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ゴールデンウィーク遊んでる? 「他人が休んでいるときに努力する」は時代遅れか?

横山信弘経営コラムニスト
(写真:アフロ)

■ 働く時間を減らすために必要なこと

「日本人は働き過ぎだ」と言われて久しい。

「働き過ぎ」と評価される指標は、先進諸外国と比較しての「一人当たりの総労働時間」です。そしてその事実を突きつけられて多くの日本人は気付くのです。「働き過ぎだったのか!」と。

このような「働き過ぎだよ日本人は」という空気は、経営者や現役のベテラン社員ではなく、若者や、これから社会人になる就活生たちへストレートに届いています。実際に、「家族ができたら、学校が休みのときに自分も休みたい」「夜の遅い時間や休日には働きたくない」という価値観が以前よりも広まっており、就職先、転職先を選ぶ重要な条件に挙がっています。

その流れで政府は、働いた「時間」ではなく仕事の「成果」に応じて賃金が決まる新たな制度導入まで検討しています。私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。当然のことながら「時間」ではなく「成果」という基準は不可欠だと考えています。

しかし成果を出すには、「創意工夫×労働時間」という公式を思い浮かべる必要があります。「情熱×時間」「努力×時間」でもかまいません。資格試験の合格を思い浮かべていただければいいですが、単に勉強時間を減らすだけでいいはずがありません。合格することが目標であるわけですから、時間を減らした分だけ、何かを増やさなければなりません。それは「創意工夫の度合」かもしれませんし、「情熱」や「努力」のレベルかもしれません。意味もない労働を繰り返している人ならともかく、そうでないなら、ただ単に「働く時間」を減らせばいいだなんて、そんなうまい話はないのです。

■ 誰が変わる必要があるのか?

先述したとおり、どんなに「働き過ぎだよ日本人は」と言われても、経営者やベテラン社員は鈍感です。「パワハラ」や「セクハラ」という言葉がこれほどメディアで取り上げられ、同種のハラスメントは撲滅させなければならないという空気が広まって久しいのに、いまだに減る兆しが見えません。

したがって明確に罰則されない「働き過ぎ」が自主努力によって是正されるまでには相応の時間がかかると考えるべきでしょう。よほどの世間からの圧力がかからない限り「わかっているけど、なかなか難しいよね」という考えをする人が大半です。若者たちは会社が変わること、経営者やベテラン社員の考え方が変わることを容易に期待すべきではないでしょう。

働く時間を減らした分だけアップさせるべき「創意工夫」「努力」「情熱」は誰が担うのか? 会社や経営者に求めるのではなく、若者たち自身がすべきなのです。そもそも、

・入社1年目 ……定時後遊ぶ。週末遊ぶ。ゴールデンウィークや夏休みなどの長期休暇も遊ぶ。

・入社5年目 ……定時後遊ぶ。週末遊ぶ。ゴールデンウィークや夏休みなどの長期休暇も遊ぶ。

・入社10年目 ……定時後家族のため。週末家族のため。ゴールデンウィークや夏休みなどの長期休暇も家族のため。

・入社20年目 ……定時後家族のため。週末家族のため。ゴールデンウィークや夏休みなどの長期休暇も家族のため。

・入社30年目 ……定時後自分のため。週末自分のため。ゴールデンウィークや夏休みなどの長期休暇も自分のため。

・入社40年目 ……定時後自分のため。週末自分のため。ゴールデンウィークや夏休みなどの長期休暇も自分のため。

……このように、働く時間を減らしたら、減らした分だけ自分のプライベートの時間を満喫し続けていいのか? という疑問があります。単に働く時間を減らしたら、同等の成果を出すための創意工夫や努力をどこかで投下しなければなりません。

■ 他人が休んでいるときに遊び続けたらAIに置換される

野村総研の発表によると、技術的にはAI(人工知能)やロボット技術が発達していけば日本の労働人口の約49%が代替可能になるとのこと。この「置換率」の精度はともかく、AIやロボットによって、今後多くの人の労働が奪われることは間違いなく、絵空事ではありません。

単に働く時間を減らせばみんながハッピーになるのではなく、「働いていない時間」でどれだけ自己投資をするのかが、今後は問われてきます。ますます自主性を問われる時代となったのです。定時後に遊んでもいいし、週末に家族と出かけてもいいし、ゴールデンウィークや夏休みに海外へ旅行してもいいのです。大いにやるべきです。しかし、他人が休んでいるときにずっと遊び続けていいはずがありません。メリハリをつけて、しっかりと自己投資すべき時間もたまには持つべきなのです。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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