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はやぶさ2が担う新たなミッション、探査機が目指す小惑星の形状が判明 地球の脅威となる小惑星を調査

小惑星探査機「はやぶさ2」出典:JAXA

2020年、小惑星探査機「はやぶさ2」はリュウグウからサンプルを地球に持ち帰ることに成功しました。本記事では、あまり知られていないはやぶさ2の新たなミッションをご紹介します。

■生命誕生の起源の可能性のあるアミノ酸が発見?

はやぶさ2が収集した小惑星リュウグウのサンプル 出典:JAXA
はやぶさ2が収集した小惑星リュウグウのサンプル 出典:JAXA

はやぶさ2は、小惑星リュウグウからサンプルリターンを行うことで、惑星の起源だけでなく地球の海の水の起源や生命の原材料をも探求する目的のため、2014年に打ち上げられました。そして2020年12月、5.4グラムのサンプルを搭載したカプセルは地球に帰還し、見事サンプルリターンに成功しています。

その後、サンプルは世界各国の研究機関に配られ、本格的に分析がされていました。そして、サンプルの中から20種類以上のアミノ酸が含まれていたことが発表されました。地球外で採取した試料から直接、アミノ酸が確認されたのは、世界で初めてとなります。これにより、宇宙由来の物質が地球の生命誕生に関わっている可能性が浮上してきました。地球の生命の起源を巡っては、生命の材料となる物質が 隕石などで運ばれて地球に降り注いだという説があります。

アミノ酸は、初期の地球にもあったと考えられていますが、地球全体が高温になった際に失われたとも考えられており、隕石などによって宇宙から再びもたらされたという仮説があります。今回の発見が、生命の誕生に必要な材料がどのようにもたらされたかを知る上で重要なカギとなりそうですね。今後の研究成果も楽しみです。

■はやぶさ2が担う新たなミッション

「はやぶさ2」出典:JAXA
「はやぶさ2」出典:JAXA

はやぶさ2の方はというと、現在は次の小惑星観測に向けて航行中です。その間、2026年に小惑星2001 CC21へのフライバイすることが予定されています。2024年8月、京都大学や天文愛好家による観測により、この天体がおよそ840x310mの細長い楕円形であることが判明しました。一瞬で探査機が小惑星のそばを通り過ぎてしまうフライバイにとって、形状が判明していることは運用計画を立てる上で重要な情報となります。

そして、2027年、2028年には2回の地球スイングバイを行い、最終目標天体は小惑星 1998 KY26 、2031年7月に到着予定です。この小惑星は、直径数10mというとても小さな天体で、自転周期10分という非常に早い自転速度から、高速自転小惑星と呼ばれています。このように珍しい小惑星を観測することで、新たな科学的知見が得ることを目的としています。更に、このようなサイズの小惑星は、宇宙空間に多数存在しており100から1000年に1度の頻度で地球に衝突しています。地球に大きな被害を与える可能性のある小惑星を「はやぶさ2」が探査して知見を深め、地球衝突に対する対策を考えることも目的の一つなのです。はやぶさ2の拡張ミッション、これからも楽しみですね。

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