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【泉南市】これが本当に1000円のランチ?連日行列を生む老舗魚問屋の『極上寿司20貫』が想像を超えた

旅する日々の記憶と記録。matka08ライター(泉南市・泉佐野市)

開店時刻は11時。

圧倒的なコスパで平日に大行列を生む『超お得ランチ』を食べに とあるお店を訪れました。

テレビで紹介されてから凄い反響で…とあらかじめお聞きしていたので、1時間前に到着し車中で様子をうかがうことに。

行列の様子は?

10時5分。 待ちの車が1台。ネットで見て今日はじめて貝塚から来たという男性2人組。並ぶ人1人。1番乗りの女性は、なんと1時間前に到着です!

10時28分。 並ぶ人4人。まだいけるかな?

10時35分。 並ぶ人12人(黒のパーカーの男性の後ろにもう一人)。

もうそろそろ並ぼうか…。

10時36分。 駐車場に車がどんどん入ってきます。

そろそろまずいぞ…と、ここで車を飛び出します!

そして、10時45分。

建物の幅を超える大行列となっていました!

今回ご紹介するお店は、南海樽井駅から徒歩22分、双子池交差点から泉南インターへ向かって車で1分ほどのところに店を構える「廻鮮鮨 喜十郎(かいせんずし きじろう)」。 (Googleマップ参照)。

朝仕入れた鮮魚で職人が握る *平日限定『20貫 握り盛合わせ』1000円(税抜)を求めて、今日も大行列が出来ています。

*平日11時~14時のランチタイムのみ提供

みなさんは、この話題が先日テレビで紹介されたのをご存知ですか? わたしはリアルタイムで観ていて、「やるやん、泉南…」とニンマリ微笑んだのを覚えています。

行列に並ぶ人たちは「和歌山組」も多く、話をうかがった女性3人組のうち1人は常連さんだということがわかりました。

「『くら寿司』がまだなかった頃から利用しています。コロナの影響で他の寿司屋はネタがしょぼくなったりしたけれど、この店はそんなことはなかった。珍しいネタもあるし、何を食べても美味しい。魚のあらが入った喜十郎汁(赤だし)も美味しいですよ!」

お寿司が大好きだという女性は、方々食べ歩きをされているようで説得力があります。

前の方に並んでいた女性は、「前回は20分前に到着してもっと後ろの方だった」と、今回は満足げなご様子。

わたしは、丁度真ん中あたりでその時を待ちます。

ただいま時刻は11時。さあ、いよいよ開店です!

ぞろぞろと行列が店内に吸い込まれていきます。“並んで食べる”って、この瞬間のワクワク感がたまらないんだよなぁ。

いざ入店

入口付近には生け簀があり、可愛いお魚ちゃんが泳いでいます。

高級寿司店でよく見かける光景に胸が高鳴ります。

これ、これ! お目当ての「超お得 昼ランチ」のポップを見つけて大興奮!

ありえない破格値に並んでいる人たちも、改めてここで「ぎょぎょっ!」となるはず。「鯛の潮汁」550円→385円? これも注文しよう!

次々に案内され席につくお客さんたち。

「席についてからも料理到着までしばらく時間を要しますよ」とベテランきじゅら~(喜十郎)の方に教えていただいたので、のんびり撮影をして待つことに。

光が差し込む明るい店内は、天井も高く広々としています。何度か家族で訪れているけれど、このお店はいつ来てもピカピカで清潔感たっぷり。

ここは回転寿司店? それとも高級寿司店?

このお店の最大の特徴は、回転寿司店のような設えでありながら高級寿司店のように職人さんが目の前で寿司を握って振る舞ってくれるところ。

カウンター15席、6人掛けテーブル8席が、調理場をぐるりと囲むように配されていて、ライブ感たっぷりに食事を楽しむことができます。

小上がり席(個室)は、混雑状況等を鑑みて現在は使用していないとのこと。

黙々と寿司を握る店長の永田 恭兵さん
黙々と寿司を握る店長の永田 恭兵さん

“店長の同級生”(手前)という職人さんも店を盛り立てます
“店長の同級生”(手前)という職人さんも店を盛り立てます

目の前で炙る寿司は迫力満点!
目の前で炙る寿司は迫力満点!

