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スズ子と麻里の子育てトークに、男性脚本家だけどリアリティがあったわけ「ブギウギ」

木俣冬フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人
「ブギウギ」より 写真提供:NHK

脚本家の足立紳さんは育児も積極的

朝ドラこと連続テレビ小説「ブギウギ」の第19週「東京ブギウギ」では、スズ子(趣里)が出産してから3ヶ月、愛助(水上恒司)の死を乗り越えようと、女手ひとつで育児と仕事に取り組むが、これがなかなか大変で……。

2月6日(火)放送の第88回では、羽鳥(草彅剛)の妻・麻里(市川実和子)がスズ子の手助けにやって来る。

おかげで、久しぶりに何もしないで眠ることのできたスズ子。ふと目が覚めて、台所に立つ麻里の背中に亡き母・ツヤ(水川あさみ)の面影を見て……。

かすかに「センチメンタル・ダイナ」を口ずさみながら家事をしている市川さんの姿がとても自然な感じだった。

制作統括の福岡利武チーフプロデューサーは市川さんの演技について、

「柔らかさと強さの両方があって、スズ子にしっかり寄り添っていただけて、本当に素敵だなあと思いました」と語った。

その後、スズ子とふたりで子育ての大変さを語る麻里。この場面、一見何気ない会話の場面だが、興味深い点がある。というのは、男性脚本家が、子育ての大変さを語るふたりの女性の会話を書くことが新鮮に感じたからだ。朝ドラの脚本家には男性も多いが、育児に関する会話に個性を感じたことが筆者はこれまでなかったのだが、今回のスズ子と麻里の会話には血肉が通って感じられた。

男性、女性と分ける時代ではないとはいえ、これまで女性が主としてやってきた育児について、饒舌に語る様子に、作り物感がない気がしたのはなぜだろう。福岡CPはこう分析した。

「脚本家の足立紳さんはお子さんの育児も積極的にされてるんですよね。その苦労の実感を描かれたと思います。現場のスタッフも男性が多いですが、時代が変わって、育児に参加しているスタッフも多いです。わたしも娘がいま、4歳で、妻と一緒に育児に奮闘しています。そういうこともあってリアルに描けたのかなと思っています」

「ブギウギ」では、スズ子の育児奮闘の様子を書きたいと思っていたと言う福岡CPは、第88回がすごく好きだという。

「実際に子育てを頑張っている足立さんによる脚本と、市川さんがしっかりした母親を演じなければいけないという強い思いで演じていただいたことで、とてもいい場面になったと思います」

足立さんはSNSでお子さんのお弁当も作っていることを書いていた。

第87回、山下(近藤芳正)が訪ねてきたときスズ子が授乳中という場面も、リアルな日常生活描写であった。

エンタメもののイメージがあった「ブギウギ」だが、子供が生まれて、これからはホームドラマ感も増していきそうだ。

「ブギウギ」より 写真提供:NHK
「ブギウギ」より 写真提供:NHK

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連続テレビ小説「ブギウギ」
総合【毎週月曜~土曜】午前8時~8時15分 *土曜は一週間の振り返り
NHKBS【毎週月曜~金曜】午前7時30分~7時45分
NHKBSプレミアム4K【毎週月曜~金曜】午前7時30分~7時45分
【作】足立紳 櫻井剛 <オリジナル作品>
【音楽】服部隆之
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
【出演】趣里 水上恒司 / 草彅剛  菊地凛子 小雪 生瀬勝久 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【概要】大阪の下町の小さな銭湯の看板娘・福来スズ子(趣里)は歌や踊りが大好きで、道頓堀に新しくできた歌劇団に入団し活躍後、上京。そこで、人気作曲家・羽鳥善一(草彅剛)と出会い、歌手の道を歩みだす。“ブギの女王”と呼ばれた人気歌手・笠置シヅ子をモデルにした、大スター歌手への階段を駆け上がる物語。

フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

角川書店(現KADOKAWA)で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクター、映画や演劇のパンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇、アニメ、漫画など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける。日本ペンクラブ会員。 著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』『大河ドラマ どうする家康』ほか、『堤幸彦  堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』の企画構成、『宮村優子 アスカライソジ」構成などがある

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