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カイロスロケット2号機 12月の打ち上げ目指す、1号機の爆発原因は「推力不足でロケットが自律破壊」

カイロスロケット打ち上げの様子 出典:スペースワン / テレビ和歌山

国産新型ロケット「カイロス」を開発しているスペースワンが、2号機を12月にも打ち上げる見通しであることを発表しました。本記事では、明らかとなったカイロスロケット1号機での失敗原因をはじめ、2号機の打ち上げの詳細を解説していきます。

■1号機の失敗原因は「推力不足と判断しロケット自ら爆破」

カイロスは全長18m、重さ23tonの3段式ロケットです。2024年3月13日、スペースワンが開発した国産ロケット「カイロス」の打ち上げが行われました。しかし、発射から5秒後に空中で爆発が発生します。

スペースワンによると、打ち上げ時にロケットの速度が予想より低く、ロケットが自律的に異常を判断したとのことです。カイロスロケットは飛行中に不具合が発生したとしても、安全な場所にロケットを落下させるため、自律的に飛行中断を判断するシステムが搭載されています。H3ロケットやイプシロンロケットには地上からの指令破壊機能が搭載されており、不具合が発生した際には任意のタイミングで爆破ができます。しかし、カイロスでは効率化を進めるため、ロケット自体が自動で飛行を中断するかどうかの判断を行います。そして、安全性を確保するため、その判断基準を厳しめの値に設定をしていました。その結果、速度の低下を感知したロケットが自律的に機体を爆破したとのことです。

カイロスロケットには、内閣府の「短期打上型小型衛星」が搭載されていました。短期間で打上げ可能な小型衛星の実証を行うことで、安全保障や情報収集に役立てる目的でしたが、残念ながら機体は損なわれるという結果となりました。

■12月にカイロスロケット2号機が5機の衛星を打ち上げ

カイロスロケットの打ち上げイメージ図 出典:スペースワン
カイロスロケットの打ち上げイメージ図 出典:スペースワン

スペースワンは、2024年12月にカイロスロケット2号機の打ち上げを行う予定であることを発表しました。1号機での失敗原因となった自律判断システムに改修を加え、ロケットの速度を正しく把握できるようにしたとのことです。次回の打ち上げでは、小型衛星を1機、超小型衛星を4機搭載し、地球周回軌道に投入することを目的としています。

カイロスロケットの目的は、「世界最短」・「世界最高頻度」の人工衛星打ち上げサービスを構築することです。これを実現するため、カイロスロケットは保管などの取り扱いがしやすい固体燃料を採用。更に、日本初となる民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」が和歌山県串本町に設立されました。スペースワンの次の挑戦が無事に成功して欲しいですね。

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