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『ボヘミアン・ラプソディ』や『名探偵コナン』は ?韓国映画成績トップ100

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
映画『ボヘミアン・ラプソディ』の韓国ポスター

韓国の今年の映画観客動員数が累計2億人突破を目前にしているという。韓国3大シネマコンプレックスのひとつであるCGVのリサーチセンターによると、2018年11月末時点での全国の累計映画観客数は1億9400万人で、前年同期比1%減と12月に2億人を突破するのは確実となった。

『ボヘミアン・ラプソディ』は韓国でも大ヒット

2013年から5年連続で映画観客数2億人を超えている韓国だが、今年も異変がない限りその記録は続く見込みなのだ。

(参考記事:今年の韓国映画観客数が“2億人越え”の見通し。データが導き出した「新たな鑑賞文化」とは

2018年度の韓国総人口数は約5170万人。つまり、1人当たりの1年間の映画館入場回数は約4回という計算になる。韓国は昔から映画好きの国として有名ではあるが、はるかに人口の多いインドや中国、アメリカなどと並んで映画観客数の世界トップ5に入るくらいなのだから、韓国人の映画好きは相当なものだ。

今年の韓国映画界を振り返ると、ハリウッド映画の存在感が際立った。それは、韓国映画振興委員会が集計する観客動員ランキングからも一目瞭然だ。

1位の座こそ韓国映画『神と共に』だったが、2位は『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、3位は『ボヘミアン・ラプソディ』昨年のTOP3はすべて韓国映画が独占していたが、今年は12月11日時点で2、3位を占めたのはハリウッド映画だった。

日本でも大ヒット中の『ボヘミアン・ラプソディ』は先週に700万人を突破。ラミ・マックス(劇中でフレディ・マーキュリーを扮した俳優)がSNSにアップした写真とメッセージが話題にもなった。

(参考記事:『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレック、韓国ファン向けの特別写真とメッセージ公開

韓国映画でも日本の原作・リメイクが多かった

ランキングのトップ100を見て興味深かったのは、日本映画のリメイク版がいくつか上位に食い込んでいたことだ。

韓国では今年、いつになく日本コンテンツのリメイク制作が盛んだったが、特にドラマと映画の両方でバランスよく行われたという印象があり、映画では損益分岐点を超えた、いわゆる“ヒット作”も生まれている。

(参考記事:【2019年版】韓国でリメイクされた日本のドラマを一挙紹介。えっ、あのドラマまで!?

例えば3月に公開されたソ・ジソプ、ソン・イェジン主演の『いま、会いにゆきます』は26位をランクイン。同作は観客動員数260万人を突破しており、オリジナル版が再上映されたほど、リメイク版に対する反響が高かった。

また、映画『お嬢さん』で大ブレイクした女優キム・テリが主演する『リトル・フォレスト』は38位。続く39位にはカン・ドンウォン主演の『ゴールデンスランバー』が入っていた。同じくカン・ドンウォン主演の『人狼』は53位だ。(いずれも12月11日時点)

日本コンテンツをベースに作られた韓国映画が健闘したわけだが、そこで気になってくるのは日本映画だろう。

衰えることを知らない韓国での『コナン』人気

昨年は『君の名は。』が韓国でも大ヒットして日本映画が再び脚光を浴びたが、今年、トップ100圏内に入った日本映画は『名探偵コナン ゼロの執行人』(78位)『名探偵コナン 紺碧の棺』(92位)の2本のみとなっている。

韓国にも『名探偵コナン』の根強いファンが多いことは以前も紹介したが、まさか『コナン』が日本映画のトップになるとは驚きだ。まして『名探偵コナン 紺碧の棺』は日本で2007年に公開された作品で、すでに鑑賞済みのファンが多い中での韓国正式公開。にもかかわらずこのような興行成績を残したのだから、韓国における『名探偵コナン』の人気の高さが証明されたと言っても過言ではない。

(参考記事:名探偵コナン、韓国でも人気だが大胆な解釈が…「灰原がホン・ジャンミ、工藤が…」なんて!

ほかにも『劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ』(107位)、『ドラえもん のび太の宝島』(108位)など、韓国でも日本のアニメ映画が依然として人気を博している中、東野圭吾の同名の小説を原作とする『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が105位、是枝裕和監督の『万引き家族』が112位を記録している。

昨年、『君の名は。』が年間17位だったことを考えると、今年は韓国で日本映画が不振だったとも言えるかもしれないが、韓国人の日本映画に寄せる関心が冷めたわけではなさそうだ。

日本映画の関連イベントも続々

というのも、韓国内ではさまざまな日本映画関連の企画展が行われている。

最近では、森崎東、万田邦敏、井口奈己など、ここ10年で注目を集めた6人の日本人監督の作品を上映する「21世紀日本映画の再発見」や、1998年に韓国政府が行った“日本大衆文化解放”以降、韓国人に愛された2000年代の日本映画18本をリバイバル上映する「日本映画企画展」も行われた。

また、12月9日には『ラブレター』と『冷静と情熱のあいだ』で流れたサウンドトラックを生演奏で披露するシネマコンサートも開催されている。

来年1月早々には黒木華、樹木希林主演の『日日是好日』と、アニメ映画『未来のミライ』が公開予定。ハリウッド映画が勢いを増すなか、2019年は『君の名は。』に匹敵するような大ヒット作が生まれ、韓国で日本映画ブームが起きることを期待したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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