DV等で避難している人はどうやったら給付金が受け取れるのか?急いで手続する必要あり。
■ 政府が方針をまとめる
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて日本に住む住民に一人10万円の現金給付が決まりましたが、申請や給付が世帯単位となっており、DV被害者の扱いはどうするかが課題となっていました。
住民票を置いたまま避難せざるを得ないDV被害者が多いためです。
基本的には私は給付は個人単位にすべきだと思います。
しかし、急いで給付する必要から、政府のほうで方針をまとめて公表しています。
私は政府の広報をする立場にはありませんが、一人でも多く限られた状況下でDV被害者の方に役に立てばと思い、こちらにご紹介します。
■ DV被害者に対する現金給付
まず、現金給付の基本はこちらです。
この例外として、4月22日に政府がまとめた方針は以下のように発表しています。
■ 申請のやり方
ではその申請の手続とは?
これも、内閣府のウェブサイトに続けて出ています。
◎ 申出期間中(令和2年4月24日から4月30日まで)に、今お住まいの市区町村の特別定額給付金担当窓口へ「申出書」を提出してください。
※「申出書」は、配偶者からの暴力を理由に避難していることを申し出るものです。
※「申出書」は、お住まいの市区町村窓口のほか、婦人相談所や総務省ホームページなどで入手できます。
※令和2年4月30日を過ぎても、「申出書」を提出することはできます。
その「申出書」なるものはどこにあるか?
こちらの総務省のページを下まで辛抱強くスクロールすると出てきます。
とあるうちの(別紙様式2)ですね。エクセルです。ちょっと驚きますが、これが申出書だそうです。
「4月24日から4月30日までに提出してください」という一方、「4月30日を過ぎても、「申出書」を提出することはできます。」というのはなんだか矛盾していますね。
4月30日までに提出すれば早めにもらえるけれど、それを過ぎるとちょっと遅くなるという趣旨でしょうか?
一日でも早く給付を受けたいという場合は、早めに対応したほうがいいと思います。
■ 申請には、添付資料が必要
内閣府のHPではさらに、説明しています。
まず、DV被害者でも、裁判所から保護命令を受けている人は多くないと思いますが、もしそうした保護命令があれば、謄本又は正本を添付資料として提出すればよいということになります。
では保護命令を受けていない場合は?その場合は、「DV被害申出確認書」を添付すればいいとされています。それは何でしょう?
内閣府の通達では、
DV被害申出確認書は、新型コロナウイルス感染症の感染対策を講じつつ、短期間での対応が求められることも踏まえ、特別定額給付金の申出事務の用途に限って、特例的に、被害者の居住地の市町村において、本年4月から6月までの期間に限って、発行できる。
とありますので、最寄りの自治体に相談していただければと思います。
役所の中にはすでにホームページで対応窓口を明記して説明している役所もあり、他でも早急に整えてほしいと思います。
また、
婦人相談所において発行するものとされていますが、地方公共団体の判断により、婦人相談所以外の配偶者暴力相談支援センターが発行した証明書(証明書における「保護」には、来所相談(電話相談を除く。)を受けた場合も含む。)も、婦人相談所の発行する証明書と同様の取扱いをすることができるとされています。その際、過去に証明書を発行した者への再発行や面談歴のある者への発行に関しては、来所を求めず、本人確認書類の確認のみでの発行を可能とするなど、申出者の負担軽減への配慮をお願いいたします。
とされています。
裏を返せば、過去に相談したことがなくても今からでも相談して証明書を受けることができそうですね。
婦人相談所とか、配偶者暴力相談支援センターとか、イメージがわかない方も多いと思います。
最寄りの役所に相談するか、内閣府が開設した相談窓口のDV相談+(プラス)にご相談ください。
それにしても、こうした一連の手続をするために、感染の危険を冒して役所に行かないといけないなんて大変です。
自治体ごとに柔軟なグッドプラクティスを開始して、他自治体にも紹介、普及していただきたいと思います。
世田谷区などがいろいろ考えられているでしょうか?
期待します。
■ 申出と申請は違う
ところでこちらの記事にもある通り、
とされていますのでご注意ください。申請手続では、送られてくる書類に振込先を書いて郵送することになるでしょう。
■ 避難できないDV被害者について 世帯分離は26日までに
避難できないDV被害者や家庭内別居世帯については、世帯分離などの方法があるかもしれません。
世帯分離とは、住民票上の住所を変えないで、世帯だけ分離するやり方です。
世帯と住所を判断する基準日は4月27日ですので、それまでにつまり26日までに世帯分離を役所に申請する必要があります。
しかし、他の制度との関係で、世帯分離が10万円をもらえたとしてもプラスとなるか、マイナスとなるかは試算する必要があります。
また、役所によっては世帯分離に世帯主の同意書を求めるところもありそうですが、役所には是非柔軟に対応してもらいたいです。
ただ、世帯分離が発覚した際にまたDV被害にあう現実的な危険性もありますので、それぞれの方の実情に応じて判断してほしいと思います。
■ 被害者が一人でも救われるように
シングルマザーの貧困については、既に統計上も明らかになっています。
サービス産業・飲食業の自粛によって、女性たち、シングルマザーは大きな影響を受け、母子が追い打ちをかけられた状況にあります。
難解な役所の手続のためにあちこち移動を余儀なくされれば、感染リスクも高まります。
役所の方々も最前線で対応するのは多くは非正規の女性職員だと聞きますが、是非、柔軟に、感染リスクが少ないやり方で対応いただき、一人でも多くの困っている方が救われるように手当てをしてほしいと思います。
また、この現状の手続の実施と併せて、個人単位の制度構築を早急に進めてほしいと痛感します。(了)