駅で待ち構えていた、ツァボの人食いライオン
野生動物が人間を襲撃する事件はしばしば起こっており、時として動物の犠牲になる人間もいます。
その中でもツァボの人食いライオンが起こした襲撃事件では、多くの人が犠牲になったのです。
この記事では青年将校と死闘を繰り広げたツァボの人食いライオンについて紹介していきます。
駅で待ち構えているライオン
パターソンは、多くの労働者が撤退する直前に、地方官のホワイトヘッドに救援を求める手紙を送っていました。
その要請に応じたホワイトヘッドは、12月2日の夕方、ツァボ駅に着くはずでした。パターソンは使用人に送迎に行くように指示したものの、使用人は恐怖に震えて戻ってきました。
彼の報告によると、駅には汽車も駅員もおらず、代わりにプラットホームに巨大な一頭のライオンが立っていたとのことです。
パターソンは翌日、駅員たちがライオンを避けて駅舎に閉じこもっていたことが判明し、その報告が事実であることを知ります。
パターソンはその日、ホワイトヘッドに会えず、日程が延期されたのだろうと考え、ひとりで食事を済ませました。
食事中、銃声が2回聞こえたが、特に気にすることなく、そのまま夜の見張りに出たのです。
すると60メートルほど離れた場所でライオンが「食事」をしているのを発見し、今夜の犠牲者は労働者ではなく、現地人だろうと推測しました。
翌朝、パターソンは疲れ果てた様子のホワイトヘッドに出会います。
彼は「昨夜、君のところのライオンに殺されかけた」と語り、背中にはライオンの爪痕が残っていました。
ホワイトヘッドをテントに連れ帰り、応急処置を施した後、彼が経験した恐怖の一夜を聞いたのです。
ホワイトヘッドは、現地人の軍曹アブドゥラと一緒に駅に到着し、パターソンのキャンプへ向かっていました。
しかし、途中の狭い切り通しで、突然ライオンに襲われたのです。
ホワイトヘッドは発砲してライオンをひるませたものの、アブドゥラは襲撃され、最期の言葉を残して連れ去られてしまいます。
それを受けてパターソンは、昨夜ライオンが「食事」をしていたのはアブドゥラだったことに気づき、事態の深刻さを再確認するのでした。