意外に知らないこのタイプの事故の恐ろしさ
今日、JR神戸線で高架下を通過するトラックの荷台に載せられた重機が、高さ制限を超えていたため、動けなくなったという事故がありました。
約3万8000人の乗客に影響 JR神戸線の橋げたに積み荷接触し一時運転見合わせ 兵庫 読売テレビ
実は、このタイプの事故は最近よく起きていて、5月28日には東京品川区の京浜東北線で、6月1日には東京板橋の東武東上線で、立て続けと言ってよい頻度で発生しています。
一見するとトラックの運転士が荷台の高さを把握せずに突っ込んだおバカな事故と思われがちですが、実は、このタイプの事故は大事故の可能性を秘めた大変恐ろしいヒヤリハットなのです。
ヒヤリハットとは「危ないことが発生したけど、幸いにして事故にはならなかった事象」のことで、鉄道会社では日々、このヒヤリハットの事例を集め、事故の芽を摘む活動をすることが事故防止のイロハのイなっていますが、ではなぜこの事故が危険なのでしょうか。
それは高架下などを通るトラックの荷台や大型のバスが下を通り抜けることができずに橋桁に突っ込んだとします。
すると、線路には横からの力がかかり、線路がゆがむ現象が起きます。
もし、その線路がゆがんだところに列車が高速で突っ込んだらどうなるか。
列車は脱線し、高架橋ですからともすれば転覆し、高架下へ落下して大事故になる可能性があるのです。
そして、過去には実際にそのような事故が発生しているのです。
昭和32年5月17日、常磐線 大野-長塚間で発生した急行「北上」脱線転覆事故がそれです。
この事故を受けて、全国的に線路の下をくぐる道路には安全ガードが設置されましたので、最近では線路の桁に衝突する前に、この安全ガードに当たって止まる事例がほとんどですが、衝突時の速度や荷台の積み荷の形状などによっては安全ガードを突き破って線路桁に衝突する可能性もないではありません。
このところ連続するこのタイプの事故をヒヤリハットとして、大事故に発展させないように我々事業者は危険個所の洗い直しなど設備の再点検をするとともに、ドライバーの皆様方にもガード下を通過する時はもちろんですが、踏切等も合わせて安全運転をお願いしたいと考えます。