メニューの豊富さも魅力 

そして、なんといってもメニューが豊富。

単品の鮮魚焼き物本日のおすすめランチメニューなど、あちらこちらに魅力的なお品書きが掲げられていて、眺めているだけでワクワクします。

「生本まぐろ赤身」「泉だこ三昧」「喜十郎巻」「つぶ貝」「一本煮穴子」「かにみそ」「のどくろ」
「生本まぐろ赤身」「泉だこ三昧」「喜十郎巻」「つぶ貝」「一本煮穴子」「かにみそ」「のどくろ」

「生本まぐろ頭肉」「活〆平目えんがわ」「のどくろ造り」「活〆しまあじ」「生本まぐろ大とろ」「極上炙り三昧」「生本まぐろ頬肉」など
「生本まぐろ頭肉」「活〆平目えんがわ」「のどくろ造り」「活〆しまあじ」「生本まぐろ大とろ」「極上炙り三昧」「生本まぐろ頬肉」など

「大奉仕! 焼き立て!」焼き物メニューは数量限定
「大奉仕! 焼き立て!」焼き物メニューは数量限定

焼き物も美味しそう!

「本日のおすすめ」メニューには、限定入荷の「しゃこ海老」や数量限定の「有頭甘海老」「のどくろの潮汁」、限定価格の「生本まぐろ頭肉」「生本まぐろ頬肉」「生本まぐろ中落ち」「とろ鉄火巻」など、握りや一品のお得なメニューが盛りだくさん!

「生本まぐろ頭肉」や「生本まぐろ頬肉」は、頭を解体するなどの手間がかかる割には量がとれないため、他店ではあまり見かけない珍しいメニュー。

そして同店のイチオシが、中央卸売市場から今朝届いたばかりの「生本まぐろ」いろいろ

数量限定の「生本まぐろフェア」も開催中!

「生本まぐろ頭肉」「生本まぐろ頬肉」などの希少部位もお得な機会にぜひご賞味を。

平日限定ランチ(11:00~14:30)は、人気の「喜十郎御膳」1320円/税込(おまかせにぎり8貫、天ぷらの盛り合わせ、茶碗蒸し、喜十郎汁(赤だし)or鯛の潮汁、わらびもち) *20食限定 や「にぎりランチ」968円/税込(おまかせにぎり10貫、喜十郎汁or鯛の潮汁、わらびもち)、「海鮮ちらしランチ」1320円/税込(海鮮ちらし、喜十郎汁or鯛の潮汁、わらびもち)など、どれもリーズナブル

いろいろ食欲を刺激するメニューも多い中、今日のお目当ては『超お得ランチ』と命名された「20貫 握り盛合わせ」1000円(税抜)

「鯛の潮汁」も一緒にいただきます。

そんなこんなで料理を待つ間、あっという間に店内は「満席」&「待つ人でいっぱい」に。

のんびり写真なんて撮っていてごめんなさい、という気持ちになりました。

そしてこの後、目の前の光景にびっくり仰天することに。

20貫どころじゃない…生本まぐろ、そしてあの希少部位も

へい、お待ち! と言わんばかりに職人から手渡された握り寿司にびっくり!

