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【動画で見る】スポーティさ色濃いコンパクトSUV、ジャガーE-PACE

河口まなぶ自動車ジャーナリスト
筆者撮影

コンパクトSUVだが幅はデカい

 ジャガーが日本市場に導入した新型E-PACEは、コンパクトSUVのジャンルに入る1台である。

 もっともコンパクトとはいえ、全幅は日本基準ではなく世界基準であるため1900mmとワイドなのが特徴だ。結果3サイズは全長4410mm×全幅1900mm×全高1650mmとなる。これは先日紹介したボルボのXC40の全長4425mm×全幅1875mm×全高1660mmと近い。また発表直後のBMW新型X2は、全長4375mm×全幅1825mm×全高1535mm。ちなみに日本のSUVでいえば、三菱エクリプスクロスが全長4405mm×全幅1805mm×全高1685mm、トヨタCH-Rは全長4360mm×全幅1795mm×全高1550mmと、やはり全幅での違いが最も大きいのが分かる。

 さらにE-PACEの場合は車幅こそワイドであるものの、前後のオーバーハング(=フロントタイヤの前/リアタイヤの後ろの部分)が切り詰められたデザインとなるため、全長は非常に短く見えるのもポイントだ。そして試乗車は19インチサイズのタイヤを履いていたが、これがとても大きく見えるのは、全長が短くスポーティなスタイリングによるところだろう。

 実際、エクステリア・デザインは1クラス上に位置するSUVであるF-PACEとの関連性よりもむしろ、同社のスポーツモデルであるF-TYPEにあると説明する。確かにサイドからみてボディの上半分を見るとシャープなノーズから流麗な後ろに行くに従い低くなるルーフライン、そして力強い造形のリアフェンダーといった具合にスポーツカーを思わせる感覚もある。

 また室内に入っても、そこに展開されるインテリアはジャガーらしい硬派でスポーティなテイストの造形。そこにレザー等で上質な雰囲気をしつらえた、ジャガーならではのイメージが展開されている。

他にないスポーティな感覚

 最近のコンパクトSUVはどちらかといえば、ボルボXC40やBMW X2のように、単なるスポーティではなくポップな感覚やファンな雰囲気が盛り込まれることも多いが、そうした中でE-PACEはジャガーらしさを貫いたといえるだろう。どこか硬派なスポーティさとイギリス的な上質さが同居しているのだ。

 実際に試乗した印象は動画に任せるとして、走っても全ての操作系において、ギュッと凝縮感のあるフィーリングが印象的だった。操作に対してレスポンス良く、身のこなしも素早い。低速ではやや揺すられる部分もあるが、速度が上がるとフラットな感覚を生む。そこに感じるのはやはり、他にはないスポーティだ。

 エンジンは2.0Lの直列4気筒ターボで249馬力/365Nmを発生するもので、この上に300馬力版もあるが、この249馬力版で十分以上の動力性能は担保されている。組み合わされるのはジャガー初となる9速ATで、4輪を駆動するモデルであった。エンジンはどこからでも力強いタイプで、これを9速ATが効率よくタイヤに伝えるため、アクセル開度は小さくてもスイスイと進む。

稀有なキャラクターと希少性

 こんな具合で走りは想像以上にスポーティに仕立てられており、ここが個性を感じさせる部分だった。一方で全長の短さゆえかラゲッジルームはライバルよりも奥行きが少ない。また60:40の分割可倒式シートの背もたれを倒す際に、ラゲッジ側にレバーやボタンがないのが気になった。電動テールゲートとハンズフリー機能は備えているが、背もたれを倒すにはリアドアを開けてリアシートのボタンを押すことになる。

 とはいえ、スポーティなキャラクターはライバルと比べても稀有である上に、存在としても日本市場では日本のSUVとドイツ系SUVで多くが占められる状況であるため、ジャガー・ブランドは希少性もある。その意味で、他人と違う選択を重視する人にとっては是非チェックしたい1台である。

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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