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相手を心から許す ~「水に流すスキル」をアップする方法

横山信弘経営コラムニスト
(写真:アフロ)

過去に、心無い仕打ちを受けた。許しがたい蛮行に遭った。……このような経験があると、長い時間、その相手を心から許すことは難しいかもしれません。「許す」と「水に流す」という表現は、悶絶した心情の強さ、期間の長さによって違うでしょう。比較的長い期間、恨みつらみが募ってこそ「水に流す」という表現が出てくると思うからです。

それにしても、強烈な怒りや、激しい恨みがあるのにもかかわらず「水に流す」というのは、簡単ではないでしょう。そのほうがお互いに建設的だとわかっています。思い出すたびに当時の感情を追体験するのはもうやめたい。頭ではそのように理解できても、心というより体が受け付けないときがあるのです。

「水に流す」というのは、砂上の城が押し寄せる波にあたり、跡形もなくなる様と似ています。

過去のことを受け入れたうえで未来を見つめようということではなく、過去のことは「なかったこと」にしよう、とする行為ですからよけいに煩悶します。

ところが、昔は何事も「水に流す」ことができず、根に持つタイプだった人が「水に流すスキル」を高めることはできます。もちろんすぐにできることではありませんが、訓練をすれば徐々に過去をリセットできるようになっていきます。

ポイントは2つ。

●「追体験」を減らす

● 別の「怒り」を用意する

恨みつらみ、というのは、何度もその出来事を思い出して「追体験」するから複利効果で膨れ上がっていきます。したがって、実はたいした出来事でないことでも、激しく相手を憎んでしまうことにも繋がるのです。ゼロにはできないでしょうが、1週間で10回思い出してしまうことを半分の5回にするだけでも恨みつらみのレベルは高まらないでしょう。

1年で50回も思い出すようなことを10回に減らすだけでも、かなり効果があります。

とはいえ、無意識のうちに思い出してしまう、どうしようもない、という方もいるでしょう。私にもあります。その場合は、別の「怒り」を用意するのです。

他の多くの方ができている「あたりまえ」のことで、自分がどうやってもできないことがあったとします。その問題を解決するために動くのです。たとえば私であれば整理整頓がとても苦手です。他の多くの方ができるにもかかわらず、私はすごく苦手。

私であれば、苦手な整理整頓の習慣を身に付けようと努力するのです。そうすれば、確実に「怒り」は自分に向いてきます。

「なんでこんなこともできないんだ! あ~なんて恥ずかしい」

と思えてきます。こうすることで先述した追体験が減っていきます。苦手なことの克服ではなく、高い目標を設定してそれに邁進することでもいいです。難易度の高い資格試験を目指そうとしてもいいでしょう。

お勧めしないのは、自分のリソースを浪費するような行為です。散財する。やけ食いする。夜更かしして飲み歩く。友人に愚痴を言う。――このような行為は、お金や健康、信頼関係といった重要資産を減らすことになりますのでやめましょう。

しょっちゅう追体験することなく、過去の出来事から、遠く離れること。心の距離をおくことで「水に流す」ことはしやすくなります。やはり日々の心掛けが大事ですね。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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