Apple Watchは依然トップ ただし売れ筋は2年前のモデル 第4世代で状況を打開できるのか?
米アップルは先ごろ、米カリフォルニア州の本社で新製品発表イベントを開催し、スマートウオッチ「Apple Watch」の第4世代モデルを発表した。
このモデルは、初代モデルから初めてデザインを変更。転倒時のアラートをはじめとする健康関連の機能などを拡充した。Apple Watchはこれまで以上に人々に関与し、生活に密着なものになっていくのかもしれない。
そうした中、香港の市場調査会社カウンターポイント・テクノロジー・マーケットリサーチのレポートによると、Apple Watchは、この新モデルの発売直前も販売が好調だったようだ。
トップは「Apple Watch Series 1」
今年(2018年)4〜6月期におけるApple Watchの世界出荷台数シェアは41%で、依然首位だ。アップルは、2位以降のメーカーを大きく引き離している。
こうしたApple Watchの好調な売れ行きは、昨年9月に市場投入された第3世代モデル「Series 3」によってもたらされたと、多くの市場調査会社が分析している。
ただ、カウンターポイントは「Apple Watchはつい最近まで、2年前に市場投入された『Series 1』が最も売れていた」と指摘する。
カウンターポイントのデータでは、今年4〜6月期の機種別販売ランキングは、1位から順に、「Apple Watch Series 1」「Fitbit Versa」「Amazfit BIP」「Apple Watch Series 3」「Fitbit Ionic」。
このうち、4位のApple Watch Series 3には、セルラー対応(携帯電話通信機能内蔵)版がある。近くにiPhoneがなくても電話やネット接続が可能となるモデルだ。他の市場調査会社は、このセルラー対応版について、アジア地域で好調に売れていると報告していた。
セルラーモデルはわずか1割
しかし、カウンターポイントによると、この4〜6月期は、非セルラーモデルであるSeries 1の販売台数がApple Watch全販売台数の9割を占めた。
「セルラーモデルは登場時に注目を浴びていた。しかし、iPhoneユーザーは、今、非セルラーモデルを選択している」と同社は報告している。
こうした消費者の購買行動は、スマートウオッチ市場全体にも表れているという。4〜6月期に世界で出荷されたスマートウオッチのうち、セルラーモデルはわずか1割にとどまった。
アップルが今、主力モデルと位置付けているのは、最新Series 4のセルラーモデルである。
果たしてこの新モデルシリーズの市場投入により、アップルは消費者の購買行動を変えることができるのだろうかと注目されている。
- 図1 スマートウオッチはウエアラブル機器市場で最大のシェアを占める(インフォグラフィックス出典:ドイツ・スタティスタ)
シャオミ系の中国メーカーが台頭
なお、今年4〜6月期のメーカー別出荷台数ランキングは、アップル、米フィットビット、米フォッシル、中国アメイズフィット、米ガーミン、韓国サムスン電子の順となった。
このうち今、最も動向が興味深いのは、4位のアメイズフィットかもしれない。アメイズフィットは、中国のスマートフォン大手シャオミ(小米科技)のパートナー企業であるファーミ(華米)のサブブランドである。
ファーミは、シャオミのウエアラブル機器やアクセサリー製品などの開発と製造を行っている企業だ。
4〜6月期に機種別販売ランキングで3位になった同社の「Amazfit BIP」は、今年上半期に約50カ国で販売強化が図られ、世界で人気を博していると、カウンターポイントは指摘している。
- (このコラムは「JBpress」2018年9月5日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)