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村田諒太の未来を左右する初防衛戦 GBPマッチメイカーが語る試合展望と未来予想図

杉浦大介スポーツライター
Photo By Daisuke Sugiura

12月23日 横浜アリーナ

WBA世界ミドル級タイトル戦

王者

村田諒太(帝拳/33歳/15勝(12KO)2敗)

12回戦

挑戦者

スティーブン・バトラー(カナダ/24歳/28勝(24KO)1敗1分)

ロベルト・ディアス:オスカー・デラホーヤが率いるゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)のメイン・マッチメイカー。メキシコ系アメリカ人で、傘下の目玉選手であるサウル・”カネロ”・アルバレス(メキシコ)とは特に親しい関係を築いていることで知られる。今回はアイ・オブ・ザ・タイガー・プロモーションズとともに、GBPが共同プロモートするバトラーのサポートのために来日した。

過去にはコット、カネロともスパーを積んだバトラー

ーー村田対バトラー戦はどんな展開になると予想しますか?

RD : とても良い試合になるでしょう。両選手のスタイルを考えれば、判定にもつれ込むとは思いません。2人ともまだ若く、ハングリー。爆発的なファイトになるでしょうね。どちらが勝とうと、“ファンが勝者”と呼べる内容になるはずです。

ーーバトラーにとっての勝利の鍵は?

RD : 賢明に戦うことです。それでいてしっかりとプレッシャーをかけ、多くのパンチを出さなければいけません。バトラーは大変な強打者で、才能に恵まれた選手です。村田はストロングなファイターですから、もちろん簡単な試合にはならないでしょう。ただ、私たちは彼の能力に自信を持っていて、 勝つのは決して不可能ではないと考えます。

ーーGBPはバトラーと提携契約を結んでいるわけですが、彼のどういった部分に魅かれていますか?

RD : まずはやはりそのパンチ力ですね。これほどのビッグパンチャーなら、手数を出し続ければ常にチャンスはある。アマチュアでも多くの試合をこなし、若いのに様々な経験を積み重ねてきたことも魅力です。もちろん五輪金メダリストの村田の方が経験でも上ですが、ご存知の通り、バトラーはプロでもすでに多くの試合をこなしてきました。また、キャリアを通じて、ミゲール・コット(プエルトリコ)、カネロらとハイレベルのスパーリングを経験してきたことも忘れてはいけません。

ーーバトラーは5月にはラスベガスでのGBP興行のセミファイナルに登場し、ビタリ・コピレンコ(ウクライナ)に判定勝ちを飾りました。8回にダウンを奪われる厳しい試合でしたが、初めての海外戦だったあの試合も彼の助けになっていると考えますか?

RD : 間違いありません。カナダ国外での初めての試合というだけでなく、ラスベガスで戦ったことは、今回のような大舞台に向けた適切な準備になったはずです。

カネロの次戦の相手は?

ーーGBPの看板選手はもちろんカネロで、あなたは特にカネロと親しい関係を築いていることで知られています。今戦の勝者は現実的に将来のカネロの対戦相手候補になると思いますか?

RD : もちろんです。これまでもミスター・ホンダ(帝拳ジムの本田明彦会長)と村田とカネロの対戦の可能性について話し合ってきました。特にカネロはつい最近、「いずれ日本で戦いたい」と発言したばかり。それが実現したら、関係する私たちにとってもドリーム・カム・トゥルーです。

ーーカネロは来年5月のリング登場が基本線と思いますが、相手はいつ決定するのでしょうか?

RD : もうまもなくです。アメリカのホリデイシーズンが終わったら、カネロのチームと話し合いの場を設けるつもりです。GBPのオスカー(・デラホーヤ)、エリック(・ゴメス)と私がその会合に出席し、5月の次戦に向けて準備を開始します。23日の試合の勝者に関しても、そこで話し合われることは間違いありません。

ーーカネロは前戦ではライトヘビー級のウェイトでセルゲイ・コバレフ(ロシア)に挑戦し、11回TKO勝ちを飾りました。次戦で2階級下げ、再びミドル級で戦うことは可能と考えますか?

RD : カネロ本人は“イエス”と言ってきました。ただ、それに関してはもう一度しっかりと話し合わなければいけません。175パウンドのライトヘビー級から、160パウンドのミドル級まで一気に下げるのは容易なことではない。次戦を168パウンドのスーパーミドル級で戦い、その後にミドル級に落とすのが適切だと考えます。彼は規律のしっかりした若者なので、またミドル級でも十分に戦えるはずです。

ーーそれでは村田対バトラーの勝者がカネロの対戦相手候補として考慮されるとしても、次の次の試合になる可能性が高いということですね。

RD : 5月の次の試合はスーパーミドル級のウェイトになるのではないかと思います。ただ、どんな可能性も打ち消すつもりはありません。このファイトが終わった後、ミスター・ホンダか、バトラーを抱えるアイ・オブ・ザ・タイガー・プロモーションズとも話し合うつもりです。バトラーが勝った場合、再戦条項もあるため、その点も考慮せねばなりません。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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