料理の価格が変動するのはアリ? 飲食店も「ダイナミックプライシング」の時代へ #専門家のまとめ
ダイナミックプライシングとは、その時々の需要と供給に応じて価格が変動するシステムです。繁忙期=利用者が多い時期には価格が高く、閑散期=利用者が少ない時期には価格が安くなっています。
飛行機やホテルは時季によって価格が全く異なっており、場合によっては数倍の差があることも少なくありません。最近でも、1泊1万円以下のビジネスホテルが、2万円や3万円になっていると話題になっていました。
このダイナミックプライシングは、これまで飛行機やホテルが対象でしたが、飲食店にも少しずつ広がってきています。
ココがポイント
▼飛行機やホテルのダイナミックプライシングが飲食業界にも
▼注目されている理由は、少ないリソースの有効活用、繁忙時間帯の変化、原材料価格の高騰
・飲食店のダイナミックプライシングとは?成功事例や導入時のポイントを解説(TOPPAN LIFE SENSING)
▼単なる価格の吊り上げだと感じさせてしまうと、消費者からの信頼を損なう
エキスパートの補足・見解
飲食店は飛行機やホテルと同じように“ハコもの”業態です。生産することさえできれば、いくつでも売ることができる物販とは異なり、1日に売ることができる数=席数が限られています。
飲食店の売上は、客単価×客数で算出されるので、客席稼働率が高い繁忙期に売上を増やすには、客単価を上げるしかありません。そのため、需要と供給の関係で価格が決まるダイナミックプライシングが注目されているのです。
ただ、飲食店と客の関係性には難しい面もあります。常連客は訪問頻度が高いので、値段に敏感です。そのため、人気が出てきたり、評価が高くなってきたりして、飲食店が値上げすると、それに苦言を呈する常連客も少なくありません。しかし、訪日外国人は事情が異なります。日本に滞在している間に、何としても気になる飲食店に一度は訪問したいと思うからです。
原材料価格や人件費の高騰に悩まされるだけに、少しでも売上を増やすことができるダイナミックプライシングは、飲食店にとって非常に嬉しい仕組み。海外のファインダイニングは10万円以上という価格も普通となっているだけに、ダイナミックプライシングはまず訪日外国人に対応し、そこからゆっくりと国内の需要に対応するのがよいと考えています。