ジーターが球団を去る、栄光を手にすることなく。選手時代はヤンキースでワールドシリーズ優勝5度
デレク・ジーターが、マイアミ・マーリンズを去る。2017年の秋から務めていたCEO(チーフ・エグゼクティブ・オフィサー)の職を辞し、マイノリティ・オーナーとして保有していた株も手放す。ジーターとマーリンズが、それぞれ、声明を出した。
CEOに就任した直後、ジーターは、スペシャル・アシスタントとしてマーリンズにいた4人、ジェフ・コーナイン、ジャック・マッキーン、トニー・ペレス、アンドレ・ドーソンに対し、役割の減少と大幅に減らした年俸を申し出て、実質的に球団から追い出した。マーリンズがワールドシリーズで優勝した1997年と2003年のどちらも、コーナインはチームでプレーしていた。マッキーンは2003年の優勝監督だ(ワールドシリーズで倒したのは、ジーターがキャプテンを務めるニューヨーク・ヤンキースだった)。ペレスもマーリンズで采配を振り、ドーソンは選手時代の最後をマーリンズで過ごした。ジーターと同じく、この2人も殿堂入りしている。この件については、「ジーターの殿堂入りは間違いないが、それを祝福しない殿堂選手もいる!?」でも書いた。
選手の入れ替えも行ってきた。2017~18年のオフは、それまで外野トリオを形成していた、ジャンカルロ・スタントン(現ニューヨーク・ヤンキース)、マーセル・オズーナ(現アトランタ・ブレーブス)、クリスチャン・イェリッチ(現ミルウォーキー・ブルワーズ)を、立て続けに放出した。この時、オズーナと交換に得た一人が、サンディ・アルカンタラだ。2019年2月には、J.T.リアルミュート(現フィラデルフィア・フィリーズ)を手放し、その見返りにシクスト・サンチェスらを入手。2019年の夏は、アルカンタラとともに獲得したザック・ギャレンをアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ放出し、ジャズ・チザムを得た。
また、2020年のオフには、キム・アングをGMに据えた。それまでのメジャーリーグに、女性のGMはいなかった。
ジーターの下、マイナーリーガーを含め、若手は充実してきた。けれども、2018年以降の4シーズン中、勝ち越したのは2020年の1度だけ。この年は地区2位に位置し、ポストシーズンに進出したものの、レギュラーシーズンは60試合に過ぎなかった。この時点で球団を離れるのは、道半ばといった感がある。今後の動向については、まだわかっていない。
言うまでもなく、ジーターの選手時代は、栄光に包まれていた。遊撃手としてヤンキース一筋にプレーし、ワールドシリーズ優勝は、1996年、1998~2000年、2009年の5度を数える。2020年に殿堂入りが決まった時の得票率は、99.7%だった。397人の記者のうち、ジーターに票を投じなかったのは、1人しかいなかった。