大きく、開花が遅くなったり、花が咲き揃わなくなったりします。
こちらのグラフは東京と鹿児島の開花日を比べたものです。
1980年半ばを境に、東京の方が早く咲くことが多くなりました。今年もまだ鹿児島は咲いておらず、開花日の差は過去最も大きくなっています。
今から10年ほど前に、温暖化の進行で将来、桜が遅咲きになり、咲いても満開にならずに散ってしまうという研究発表があったことを思い出しました。そのときはあまり深く考えなかったけれど、今になって南国ほど早く咲く、一斉に満開にという従来のイメージが崩れつつあることを実感しています。
【東京と鹿児島の開花日の差について】
記録が残る1953年以降を対象に、東京が鹿児島よりも早い場合を取り上げました。これまでの記録は2004年と2002年の11日です。
【参考資料】
気象庁ホームページ:さくらに関する情報
朝日新聞:2008年11月14日「ソメイヨシノ満開にならぬ?」