どら焼きだけではありません!「浅草亀十」さんのイチオシ和菓子は食べきりサイズから購入可能
先日ご紹介させていただいた浅草の和菓子屋さんの重鎮、「亀十」さんのどら焼きの粒餡。亀十さんを訪れる方の殆どが独特な、いえ、唯一無二ともいえるような風貌の大きなどら焼きを目当てに行列に並ぶといっても過言ではございません。しかし、和菓子ソムリエの私としては看板メニュー以外にもぜひ味わっていただきたいお菓子が沢山!
今回はその中から、おひとつから購入もしくは食べきりサイズの和菓子をご紹介させていただきます。少量からお求めいただけるお菓子ですので、メインのどら焼きのついでにひとつ、もしくは、ちょっと味見をしてみたいなという時にもぴったりです。
今回は、亀十さんの「笹だんご」と「松風」をご紹介。
ねっとり、しゅるんと溶けていく上新粉のお餅。亀十さんの「笹だんご」はもちもちではないので、噛まずとも舌まとわりついた瞬間に蓬の澄んだ香りが鼻腔まで昇り、そのまま軽やかに抜けていくのが非常に心地良いんです。思わず「んふっ」と吐息が漏れてしまいました。目尻がほんの少し下がるのと同時に、頬がきゅっと上がるような感覚に、ほっと和む疲れた心…
粒餡も強かな甘味ながら、皮の食感が軽やかな耳当たりとなってくどさは皆無。いくらでも食べられるとはまさにこのことなのでしょうね。笹にお餅がくっついてはがれないときは、お水を数的垂らすとするするとはがれていきます。決してじゃばじゃばとお水に当てないようにお願いします。
「松風」のふわふわと軽やかな生地は、この空気の部屋の数をご覧になると分かりやすいのではないでしょうか。はむっとひと噛みした瞬間、空気の部屋から立ち昇っていく黒糖の芳香。素朴でいて力強い、それでいて懐かしいような独特の香り。お砂糖なんかは料理に使用する方が多いかと思いますが、黒糖を日常生活の中で使用するという方はかなり少数なのではないでしょうか。それなのに、なぜか落ち着くのですよね。
皮に対して粒餡は非常に少なめ。とはいえ、生地そのものの旨味やまろやかさを味わえるので、このくらいのバランスが丁度良いと私は思います。粒餡が箸休め、とでもいいましょうか。
名店の看板メニューは確かに美味しいものが多いのですが、販売されているお菓子はそれだけではありません。ちょっと今日はこちらを味見、なんて気軽な気持ちで召し上がってみてはいかがでしょうか?
意外なお菓子がお気に入りになるかもしれませんよ。
<亀十>
東京都台東区雷門2-18-11
03-3841-2210
10時~19時