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名探偵コナン、韓国でも人気だが大胆な解釈が…「灰原がホン・ジャンミ、工藤が…」なんて!

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
『劇場版名探偵コナン ゼロの執行人』の韓国版ポスター

韓国の夏がふたたび“コナン”で盛り上がる。本日8月8日から『名探偵コナン』の劇場版アニメ22作目『名探偵コナン ゼロの執行人』が韓国で公開されるのだ。

日本で興行収入86.7億円を突破し(7月29日現在)、劇場版シリーズ最高記録を更新する大ヒットとなっているだけに、韓国でもかなり期待が高い。

コスプレ女王も『コナン』好き。ジブリと双璧

そもそも『名探偵コナン』は、韓国でも根強い人気を誇っている。原作コミックスの場合、最新刊の発売からしばらくすると正式韓国語版が発売されているし、アニメ専門チャンネル「Tooniverse」ではテレビシリーズの吹き替え版が長年放送されている。

以前、インタビューした“コスプレ女王にして“美しすぎる声優”ソ・ユリも、「『名探偵コナン』などを楽しく観るうちに声優さんにも興味を持ちはじめ、憧れるようになりました」と語っていたほどである。

特に最近は劇場版の人気は高く、日本で毎年4月に公開される劇場版が約4〜5ヵ月遅れの夏に韓国で公開されるのが毎年恒例となった。

2008年に6作目の『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』が劇場版シリーズの中で韓国初公開されたことを皮切りに、毎年のように新作が上映されているのだ。

韓国で息の長い人気を誇る日本アニメ映画と言えば“ジブリ作品”が挙げられるが、『コナン』はその“ジブリ”と双璧をなす存在と言えるだろう。

(参考記事:韓国の映画ファンが評価するスタジオジブリ作品のベスト10とワースト1位は?)

登場人物の名前が日本と違う!?

ただ、韓国の『名探偵コナン』は日本とは登場人物がちょっと異なる。見た目も劇中での役割も日本と同じだが、名前が異なるのだ。

例えば、工藤新一は「ナム・ドイル」、毛利蘭は「ユ・ミラン」、毛利小五郎は「ユ・ミョンハン」、灰原哀は「ホン・ジャンミ」といった具合で、主人公・コナンを除くほぼ全キャラクターの名前が、『スラムダンク』韓国版のように韓国式に変わっている。

(参考記事:桜木花道は「カン・ベクホ」!? 韓国でもバスケブームを巻き起こした『スラムダンク』のすごさ

ちなみに「ナム・ドイル」という名前は、『シャーロック・ホームズ』シリーズの著者、アーサー・コナン・ドイルにちなんで付けられたもの。また、灰原哀の「ホン・ジャンミ」は、灰原の“バラ”から「薔薇」を意味する韓国語「ジャンミ」になったと言われている。

キャラクター名を韓国式に変える傾向は、『君の名は。』や『聲の形』のような最近の作品では見られなくなった。

むしろ『君の名は。』でヒロイン三葉の吹き替えを担当した清純派女優キム・ソヒョンなどは「見た目は三葉に近いかもしれないが、歴代最悪の吹き替え」と韓国ファンからダメ出しされたほどだ。

韓国で『名探偵コナン』が人気のワケ

そうしたこだわりを踏まえると『名探偵コナン』登場人物の韓国名には違和感もあるが、言い換えれば、改名が行われた作品はそれだけの歴史を誇る作品ということだろう。『名探偵コナン』もほかの代表的な日本作品同様、韓国の漫画市場を支えてきたわけだ。

(参考記事:日本作品の比率は全体の3割! 進化する韓国マンガ界の事情)

実際、昨年公開の『名探偵コナン から紅の恋歌』も、競技かるたという日本の伝統競技を題材にしていることから「さすがに韓国公開は難しいかも」という心配の声が上がったが、まったくの取り越し苦労だった。

一昨年に観客動員数50万人を突破した『名探偵コナン 純黒の悪夢』には及ばなかったものの、『から紅の恋歌』は45万人の観客を呼び込み、劇場版シリーズの韓国累計観客数571万人を記録している。

それだけに今回の『ゼロの執行人』への期待は大きい。

昨年の劇場版21作目『名探偵コナン から紅の恋歌』の公開時、『名探偵コナンテーマ展』なる展示会が開催されたが、今年も作品に登場する主要場所の体験や、来場客が会場内で推理などを楽しめる『劇場版名探偵コナン公開記念展 ゼロのメッセージ』が開催中だ。

聞くところによると、ファンの中には韓国公開を待ちきれずにすでに日本で鑑賞し、さらにふたたび韓国で韓国版を楽しもうという熱狂的なファンたちが多いらしい。

『名探偵コナン』が韓国でも長く愛されてきた理由は、日本とさほど変わらない。「コナンと黒の組織の対決」という大きな縦軸はあるが、毎回オムニバス形式になっている上、主人公が子どもの見た目をしていることも、大きな強みとされている。

日本で空前の大ヒットを記録した『名探偵コナン ゼロの執行人』に、韓国のファンたちはどのような反応を示すか。もはや夏の風物詩とも言える『名探偵コナン』祭りが、いよいよ幕を開ける。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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