玉井屋本舗さんの「登り鮎」は岐阜県内でも歴史ある鮎菓子。絡みつく求肥と風味豊かなカステラは名コンビ
近年は気温の上昇に伴い、六月の日中でも汗ばむような日が増えてきたような気がします。梅雨前にお天道様の恩恵を受けられる貴重なひとときとは申しますが、欲を言えばファンデーションが浮いてしまうような暑さは避けていただきたいところ。
しかし、六月の異名は涼暮月と申しますように、日没後の群青の空間に映える松明や鵜司と鵜たちによる見事なコンビネーションの鵜飼いを観覧するには相応しい季節に。
岐阜県が誇る雄大な長良川のすぐそばに本店を構える和菓子屋「玉井屋本舗」さん。創業1908年から今に至るまで、和菓子の文化だけではなく長良川の水景や歴史情緒と温もり漂う町家が連なる街並みの継承にも尽力なさっている老舗です。
その玉井屋本舗さんにではこの季節欠かせない和菓子が販売されており、尚且つ岐阜県内では最初にお作りになったのだとか。今回は玉井屋本舗さんの「登り鮎」をご紹介。
まずお伝えしたい魅力が、登り鮎のキメが整った肌とスラリとした肢体。養殖物の鮎は立派にふくらんだ胴体や大柄な佇まいと食べ応えが人気ではありますが、きゅっと引き締まり清流の流れにも負けずに川底の苔を食む力強さを湛えたような天然物の鮎がそのままお菓子になったような佇まい。
思わず前のめりになり鼻を近づけてしまうような輪郭のはっきりとした卵や蜂蜜のこっくりとした甘い香りに引き寄せられてぱくりとすれば、しっかりとした甘味のカステラに思わず口角が上がります。
求肥がまた独特な食感でして、滑らかに溶けて舌に絡みつく柔らかさ。口の中で焼き皮とひとつにまとまり、カステラと求肥双方の旨味は鮎の王道ともいえる甘露に。ちょっぴり細く糸を引いてからプチンと切れる淡い琥珀色の求肥、印象深い存在です。
あっさりとした身を楽しむには、6月が適しているという鮎。梅雨を迎える前に、鵜飼の情景を思い浮かべながら鮎初めとしてみてはいかがでしょうか?
玉井屋本舗さんの登り鮎はお取り寄せが可能な他、百貨店の和菓子売り場でもばら売りで展開されているところもございます。これから和菓子売り場では、あんこや団子という文字ではなく「鮎」というプライスカードや包装紙を探す日が増えそうですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<玉井屋本舗・本店>
公式サイト(外部リンク)
岐阜県岐阜市湊町42
0120-601-276
8時~19時
定休日 水曜