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番狂わせの可能性膨らむ東京ヴェルディ。気になる名波監督の守備的サッカー

杉山茂樹スポーツライター
(写真:田村翔/アフロスポーツ)

 選手交代の意図を聞かれた名波監督は「ご想像にお任せします」と一言。質問を嫌った。試合後の会見の冒頭で「残酷な結果を受け止めるのに必死な状態」と、心境を吐露しているとはいえ、余裕の無さを露呈させたことは、戦術家と持ち上げられる監督らしからぬ姿に見えた。

 名波監督率いるジュビロ磐田は、ご承知のようにJリーグ最終戦で川崎Fに逆転負け。J1リーグ16位となり、来る12月8日、東京ヴェルディとの入れ替え戦に臨むことになった。

 選手の知名度、本来の実力を比較すれば、80対20で磐田が有利に見える。しかし、実際は接戦になる気がしてならない。55対45。磐田が守備的な戦いをすればするほど、その差は縮まる。東京Vに昇格のチャンスは膨らむ。

 川崎F戦。磐田が決勝ゴールを許したのは追加タイムに入った94分だった。そのプレーオフ行きは最後の最後、まさに土壇場で決定した。

 劇的な幕切れだったが、磐田がアウェーで川崎Fに敗れることは、意外な話ではない。実力的に見てその敗戦確率は7割〜8割だ。それと名古屋対湘南戦の引き分け(2-2)と、鹿島対鳥栖の引き分け(0-0)とが重なる可能性となるとグッと低くなるが、それでも2、3割はあったわけで、名波監督は「残酷な結果」と言うが、必然性は高かったのである。

 予想外な展開を作り出したのは磐田の方だった。後半33分、大久保嘉人のゴールで先制したことだ。いったん試合をリードし、好ましい展開に持ち込んだ磐田。それでいながらどうして、残酷な結果へと導かれることになったのか。問われるべきはその原因だ。残酷な結果は突如、訪れたわけではない。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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