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パーラの「好スタート」はどこまで続く。シーズン最初の4試合で打率5割以上は初めて

宇根夏樹ベースボール・ライター
ヘラルド・パーラ Sep 29, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ヘラルド・パーラ(読売ジャイアンツ)が、好スタートを切った。開幕から4試合を終えて、7安打、2本塁打、6打点は、いずれもリーグ1位タイ。.583/.667/1.083のスラッシュライン(打率/出塁率/長打率)は、それぞれ単独トップに位置している。

 日本プロ野球とメジャーリーグの違いはあるものの、これほどのスタートは、過去にはなかった。それまで、シーズン最初の出場4試合に記録したスラッシュラインのベストは、2013年の.474/.500/.947だった。今シーズンの数値は、すべてそれを上回る。さらに、2本塁打以上は今シーズンが初。6打点は2009年と並ぶ最多だ。この年はAAで開幕を迎え、最初4試合の1本塁打と.455/.667/.818を含め、29試合で3本塁打と.361/.469/.491を記録し、5月半ばにメジャーデビューした。ちなみに、出場した最初の4試合ともチームが白星を挙げたのは、2012年と今年だけだ。

筆者作成
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 パーラに限った話ではないが、この勢いがいつまでも続くことは、さすがにあり得ない。

 最初の4試合で打率.300以上を記録した5シーズン(2009、2010、2013、2014、2017年)のうち、続く4試合(5~8試合目)の打率も.300以上――8試合のトータルではなく、それぞれのスパンで――は、14打数6安打(打率.429)の2017年だけだ。他4シーズンの5~8試合目は、どれも打率.240に届かなかった。2017年にしても、その次の4試合(9~12試合目)は11打数0安打。この間の出塁は、四球による1度しかなかった。

 なお、パーラのシーズン・ベストは、打率が2017年の.309(425打席)、出塁率が2011年の.357(493打席)、長打率とホームランは2015年の.452(589打席)と14本だ。その他、2013年は43本の二塁打を打った。OPS.800以上のシーズンは一度もない。2017年の.793が最高だ。今シーズンの成績としては、これらのシーズン・ベストを上回るか、それに近い数値であれば、期待どおりだろう。33歳の年齢を考えると、メジャーリーグでほとんど実績のなかったネフタリ・ソト(横浜DeNAベイスターズ)のように、日本プロ野球でブレイクするとは考えにくい。

 パーラと対照的なスタートを切ったジャスティン・ボーア(阪神タイガース)については、こちらで書いた。

ボーアの「無安打」はどこまで続く。開幕からの最長記録はまだ遠いが…

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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