「昼休み以外は使い放題」の格安SIMが登場。なぜそんな制限が?
格安通信サービスの「mineo(マイネオ)」が、月額990円からの新しいデータ使い放題のプランを3月7日に開始します。注目したいのは、速度が出るのは「月曜から金曜の12〜13時以外」に限られている点です。
mineoのようなMVNO事業者は、大手キャリアの帯域を借りる形でサービスを提供しています。そのため「エリア」は大手キャリアと同じですが、多くの人が限られた帯域を使うために「速度」が遅くなりやすい性質があります。
これまでmineoでは最大1.5Mbpsの使い放題サービスをオプションとして提供していました。mineoの契約数は110万回線を超えるとみられますが、このオプションは約13万人が契約しているとのことから、なかなか人気があるようです。
これを踏まえて新たに登場した料金プラン「マイそく」は、月額料金が税込990円で最大1.5Mbpsの「スタンダード」と、2200円で最大3Mbpsの「プレミアム」の2段階が用意されています。
特徴としては、祝日を含む月曜から金曜の12〜13時にデータ通信の速度が最大32kbpsに制限されます。32kbpsという速度は、大手キャリアの主要プランで容量超過時の制限速度が最大128kbpsであることと比べてもかなり強い制限といえます。
ほかにも「3日間で10GB以上の利用」による制限や、データ圧縮などの「通信の最適化」(ユーザー側では解除不可)が適用される点に注意は必要ですが、ほとんどの時間帯では使い放題となっています。また音声通話は時間帯による制限はないとのことです。
2つのプランについて、標準画質の動画視聴やスマホ決済などであれば1.5Mbpsで問題なく利用可能、それに加えて高画質の動画を見たい人向けに3Mbpsのプランを用意したとmineoは説明しています。
また、「マイそく」利用者向けに24時間のデータ使い放題が330円のオプションとして用意されています。このオプションでは、速度制限や「3日間で10GB」の制限がなく、「通信の最適化」のみが適用された状態で使い放題となるようです。
「昼休みだけ」の背景にMVNO特有の事情あり
このプランで興味深いのは、なぜ月曜から金曜の12〜13時だけ速度を制限するのかという点です。これはMVNOというサービスの特性が背景にあるようです。
スマホのデータ通信量は時間帯によって波があり、最も混雑するのは平日の昼休みです。しかし格安料金でサービスを提供するMVNOは、通信帯域に余裕がなく、昼休み時間帯だけ速度が大きく低下するといった現象が起こりがちです。
逆に、昼休み以外の時間帯は帯域が余っていることが分かります。つまりMVNOとしては、せっかく借りた帯域を遊ばせることがないよう、さまざまな利用スタイルのユーザーを集めることでこの波を平準化したいわけです。
なお、本来は祝日のデータ通信量は休日に近いことから、祝日も土日と同じ扱いにしてほしいところですが、mineoによればシステムの都合で祝日を判定できないことから、祝日を含めた「月曜から金曜」を対象にしているとのことです。
そのため大型連休や年末年始などには注意が必要ですが、12〜13時のスマホ利用が少ない人であれば、他のMVNOと比べてもおトクに使える可能性があるプランといえるでしょう。