いや、ほんまですか…
いや、ほんまですか…

いやいや、噓でしょ…数にしたら20貫どころじゃないよ
いやいや、噓でしょ…数にしたら20貫どころじゃないよ

「これ、本当にわたしが注文した “1000円のランチ” ですか?」とそのボリュームに驚き、思わず聞き返してしまいました。

中央右手にドカンとそびえ立つ軍艦は、今朝、中央卸売市場から届いたばかりの生本まぐろの中落ち

「梅くらげ」じゃないことに衝撃を受け、のちにその美味しさにダブルパンチをくらうことに。

他にも、希少部位の生本まぐろの頭肉ハマチの腹身白身魚のカレイヒラメ生キングサーモンゆで&生海老イカ鴨ロース石垣貝イタヤ貝など。シャリは小さめ、ネタはドドーンと大盤振る舞い。

シャリからはみ出る新鮮なネタ
シャリからはみ出る新鮮なネタ

「梅くらげ」じゃないよ。「本まぐろの中落ち」だよ
「梅くらげ」じゃないよ。「本まぐろの中落ち」だよ

これだけ種類があると何から食べようか迷ってしまいます。

そして、真っ先にヒョイとつまんだこちらが「生本まぐろの頭肉」だったことを後から知ることになるとは。

大トロ? と思うくらい、上質な脂がシャリを包み込み口の中でとろけていきます。

淡白なのに濃厚。きっと極々わずかしか食べられない部位ほど、何個でもいけちゃう罪深さを持ち合わせている。

ネタは日によって変わるため、「生本まぐろの頭肉」が入っていたら “大当たりの日”。

「ハマチの腹身」も文句なしの旨さ。

今朝、仕入れたばかりの「ヒラメ」もぴっちぴち。

”冷凍サーモン”を提供しているお店が多い中、こちらは市場から今朝届いたばかりの「生キングサーモン」。

すっきり濃厚な味が新鮮さの証。

これ何? 聞くところによると「イタヤ貝」のタレ漬けだそう。

口の中でほぐれる貝はタレの味に負けないほど香り豊か。

お腹もだいぶ満たされてきたけれど、まだまだある!

そろそろ、“アレ”を食べようか…。でも、この段階では“アレ”を「梅くらげ」だと思っているわたし。

箸でつまんでみて「梅くらげ」じゃないことに気づきました。

とろとろの「生本まぐろの中落ち」が、枯れかけたカラダに良質な脂を運びます。

美味しい…。

ドカンと大きなアラが入った「鯛の潮汁」も美味。

いよいよこれがラスト!

食べられるか不安なほどの凄いボリュームでしたが、圧倒的な美味しさでペロリと完食しちゃいました。

連日、お客さんが殺到し、お疲れ気味の永田店長。ゆっくり話せる時間を見計らって後日改めてお話を伺いました。

お店の歴史と地域への想い

「廻鮮鮨 喜十郎」の歴史は、70年程前に永田さんのおじいさまが営んでいた魚屋がはじまり。「廻鮮鮨 喜十郎」の創業者であり、現社長のお父様、そしてお兄様は、現在も木津卸売市場で魚屋を営んでおり、地元の鮮魚は木津卸売市場を経由して、また、地元で獲れない本まぐろなどは中央卸売市場から毎朝お父様の手で運ばれ、昼には店内で提供されます。

手間がかかる割には量がとれない、とお話にあった「生本まぐろの頭肉」「生本まぐろの頬肉」は、社長であるお父様が自ら厨房で解体。“よりリーズナブルに”というコンセプトは、社長の “強い意志” だといいます。

驚くことに「廻鮮鮨 喜十郎」は、コロナ前から、そして原材料高騰が続く今も値段を変えずに地域のみなさまに新鮮で美味しいお寿司を提供し続けています。

ご一家の地元でもあるここ泉州で、他店の追随を許さないほどの圧倒的なコストパフォーマンスを魅せる「廻鮮鮨 喜十郎」。

古くから続く歴史の中に、その理由があることを知りました。

店長の永田 恭兵さん
店長の永田 恭兵さん

幼い頃から野球少年だったという永田さんは、兵庫県にある野球の強豪校に進学し、一時はフレンチを志すも7年程前に父親に呼び戻され、それを断念。

「店を助けてほしい」という父親の言葉に一つ返事でOKを出します。

「昔から父親の言うことは“絶対”だった。でも、気さくな人で、店でも“おっちゃん(社長)”のように扱われているんですよ」と笑う永田さん。

店を任された当時は、スタッフ同士の空気感も悪く、決して良い雰囲気の店ではなかったといいます。そんな中、永田さんは 板前さんの指導を受けながら、従業員の給与の見直し、当時はなかった*子どもメニューの開発に着手します。

