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政治家の収支報告書は、すべてデジタル化しリアルタイムに報告すべきでは?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:総務省 収支報告書

KNNポール神田です

政治とカネ問題は、永遠になくならない課題のようだ。

そもそも、総務省の『政治資金収支報告書』の公開手段や公開時期に問題があるのではないだろうか?
今回の騒動もこの報告書に記載されていないことが発覚してからの大騒ぎとなった…。しかし、それは令和4年度2022年の報告書だ。令和5年度2023年の今年度分は、まだ公開されていないので、大幅に修正がはいることになりそうだ。

むしろ、この報告書は月次で報告するくらいデジタル化して国民に見える化するべきだろう。 政治とカネの問題こそデジタル化すべきイシュー(課題)ではないだろうか?


■安倍派「裏金」5億円か 事務方の刑事責任追及は必至

□自民党派閥の政治資金パーティー券問題で、安倍派(清和政策研究会)が最近の5年間で所属議員にキックバック(還流)した総額は、5億円ほどに上る可能性があることが(2023年12月)12日、関係者への取材で分かった。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/295552


出典:総務省 政治資金収支報告書
出典:総務省 政治資金収支報告書

政党、及び政治家の資金団体は毎年1〜12月に締めた収支報告を3月までに選挙管理委員会に提出し、受理されたものが翌年の11月に定期公表されている。

そもそも、このタイムラグがありすぎることが問題と言って良いだろう。

1年も前の収支報告が毎年11月に掲載されるのだ。なぜ?そんなにも公開までに時間がかかっているのだろうか?

たとえば、通称『安倍派』と呼ばれる派閥の『清和政策研究会』だが、
http://www.seiwaken.jp/

政治資金収支報告書』の『令和4年分定期公表』『その他の政治団体』の『』の分野でようやくたどりつくことができる。
https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/reports/SS20231124/SO/14.html

出典:総務省 収支報告書 清和政策研究会
出典:総務省 収支報告書 清和政策研究会

https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20231124/3120000041.pdf

令和4年(2022年)1月から12月分の収支報告書3億8747万円が、

令和5年(2023年)3月27日に東京都選挙管理委員会に提出され、令和5年の4月21日と一ヶ月後に受付られている。
そして、総務省の定期公開までに8ヶ月もの期間が経過している。

そして公開された頃には、令和4年の政治とカネの話が言及されている。…ということは、今年もすでに提出するまでにはかなりの補正しないといけない金額がうごいていることにならないだろうか?


■当該報告書が提出された年の十一月三十日までに公表するもの

出典:政治資金規正法 第20条1項 筆者加工
出典:政治資金規正法 第20条1項 筆者加工

総務省選挙部収支公開室に確認を取ったところ、この公開時期については、『政治資金規正法 収支報告書の要旨の公表 第二十条一項』の法律により規定されているとおりであるとのことだった。

報告書を受理したときは、総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、総務省令の定めるところにより、その要旨を公表しなければならない。この場合において、第十二条第一項の規定による報告書については、報告書の提出期限が延長される場合その他特別の事情がある場合を除き、当該報告書が提出された年の十一月三十日までに公表するものとする。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC1000000194_20220617_504AC0000000068

つまり、法律によって規定されているとおり、公開されたものは、約1年前の問題であり、現在の問題は、何も追求できないのだ。



■『PDF』であっても画像ファイルで読み取れない

たとえばこのPDFをChatGPTで読み取ろうとしても…

『アップロードされた文書は、標準的なPDFではなく、PNG画像ファイルのようです。この形式は、ドキュメントが選択可能または編集可能なテキストではなく、テキストの画像で構成されていることを示唆しています』と指摘される。

出典:ChatGPT
出典:ChatGPT

資金報告書はせめて .CSV  ファイルか .XML ファイルで分析できるようにすべきではないだろうか? 最初からデジタルでe-Taxのような仕組みで自動公開されればこんな1年前のことではなく、先月の記載漏れですぐに判明するようにできるはずだ。

■政治とカネの問題はリアルタイムでの国民の監視が必要だ


政治資金の報告書の掲載を早くするよりも、政治家の収支ほど、デジタル化して見える化すべきだと思う。

例えば、国民に一斉に付与した『マイナンバー』だが、政治家には収支報告用の『政治家マイナンバー』を与え、毎月の収支をP/LとB/Sで提出していくようにすれば、先月の収支がほぼリアルタイムでわかるということもできる。
 何かの事件が発覚しても、先月のデータが公開されているので捜査も簡単になることだろう。

国民にはマイナンバーをもとにe-Taxインボイス制度を徹底させているが、自分たちの収支は手書きの収支報告書やスキャニングした画像で、一年経過してからの公開というのはちょっと都合が良すぎるのではないだろうか…。

火の玉となり、自民党の先頭に立って取り組んでいく』と2023年12月13日水に会見した岸田総理は述べたが、『当該報告書が提出された年の十一月三十日までに公表するもの』を、『五月三十一日まで』7ヶ月早めるだけでもかなり改革になると思うのだがいかがなものだろうか?

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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