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「青いタコ」ぬいぐるみ付きのパレスチナ支持投稿でグレタさんに批判が殺到

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
反ユダヤ主義の象徴を投稿したと批判されているグレタさん 筆者撮影

スウェーデンの気候活動家グレタ・トゥーンベリさんがガザの人々に連帯する投稿をして批判が起きている。

今日、私たちはパレスチナとガザに連帯します。世界は声を上げ、パレスチナ人と被害を受けたすべての市民のための即時停戦、正義と自由を求める必要があります

Twitter: Gretha Thunberg

10月20日に投稿された写真には「パレスチナ解放」「パレスチナと共に立ち上がれ」「ガザと共に立ち上がれ」「フライデーズ・フォー・フューチャー」のハッシュタグが付いている。

「その水色のぬいぐるみは?」

これは「再投稿」されたもので、この前に投稿されていた写真には「怒っている表情の水色のぬいぐるみ」がグレタさんの傍らに置かれていた。

この写真が波紋を呼び、本人は下記の投稿で釈明をする。

先の投稿にあるぬいぐるみが、反ユダヤ主義の象徴として解釈できることを知りました。写真のおもちゃは、自閉症の人たちが感情を伝える手段としてよく使う道具です

もちろん、私たちはあらゆる差別に反対していますし、あらゆる形や形態の反ユダヤ主義を非難しています。これは譲れないことです。だから先ほどの投稿を削除しました

Twitter: Greta Thunberg

反ユダヤ主義的なヘイト・シンボルである「クラーケン」

「青いタコ」は、ユダヤ人を腕で世界を取り囲むタコに見立てた反ユダヤ主義的なヘイト・シンボルである「クラーケン」に似ていると感じた人がいた。

ナチス・ドイツでは、反ユダヤ主義の漫画が頻繁にこのシンボルを描いており、今でもヘイト集団が使う表現でもある。「20世紀初頭の政治漫画に見られた反ユダヤ主義のシンボルを直接的に引用し、ユダヤ人が社会のあらゆる分野に影響力を及ぼしていることを示すものだ」と連想した人がSNSで指摘し、激しいバッククラッシュとなった。

グレタさんのものと同じと見られるるぬいぐるみはネット販売されており、「何も言わなくても、あなたの気分は伝えられます」という目的で売られている。

またパレスチナ支持を公にしたことで、イスラエル派からハマスによる攻撃の支社に対する認識が欠けているとも批判された。

グレタさんは投稿を削除し、タコが含まれないようにトリミングしたバージョンをアップした。

イスラエルから非難

しかしイスラエルの公式アカウントはこれを見逃さずにグレタさんを非難。

@GretaThunberg ハマスは、罪のないイスラエル人を「殺戮した」ロケット弾に持続可能な材料を使用していません

ハマスの大虐殺の犠牲者は、あなたの友人だったかもしれません

声を上げてください

the State of Israel's official Twitter account

批判は止まらず、「フライデーズ・フォー・フューチャー」の公式アカウントは10月31日に次の公式声明を出した。

ここ数日、BIPoC(黒人、先住民、有色人種)の気候変動活動家たちが、不当な個人攻撃にさらされています。特にドイツの新聞や、Tagesschau、ZDF、Tagesspiegel、Der Westen、Weltなどのメディアが、彼ら個人を直接攻撃しています

これは私たちが最近行ったパレスチナとの連帯に関する投稿が、イスラエルを批判しているために反ユダヤ主義的であると誤解されていることに対するドイツメディアの反発の一部です

このような姿勢を打ち出したのは、誰か一人に責任があるわけではありません。パレスチナとの連帯を示す私たちの投稿は、主に気候変動の影響を最も受けている地域の多様な人々によって作成されました。私たちは、正義のために立ち上がった個々の活動家に対するいじめ、差別、嫌がらせを非難します

Instagram: FFF Social Media Team statement

フライデーズ・フォー・フューチャー「国際支部」の「一方的な投稿」に距離を置く人も

さらなる投稿で事態はより反発を招いた。

「フライデーズ・フォー・フューチャー」の「国際支部」のインスタグラム公式アカウントはイスラエル政府を批判。

「パレスチナ占領は米国、英国、日本などの西洋政府による植民地的なプロセスの結果」「西洋の国々は構造的なパレスチナ人のジェノサイド投資とサポートを止めて、戦争に関する誤情報のメディア拡散を止めるべきだ」などと複数の投稿をしている。

「フライデーズ・フォー・フューチャー」のドイツ支部は「直ちに国際支部の投稿から距離を置いた。このような投稿は反ユダヤ主義に近いとドイツでは考えられている」とスウェーデン公共局SVTは報じている。

「青いタコの意味を知っていたんでしょう?」

「青いタコ」のぬいぐるみ写真や複数のパレスチナ支持の投稿内容の余波はまだ続いている。

「さようなら」「もうフォローしない」「タコの意味を知っていたんでしょう」「私はタコが何を意味するのか全く知らなかったから恥ずかしい」「私も家にぬいぐるみがあります。自分の感情をうまく表現できないときに助かります」「あなたのそのパワフルな声を人質解放のために使ったら?」「ドイツのメディアがしているのは批判であって、いじめではないと思う」「テロとの連帯を示したね」「一方的な情報投稿」などのコメントが相次いでいる。

イスラエルの教科書から削除

またイスラエル政府は「グレタに教育者としての役割を果たす資格はない」と、学校の教科書から削除すると発表したと報じられている。

北欧では若者が次々とSNSで「どちらの側をとるか」表明する動きが相次いでいるが、グレタさんと「フライデーズ・フォー・フューチャー」国際支部の動きは、気候危機運動に関わりたい一部の同胞を遠ざけてしまうのではないかとも指摘されている。

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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