*「きじろっ子にぎり」286円(税込) 小さく握ったまぐろ・たまご・えび・コーンの軍艦・いなりの盛り合わせ(好評販売中)

「タッチパネルを置かない」というのも永田さんのこだわり。

今どき珍しい ”タッチパネル” がないテーブル
今どき珍しい ”タッチパネル” がないテーブル

直接注文を受けることで、ひと言、ふた言 生まれるお客さんとの会話を大切にしているという(混雑時はメモで注文を受けることも)。

取材中も隣の席に座るお客さんに声を掛けられ、笑顔で駆け寄り談笑したり、スタッフに優しく声を掛けたりする姿も見受けられ、ほっこり優しいリーダーの顔をのぞかせます。

「スタッフ同士の空気感や店内の雰囲気が大切。お客様にはすぐに伝わってしまうから」と、店長としての気概も十分。

土・日・祝日の人気メニュー

今回ご紹介した『超お得ランチ』(20貫 握り盛合わせ1000円(税抜))平日限定メニューですが、「平日は行けないよ~」という方に、とっておきのランチがあります。

大とろズワイ蟹いくら特大うなぎなどが入った寿司12貫と、喜十郎汁(赤だし)わらびもちがセットになった「喜十郎ランチ」は、なんと2200円(税込)

市内辺りでは5000円はする、と永田さんも太鼓判をおす “超お得メニュー” です。

他にも、小食の方向けに、寿司10貫喜十郎汁(赤だし)わらびもちがセットになった「にぎりランチ」1100円(税込)なども。

ヒラメカンパチシマアジなどの単品鮮魚も人気で、平日のみならず土・日・祝日もお楽しみいただけますのでご安心を。

さいごに

テレビの取材を受けて、お客さんが大勢来てくれるようになり、ありがたい反面、常連さん(おじいちゃん、おばあちゃんが多い)の姿をあまり見かけなくなったことが寂しい、と話す永田さん。平日以外であれば比較的入っていただきやすいので、また来てくれるとうれしいなぁ、と。

今回の取材を通して「廻鮮鮨 喜十郎」は、新鮮な素材を低価格で提供してくれる “地域に優しいお店” というだけでなく、家族の支え、お客様やスタッフへの熱い想い、体育会系の若き店長の "情熱大陸” さながらの半生があって、素敵なお店へと成長していたことを知りました。

想像を超えたのは、『極上寿司20貫』の価格やボリュームだけじゃなかった。

お店の心意気そのものが素晴らしい。

『超お得ランチ』は安すぎるので、もう一品何か頼んであげると、若きリーダーはきっと喜びます。

帰る頃にも待つお客さんでいっぱい
帰る頃にも待つお客さんでいっぱい

”きじゅろう” ではなく、”きじろう”
”きじゅろう” ではなく、”きじろう”

【基本情報】
店名:「廻鮮鮨 喜十郎」
住所:泉南市馬場2丁目284-1
Tel:072-480-0510
営業時間:(平日)11:00~14:00/17:00~21:30 (土・日・祝)11:00~21:30*ネタがなくなり次第閉店
定休日:水曜
駐車場:あり 21台(内 軽自動車用4台、障がい者専用1台)
取材協力 「廻鮮鮨 喜十郎」店長 永田 恭兵 様
*記事内容は取材当時のものです。
*この記事を書くにあたって、お忙しい中3度の訪問を快く受け入れてくださった永田店長に、この場をお借りして心より御礼申し上げます。

ライター(泉南市・泉佐野市)

なんでもない日々を旅するように暮らす日常写真家。「ローライ35s」という小さなフィルムカメラでささやかな日常を記録しています。私たちの町のちょっとうれしくなるあんなことこんなこと。皆様の日常がもっともっと楽しくなりますように。

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