木星圏探査機「JUICE」が地球スイングバイに成功、氷衛星ガニメデに生命は見つかるのか
8月20日から21日にかけて、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の木星圏探査衛星「JUICE」が、木星へ向かうための地球スイングバイに成功しました。本記事では、JUICEの担う重要なミッションをご紹介します。
■生命の存在可能性がある木星衛星を調査
JUICEは、生命の誕生や太陽系の起源を解明することを目的として、生命体の手がかりが存在する可能性をもつ木星の「エウロパ」、「ガニメデ」、「カリスト」という表面が氷で覆われている3つの氷衛星を観測します。地球に比べて、大きさがおよそ11倍、重さがおよそ320倍ある太陽系最大の惑星である木星の成り立ちや、その氷衛星内部に「海」のような液体で満たされた場所があるかなど、木星の謎の解明に迫るのが目的です。木星圏がどこで、どのように形成されたかは謎に包まれており、太陽系の成り立ちを解明する鍵を握っているのです。
■JAXAが携わった観測機器も搭載される探査機「JUICE」
JUICEは、重量が約6トン、面積が85平方メートルに達する巨大な太陽電池を搭載している探査機です。更に、氷に覆われた木星の衛星を探査するためのカメラや高度計、磁力計など、10種の先端科学装置が搭載されています。開発は欧州宇宙機関ESAが中心となり、日本や米国、イスラエルが参加する国際ミッションです。レーザーで計測する高度計や、電波やプラズマの波動を観測する機器など、合計6つの観測装置はJAXAも開発に携わっています。
■2031年に木星圏、2034年にはガニメデへ到着
「JUICE」はヨーロッパでは初の木星系へのミッションであり、地球スイングバイと金星スイングバイを行い、7年後となる2031年に木星周回軌道に投入される予定です。その後、木星や35個もの衛星の観測などを行います。
その後は、エウロパに2回、カリストに30回以上の接近観測を行います。2034年にはガニメデの周回軌道に投入され、地表からの高度 500 kmにまで近づき氷に覆われた表面や内部構造を探ります。最終的には2035年にガニメデに衝突して探査を終了します。ミッションに成功すれば、世界初の氷衛星の周回機となり、なんと13年もの長期ミッションになるのです。是非成功して欲しいですね。
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