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離島のワクチン接種の現場から 2回目接種と副反応への対応

高山義浩沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科
ワクチン接種を受ける島民(筆者撮影)

今日は、沖縄県の小さな離島にて、ワクチンの集団接種をお手伝いしました。県内の一般住民で2回目の接種をする最初の方々になります。小規模離島では、高齢者だけでなく16歳以上の全島民がワクチン接種の対象となります。

役場の職員、島外から応援に来た医師や看護師、そして島民の皆さん・・・ 接種会場の設営から、接種の段取りに至るまで、互いに理解があってスムーズに実施できました。こんな感じで、どんどん離島での接種が進められるといいですね。

私は接種前の問診を担当いたしました。限られた時間ではありますが、とくに2回目は副反応が強めに出ることが考えられるので、どのような症状が認められるのか、少し丁寧にご説明しました。

接種後の発熱や疼痛に対して、アセトアミノフェンなど市販の解熱鎮痛薬を内服しても良いことは、あんまり知られていませんね。翌日の救急受診を減らすためにも、しっかりお伝えした方が良いと感じました。

若い人はとくに、高熱が出ることがあります。きつい思いをするぐらいなら、症状を緩和するお薬を飲みましょう。ただし、症状が出る前に、あらかじめ内服しておくことはお勧めしません。

以下、ワクチン接種2回目の問診を模擬的に紹介します。これから2回目の接種を予定されている方もいらっしゃると思います。ご参考としていただけると幸いです。

◇   ◇   ◇

「こんにちは! 比嘉さんですね。お座りください。県立中部病院の高山と申します。よろしくお願いします。」

「はい、比嘉です。お願いします。」

「今日はお元気ですか? 熱はないようですね。」

「はい、元気です。いつもと変わりありません。」

「では、問診票を確認いたします。はい、とくにアレルギーもないようですね。1回目の接種はどうでした?」

「大丈夫でした。左肩の筋肉痛はありました。でも、1日だけでしたよ。」

「良かったですね。ただ、2回目は、肩の痛み、ちょっと強めに出るかもしれません。あと、熱が出たり、だるさが強く出る人もいます。」

「はい、テレビで言ってました。やっぱりそうなんですね。」

「人によって違いがありますが、強めに出ると思っていてください。38度の発熱あってもビックリしない。免疫がしっかりついている証拠です。」

「わかりました。」

「家でゆっくり休んでいれば、ほとんどの方が1日か2日で収まります。ご飯が食べられないなど症状が重いとき、長引くときは診療所に相談してください。ところで、自宅に熱さまし、または風邪薬がありますか?」

「はい、あります。ジキニンとか・・・」

「熱が出たら飲んでください。楽になると思いますよ。」

「飲んでいいんですね。わかりました。」

「あと、1回目で大丈夫でも、2回目で強いアレルギーが出ることあります。念のため、ワクチン接種後15分は会場にとどまっていてください。」

「わかりました。」

「では、接種はお隣のブースです。こちらからどうぞ。」

「ありがとうございました。」

全体ミーティングで流れを確認します。たくさんの離島応援、ありがとうございます。(筆者撮影)
全体ミーティングで流れを確認します。たくさんの離島応援、ありがとうございます。(筆者撮影)

検温から受付、問診、接種、観察、帰宅までの流れです。(筆者撮影)
検温から受付、問診、接種、観察、帰宅までの流れです。(筆者撮影)

医療スタッフでシリンジの準備を進めます。今日は128人に接種を行いました。(筆者撮影)
医療スタッフでシリンジの準備を進めます。今日は128人に接種を行いました。(筆者撮影)

医師による問診ブースの内部。狭い空間で会話があるので、空気が滞留しないようにしなければなりません。接種者の前にサーキュレーターを置き、開放された天井に向かって風を流しています。(筆者撮影)
医師による問診ブースの内部。狭い空間で会話があるので、空気が滞留しないようにしなければなりません。接種者の前にサーキュレーターを置き、開放された天井に向かって風を流しています。(筆者撮影)

ワクチン接種は応援の看護師さんにお願いしています。筋注は慣れれば難しくないです。個人差ありますが、受ける側も皮下注より痛くないと思います。(筆者撮影)
ワクチン接種は応援の看護師さんにお願いしています。筋注は慣れれば難しくないです。個人差ありますが、受ける側も皮下注より痛くないと思います。(筆者撮影)

接種後の経過観察スペース。アレルギー歴のない方は15分程度、ある方は30分程度、会場にとどまっていただき、医療従事者が見守ります。(筆者撮影)
接種後の経過観察スペース。アレルギー歴のない方は15分程度、ある方は30分程度、会場にとどまっていただき、医療従事者が見守ります。(筆者撮影)

救急救命士の皆さんもスタンバイいただきましたが、幸い、ここを必要とした接種者はおられませんでした。ありがとうございました。(筆者撮影)
救急救命士の皆さんもスタンバイいただきましたが、幸い、ここを必要とした接種者はおられませんでした。ありがとうございました。(筆者撮影)

小さな離島ですが、それでも移動が困難な高齢者のため、役場職員が電動カートで送迎します。会場へのアクセスを高めることが、接種率の向上には必要です。待っているだけではダメ。(筆者撮影)
小さな離島ですが、それでも移動が困難な高齢者のため、役場職員が電動カートで送迎します。会場へのアクセスを高めることが、接種率の向上には必要です。待っているだけではダメ。(筆者撮影)

最後に、島を守る診療所の先生にご報告して終了です。接種いただいた島民の皆さんには、副反応について丁寧にご説明しましたが、それでも明日は忙しくなるかもしれません。よろしくお願いします。(筆者撮影)
最後に、島を守る診療所の先生にご報告して終了です。接種いただいた島民の皆さんには、副反応について丁寧にご説明しましたが、それでも明日は忙しくなるかもしれません。よろしくお願いします。(筆者撮影)

沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科

地域医療から国際保健、臨床から行政まで、まとまりなく活動。行政では、厚生労働省においてパンデミック対策や地域医療構想の策定支援に従事してきたほか、現在は規制改革推進会議(内閣府)の専門委員として制度改革に取り組んでいる。臨床では、沖縄県立中部病院において感染症診療に従事。また、同院に地域ケア科を立ち上げ、主として急性期や終末期の在宅医療に取り組んでいる。著書に『アジアスケッチ 目撃される文明・宗教・民族』(白馬社、2001年)、『地域医療と暮らしのゆくえ 超高齢社会をともに生きる』(医学書院、2016年)、『高齢者の暮らしを守る 在宅・感染症診療』(日本医事新報社、2020年)など。

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