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ゲーム機の中身見たことありますか? 発売前のPS5分解動画公開にファン大歓喜

河村鳴紘サブカル専門ライター
公開されたPS5の中身=PlayStation.Blogから

 11月12日に発売されるソニーの新型ゲーム機「プレイステーション5(PS5)」を分解する動画が公開されました。普段は見られないゲーム機の内容と明かされる事実に、ゲームファンらは大喜びしています。

 ゲーム機の分解記事は、人気のコンテンツの一つでして、発売後に恒例となっていますが、今回のポイントは、作ったメーカーが発売前に実施するという公認の“フライング”というところでしょうか。約7分の動画ですが、PS5を設計した方が分解するので手慣れていて、流れるような作業に見とれてしまいました。パーツを置いていく場所も考えられていますよね。

 PS5を購入すれば分解はできますが、4~5万円する商品ですし、機器の「封印」のシールをはがすと保証の対象外になりますから、普通はやりません。なお、動画の冒頭に「分解・改造が行われた痕跡がある場合、修理・交換をお断りする場合があります」と念押しの“警告”が入っています。ともあれ、普通のゲームファンは、ゲーム機の中身を見る機会はあまりなく、かつ開発者の説明が付くのですから、貴重な映像と言えます。

 動画への反応はいろいろあったわけですが、PS5を視覚的に見て、発表済みの大きさ(幅約39センチ、高さ約10センチ、奥行き約26センチ)に驚く人が多かったようです。PS4 ProやPS4では30センチ弱でしたから、かなり巨大化したことになります。巧みなのは、PS5の大きさの数値を紹介した後に、「処理能力や静音性のため」と理由に触れたことでしょう。逆に言えば、作り手側がPS5の「大きさ」を気にしているともいえます。

 しかし、大きくしたことで相応のメリットがあるのも確かです。ゲーム機を冷やすための巨大なファンもそうですし、液体金属を使って熱を取る仕組みが明かされています。高性能ゆえに、いかにして熱を効率的に除去するか苦心した点がうかがえます。なお、動画で出演している鳳康宏さんは、冷却装置のスペシャリストだそうです。大型の冷却ファンに触れるとき「直径120ミリ、厚さ45ミリの…」と数字付きで触れるところにこだわりを感じます。

 PS5の見栄えを取るなら、小型化すれば良いのでしょうが、そうなると冷却ファンも小さくなり、その分多く回転させることになりますからうるさくなります。そもそもパーツが巨大化すれば、コストもアップします。つまり価格に目をつぶって、快適性を優先したことになります。部品数も少ないなどコスト削減意識が高いはずなのに、将来的な拡張まで見越していたりと、作り手のこだわりが見え隠れしています。

 余談ですが「PS4」「ファン」でネット検索をすると、予測ワードに「うるさい」が出てきます(笑い)。皆さんの考えることは同じで、その弱点はPS5の設計で反映されていることになります。

 ちなみに公式にゲーム機を分解するのは、「PS4 Pro」「PSVR」などでも実施しています。ゲーム機の分解をする記事がメディアから出るのだから、公式で先に出し、開発者に説明させるというのは、良いアピールになります。

 今回の分解動画は好評のようですし、発売までもう少し時間もあります。ずいぶん前になりますが、PSPの発売時に開発者を取材したときも、設計思想やこだわりが感じられて楽しかったのを覚えています。ゲーム機はソフトがカギですが、それでもゲーム機自体もいいものです。そして、メディアのインタビュー記事も読みたいのですが、開発者だから言える見どころ、こだわりをもっと発信することは「あり」だと思うのです。

 PS5は、8Kの美しい映像が売りで、コントローラーの振動で多彩な触感表現を再現、ロード時間を飛躍的に短縮した新型ゲーム機です。現行機のPS4用ソフトもほぼ遊べます。ディスクドライブありの通常版は4万9980円(税抜き)、ディスクドライブがない「デジタル・エディション」は3万9980円(同)で、現在は予約をするのも困難な人気商品になっています。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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