「就活」は7月からが勝負! 「就活は6月までの短期決戦」という報道に振り回されるな
マスコミが煽る6月戦線
企業の選考活動が6月1日、解禁されたと思っていたら、昨今「すでに就活は終盤戦に入った」などという報道が目立ち始めました。しかし「6月中旬までに多くの大手企業が内定を出す見通し」だというだけで、企業の選考期間がなくなるわけではありません。短期決戦と化した今年の就活戦線を大仰な言葉でニュースにしているだけです。就活生の皆さんは、マスコミに翻弄されないほうがよいでしょう。
就活生の安定志向がかつてないほどに高まっているからこそ起こっている現象と私は考えます。はやめに決着をつけたい大手企業の都合に、大手企業に入りたいと願う就活生が合わせている形です。
地頭がよい就活生ならわかるはずです。ざっくりとした数字でとらえると、大企業は、約400万社ある日本企業の約1万社しか占めていません。0.3%です。99.7%が中堅中小企業。ところが従業員数でいえば、大企業が全体の30%以上となり、極端に大企業に人が集まっていることがわかるでしょう。
しかし就活する側にとって、大企業であろうが中小企業であろうが1社は1社。1000人の就活生が集まる企業と、10人が集まる企業も同じ1社です。相手がどれだけ自分と真剣に向き合ってくれるか、よく考えてみましょう。しかも、シャープや東芝、三菱自動車など、大企業の凋落ぶりが目に余る現在、「安定=大手企業」という図式は完全に崩れています。規模の大きさや離職率の低さなどの表面的な数字に踊らされないことが肝心です。
採用のミスマッチを防ぐ「三現主義」
「採用のミスマッチ」という言葉をよく聞きます。「採用のミスマッチ」は双方の誤解から生じるもので、原因は「ミスコミュニケーション」にあります。このミスコミュニケーションをなくすためには、三現主義を徹底すること。3つの現とは、『現場』『現物』『現実』です。現地現物を知らないと妄想するしかない。その妄想が偶然にも当たればよいのですが、そうでなければ幻滅するのは当たり前。それは雇用する側も、雇用される側も同じです。
マスコミは「6月が就活終盤戦」と煽ります。マスコミはニュースを売ることで稼いでいる事業体ですから、話題性の高いニュースソースを前面に押し出して報道します。しかし、就活生にとっては一生を決める大事なイベント。どっしりと構えて大手企業の合同説明会や面接は「予行練習」ぐらいに考えておけばいい。6月が終盤ではなく、7月から本番だ、ぐらいな気持ちで臨むのです。
大企業から内定をもらえなくても、強い挫折感に見舞われる必要はありません。『現場』『現物』『現実』も確認できないような企業に入ったらリスクが大きい、と受け止めましょう。多くの人にとって、就職活動は「不合格の連続」を経験する場ですから、数社、不採用通知を受けても次々に挑戦するタフネスが要求されます。
ここで「ストレス耐性」を鍛えられた人が就職後も活躍します。ラクして就職し、離職率の低いホワイト企業でのほほんと働きたいと思っている人は、いずれやってくる荒波に耐えられない思いをすることでしょう。終身雇用など、あり得ない時代です。どんな企業であれば「ライフサイクル」があります。一生安定などというフレーズは、公務員にも当てはまりません。
就職活動は「じぶん営業」
就職活動はその後の人生をも左右する大きな活動です。人生最大の「営業活動」といっても過言ではないでしょう。どんなに素晴らしい学校を出ても、どんなに難関な資格を手にしても、ここで手を抜いたらすべては水の泡。いっさいの妥協をしたくはないですよね。
そのためには、採用試験を受ける会社を「お客様」ととらえ、しっかりとお客様を研究することです。そして抜かりなく準備をすること。こちらの記事で、簡単に「じぶん営業」のことを書きました。就活を「じぶん営業」とネーミングして取り組むと力を抜くことができます。